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甘い炭酸ぶどう味

夕方、子ども達を車で迎えに行っていた。

よく晴れた日の夕方で
濃いオレンジ色に染まる歩道を
高校生たちもぞろぞろと駅に向かい歩いている。

長身の今どきなメンズ2人が目に入った。
いわゆるイケメン。
見栄えのいい2人はお互いに相乗効果があるのか
一緒に居ることで1人より目を惹くんだろう。

まるで修二と彰だ。スィー。

そんな学校ヒエラルキー上層部だろう2人は
どちらともストレートネック気味にスマホを見つめ
無言で歩きながら何かを打っている。

なんだか眩い西陽の中
現代を見た気がして寂しくなった。

まあイケメン達はSNSやらラインで
忙しいんだろうな。
やり取りの先は可愛い女子ズだろうか?

きっとあぁいうの、リア充って言うんだ。
大変ね。

とか思ってたら、
修二と彰の数メートル後ろに
ザ.たっちにそっくりな男子2人がいた。

身長も体型もよく似た2人は
何か面白い事を言い合ってるのか
口を尖らせてふざけて笑いながら
光の中を歩いている。

たっちのどちらかが右手に握りしめていたのは
500mlファンタグレープ。
スマホじゃなくて、糖分炭酸水。

それを笑顔でグイッと飲む様子を横目に
車で通り過ぎた。


キラキラ光る汗かいたファンタグレープ、
美味しそうだったな。


一瞬で見た光景を咀嚼しながら
なんだか微笑ましい気持ちで小学校に着いた。


修二と彰も、
ザ.たっちも、

あの同じ制服を着て歩く1人1人が
かけがえのない人生の3年間を過ごしている。

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