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思い出してごらん

自分にしては奮発して、いいヘッドホンを買った。
音は鼓膜だけで聴くものではなかったんだと思った。

いいヘッドホンには、マイクがついている。
スマホと繋いで、電話もできる。

わたしは自分のことを話すのが下手だ。
人の話を聞くのは苦じゃない。
電話は、しかし、相手の顔が見えないからか、自分のことも比較的スムーズに話せる。

これを使って電話したら、相手に特別な感情を抱いてしまうかもしれない。
もし、あの人と、電話したら。
わたしにとってそれは、怖さを伴う予感だ。
心臓を下に引っ張られるような感覚。

試着室で思い出したら、本気の恋だと思う
というタイトルの本があった。

ヘッドホンへの感動と共に思い出したあの人は、
わたしの「本気の恋」なのだろうか。

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