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『極私的ライター入門』

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ライター歴36年の私が約20年前に自分のサイト(すでに消去)に載せていた「ライター入門」を、少しずつ再録していきます。 時代の変化で内容があまりに古くなっている部分は、適宜アップ…
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#ノンフィクション

ライター必読本②梯久美子『声を届ける――10人の表現者』

梯久美子は、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『散るぞ悲しき』で単著デビューを果たす前から、『AERA』の看板連載「現代の肖像」の執筆者の1人だった。 私が彼女の名前を記憶したのも、「現代の肖像」で脚本家・中園ミホを取り上げた回があまりに素晴らしかったからである。 『声を届ける――10人の表現者』(求龍堂)は、これまでに梯が「現代の肖像」で書いてきた10本の人物ルポを集めた一冊だ。常連執筆者という印象があったが、意外にも、彼女が書いた「現代の肖像」はこの10本がすべてなの

ライター必読本①野村進『調べる技術・書く技術』

「ライターになるならこれは読んでおかないと……」という本を挙げていくことにする。 取材・執筆の基本を知るために 一冊目は野村進著『調べる技術・書く技術』(講談社現代新書)一択。 手練れのノンフィクション・ライターが、長い文筆生活で培ってきた取材・執筆作法を開陳した一冊である。 仕事柄、この手の本はかなりの数を読んできたが、本書はこれまで読んだ類書のベスト5には入る名著であった。立花隆の『「知」のソフトウェア』と並んで、「ノンフィクション作家の知的生産術」のスタンダードに