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ヨネヤマママコさんのこと ~撮影ノオト

今年9月のある日、本棚の隅に置いてあったピエロ姿のオルゴールが、突然音楽を奏で始めた。ほんの一瞬だったが、もう何年もネジを巻いていなかったので、ちょっと意外な気がした。そして「ママコさんどうしているかな~」と、パントマイマーのヨネヤマママコさんに思いを馳せた。そのオルゴールは、40年位前、彼女の何かの記念日にいただいたものだった。

軽やかな曲を奏でるピエロのオルゴール。曲調はちょっともの悲しいかな?

それから数日経って、ママコさんが亡くなったというニュースを知った。
88歳だった。最近まで舞台に立っていたような記憶があったので、いつまでもお元気なのだと思っていた。

私がママコさんを何度か撮影したのは、1970年代から80年代にかけて。もともとは女たちのグループが主催した「魔女コンサート」の舞台を撮影したことから始まる。その時の彼女の「主婦のタンゴ」という作品は圧巻だった。赤子の誕生から始まり、成人して主婦としての毎日を送る女性を、鮮やかに演じた。最後にせわしなくお皿を洗うしぐさと同時に、紙の皿が舞台一面に舞い、その中で歌劇カルメンの曲に乗って、軽やかに踊って見せたのだ。

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