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中村文則『銃』感想

(ネタバレ注意)中村文則『銃』は私が最も好きな小説です。 物語は、主人公が偶然見つけた死体の傍らに落ちていた銃を拾ってしまうことから幕を開けます。 初めは会話をするように銃を磨くだけだった主人公ですが、日を追う事に銃の存在感に魅せられていき、常に銃を持ち歩くようになります。 注目したいのは、主人公は自殺願望や殺意を思い悩む程には持っていなかったという点です。つまり、主人公は象徴としての銃にではなく「私は銃を持っている、それを使って日常を簡単に覆すことができる」という自意識に

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