見出し画像

人間最大の罪は不機嫌。ご機嫌でいることは、社会人のツトメだ。

人間の最大の罪は不機嫌である。

これは私が言った言葉ではない。
ドイツの文豪、『ファウスト』『若きウェルテルの悩み』でお馴染みの、ヨハン・フォン・ゲーテの言葉らしい。


さて仏教では、苦悩の原因となる「煩悩」の発生源として「三毒」すなわち「貪瞋痴(とんじんち)」と定義されている。これを捨てること、ここから離れることが大事だと説かれている(ハズ)。

三毒を現代風に簡単に意訳するなら、以下が妥当だろう。

・貪・・・執着心(依存心)
・瞋・・・不機嫌(不安恐れ)
・痴・・・愚痴(妬みそねみ)

不機嫌であることは、自分だけでなく周囲にも破壊的影響を与えてしまうことが、和洋問わず優れた先人が指摘してくれてる、という訳だ。

僭越ながら、私はゲーテの名言に、もう一文足させてもらいたい。

ご機嫌でいることは、社会人のツトメだ。

上機嫌 or 不機嫌。機嫌というのは、「状態」だ。軽い言い方をすれば「心の持ち様」とも言える。

我々は、朝起きたら、顔を洗い歯を磨き髭を剃る。寝間着を脱いで、他人様と接するのにも堪える服装に着替え、髪の毛をセットして出掛ける。「外見の有り様」を、それらしく整えて出て行く。TPOに合った、(明文化されてるか不文律か別にして)ドレスコードに即した見た目を作る。それが、社会人のマナーだ。

ところが、心の有り様、つまり「内面の有り様」については、あまりにも無頓着ではないだろうか。

考えて欲しい。あなたが接した他者が、なんだか分からないが不機嫌だという時を。どこかに不発弾が埋まっていて、うっかり踏んだら大爆発しそうな状態だ。「何か嫌なことでもあった?」と聞けるならまだ良い。それすらも、聞くとうっかりドカンといきそうな負のオーラ出まくり状態の人を。

あなたは、「そっとしておこう」と思うだろう。そして何度会ってもそんな状態なのだとしたら、「この人とはなるだけ近づかんとこう」と思うだろう。私もそうする。

ちょっと脱線するが、先日、広島の江田島の人里離れたところで、ノラネコ軍団と遭遇した時に分かった。言葉の通じぬ動物も、こちらの心の有り様が分かって、心地よいオーラ出てるところに寄り付くらしいのだ。

最初はバリバリ警戒して逃げてた猫たちに、私がニコニコしながら猫撫で声を出して佇んでいると、皆んな出てきて最後は膝にちょこんと乗ってきた。

つまりはそういうことだ。上機嫌には、他者は寄り付く。上機嫌には、気兼ねない戯れ言も忌憚なきアドバイス・苦言も言ってもらえる。それは、言っても爆発せず受け止めるだろうと、信じてもらえるからだ。「この人なら言っても大丈夫」と。

言い換えると、不機嫌は当の本人にとって損しかない。機会逸失のオンパレード、孤立の促進、さらには不機嫌の連鎖の端緒にもなり得る。それは周囲にとっても良いことはない。

生きていれば、辛いことや悲しいこともある。予想外のハプニングだらけで、確実な先の見通しなんか立てられる人も居ない。それでも、いや、だからこそ、眉間に皺寄せてウジウジと生きていてはもったいない。逆に、ニコニコ・ニヤニヤを連鎖させて時を過ごしていかねば。

どんな過ごし方をしても、この人生は巻き戻り不能で、いずれ確実に死出の旅に出る「かりそめの旅路」だ。良い過ごし方しないと、誰の中にもろくな思い出は残らないし、過ごしている間に誰にも愉快が増えていかない。

更にまずいのは、連鎖である。「類友効果」が効いて、不機嫌でいると不機嫌な奴が周りを固めてしまうことだ。愚痴っぽい人を、健全な人は敬遠する。そして愚痴り合いが好きな種族が寄ってくる。そして、愚痴地獄が加速して愚痴ワールドの住人になり、世界を愚痴ネタ探しの場のように生きてしまう。そうすると、貴重で有限な時間を、誰も幸せにならないことに費やして人生を終えてしまう。

類友効果は逆にも効く。上機嫌に保って過ごしていると、上機嫌の人が「なんかオモロイことありますか?」とニコニコ寄ってくる。「いや、取り立ててないんだけど、逆に何かある?」とニコニコ聞き返すと、「聞いてくださいよぉ」と心の明るくなる話をくれる。「あ、じゃあさ、俺の知ってるアレと一緒にしたら益々オモロそうじゃない?」などと発展が見込める。

だから思う。我々は、それぞれ自分の機嫌を取ろうと。上機嫌でいよう。そのために、お互いに機嫌を取り合おう。乱れを早期に認識して、波を穏やかにできるよう努めよう。他人の慰めが必要だと思えば求めれば良い。他人に抱かれたいと思えば抱いてといえば良い。言われたら応じられる範囲で応じてあげれば良い。


どう頑張っても、遠い未来を確実に予想なんかできない。もう予想し切って備え切ることを目指すのはヤメだ。穏やかな心と朗らかな笑顔の連鎖で、世の中はもっと明るくなる。そう無根拠に確信して、上機嫌で居続けようとすることが、唯一自分に出来ることなんだから。

…と、信じられる人としか、私はうまくやっていけない気がするのだ🤣

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?