コロナ禍におけるオフィシャルの務め
一昨年(2020年)の5月30日、JMOCは「緊急事態宣言解除後の競技オフィシャルとしての大会参加について(提言)」を発表しました。この提言は、競技オフィシャルのみなさんが大会への参加の可否を判断するための基準、あるいは、参加する場合の新型コロナウイルス感染拡大防止のための留意点をまとめたものです。このときからもうすぐ2年が経とうとしています。しかし、現在も事態の収束は見通せないままです。
第6波のなかでも、さまざまなスポーツイベントが開催されています。そこでは、観客数を制限したり、観客の声援を禁止するなどの対策がとられています。しかし、感染拡大のおそれが払拭されたわけではありません。それは、格闘技イベントにおいても同じです。そして、出場する選手がいて、試合が行われるのであれば、誰かがオフィシャルを務めなければなりません。
上の提言を発表したときに、JMOCは次のようなコラムをあわせて発表しました。
「MMAオフィシャルの中には、感染拡大防止のために在宅勤務中である会社員や、普段からCovid-19の危険と最前線で向き合っている医療従事者など、いろいろな仲間がいます。そんな彼らがMMAの試合に赴くことはできません。平常時よりも現場で働ける人間が少ない中で、誰かが身体接触の密な競技の現場に行かなければならないのです。
しかし、市民生活においてもいまだに様々な制限があるなかで、MMAのオフィシャルが現場で感染すること、また逆に、オフィシャルから選手や関係者へ感染させる事態は防がなければなりません。したがって、『誰かが行かなければいけない』からと言って、何の対策も採られていない現場に仲間を行かせるわけにはいかないのです。まず、イベント主催者のみなさんには、可能な限り、対策を講じてください。そのうえで、参加するオフィシャルのみなさんも、感染拡大防止にできるだけ努めてください。そのための目安として提言をまとめました。オフィシャルのみなさんが、各種大会への参加の可否を判断するための材料として、また、参加にあたり感染拡大防止のための一助としてご利用いただければ幸いです。」
当時の考えは今でも変わっていません。今後も新型コロナウイルスとの闘いは続きそうです。感染拡大防止を前提とした大会の実施がこれからも求められます。今だけの対策ではなく、継続的な「イベントのあり方」を考えていかなければなりません。
我々は、平素から、医療従事者の方々からのご指導や日本スポーツ協会等外部機関のガイドラインを参考にしながら、JMOCメンバー間で議論を重ねて、感染防止に努めてきました。例えば、大会に参加するオフィシャルは、イベント開催数時間前に独自の健康状態確認票を提出し、少しでも感染が疑われる(あるいは感染の危険が高い)場合には、大会への参加を控えることとしています。これまでにも、わずかな疑念であっても参加不可とし、代替のオフィシャルを充てたことがあります。
その他にも、ルールレビューやオフィシャルのミーティングはオンライン開催とし、密を避けるために会場入り時間をずらし、控え室での待機・打ち合わせ等を禁止・抑制しています。プロモーションによって、またオフィシャル個々人によって、感染防止に対する意識や姿勢は異なりますが、「最低限」のことはしなくてはなりません。格闘技の現場に立つオフィシャルも、普段はそれぞれが大事な仕事を抱え、家族を支えています。また、当然のことながら、社会を構成する一員でもあります。それぞれの立場において「務め」があるはずです。
感染防止に必要な用具等の選定・開発にあたっては、JMOC会員間で議論をし、また、我々に協力してくださる協賛会員様からギア(スポーツマスク、長袖ラッシュガード等)のご支援をいただくなど、内外からお力添えをいただいています。おかげさまで、選手と審判のみなさんの安全を確保しながら、審判のパフォーマンスを維持することができています(また、プロの舞台における見栄えにも配慮をいただいています)。
我々の取り組みが各イベントにおけるモデル(標準)となり、競技の安全が守られているならば幸いです。これからも、内外のご指導とご助力をたまわりながら、安全の確保に努めてまいります。