【DOPEDOWN】"FEED BACK '34'10'3"


2019年12月20日、DOPEDOWNは3周年、そしてヴォーカル吾龍は歌い手KOOLとして活動10周年を迎えたこのメモリアルイヤーにDOPEDOWNとして2年ぶり、2回目となるワンマンライブ"FEED BACK '34'10'3"がGarret udagawaにて開催された。この感動を「楽しかった。」の一言で終わらせるのはあまりにも惜しい。真冬にしても暑苦しい5人の漢達が見せたロック魂溢れるパワフルなライブを徹底レポートする。


※あくまで素人が書いておりますので御容赦ください。また、メモを取れなかった部分やMCにて割愛させていただいた部分がありますが来場された方、どうかお察しください。


クラブミュージックがガンガン鳴り響く中幕開けた、DOPEDOWNとして2年越しにして2回目のワンマンライブ。真っ白な光の中に現れた吾龍(Vo.)、大和(Gt.)、三代(Gt.)、雄坪(Ba.)、恵大(Dr.)からなる、ロック魂に火をつける"キッカケ"となった教祖達の登場に沸き散らかす群衆を目の前にし満足気な顔を浮かべるとトップバッターはこいつしかいねぇ、と『MASK』をフルスイングでお見舞いする。

続いて『Anthem of Mavericks』をこれでもかと流し込み、2曲目にして暑苦しい程の熱気に包まれる中、そこに「恥なんか捨てちまえ」と一声浴びせると三代(Gt.)のソロが木霊する『Monsrarize』を撃つ。この楽曲は歌い手"KOOL"としてXYZTOURに参加した際に演奏された楽曲で、KOOLに焦がれたファン達と今の吾龍(Vo.)を繋げた架け橋となった曲だ。
そのあぶなっかしい橋を渡った先に見えた『曇天、突き抜ければ蒼』は、スカイブルーに染まったステージに柔らかな歌声がよく伸びる。荒れ狂うサウンドを牽制するように彼が天に手を伸ばすと、激しい雷鳴の如く唸るドラムが空気を震わせ、躰がじくじくと疼く程の電撃を受けた。

4曲連続でDOPEDOWNの圧倒的実力を見せつけた後は、歌い手KOOLとロッカー吾龍を同時に味わうことが出来る今夜限りのスペシャルサプライズが待っていた。躰でご機嫌なリズムを刻みながら無邪気な笑顔でカウントし、歌い出したのはボーカロイド楽曲『jelLy』。自身のバンドでの演奏は滅多にない懐かしのボカロ曲に歓声が上がる。「音楽ってのはな、体で楽しむもんなんだよ!」と悪戯な笑みを浮かべ、オシャレなギターサウンドに揺れてみせると、ライブハウスは一気にポップなダンスホールへと変貌を遂げた。

和気あいあいとした所で疾風怒濤の『イドラのサーカス』を叩きつけると、ぁあ、そんなの聞いちゃいない!とフロアは驚きと歓びに包まれながらもクラップを繰り返す。
花吹雪が舞うように弾き注がれ重なり合うギターサウンドとよく動く指先に馥郁たる香りを纏わずベースはラウドな歌声とあまりにも相性が良い。この時を、この場所を離れたくない、と祈るように握り締めたマイクに声を乗せる『それがあなたの幸せとしても』は、ほろ苦く掠れる高音が美しいバラード。歌に込められたメッセージが深々と伝わるこの楽曲はヴォーカルの甘い表情を見事に引き出した。

バラードの余韻を柔らかに残すステージ。そこに突如乱入する者が現れた。勢いよく登場した男の名はun:c、彼は長年の友であり、歌い手仲間であり、なおかつ以前ツーマンライブを開催したこともある吾龍(Vo.)の良き理解者だ。
予期せぬ最高なゲストに腹の底から歓喜するファン達は決してミーハーなんかじゃない。待ち焦がれた2人が合わされば予想できる結末はただひとつ。ギャリギャリと空間を掻き乱すイントロから始まったのは2人のロック魂を目一杯見せつける『サイクル』だ。各々拳やタオルをぶん回し乱気流を巻き起こす中、そこにぶつけられるun:cの変幻自在な電流と"KOOL"が落とす稲妻はビリビリと観客のターボを加速させる。
2人のアビリティーがバチバチとぶつかり合うアグレッシブな共闘を終えたun:cに礼を言い、汗だくになりながら次にぶっぱなしたのは『バイビーベイビーサヨウナラ』。ステージもフロアも全員一緒くたになって激烈なロックミュージックへの愛に溺れ、ヴォーカルは「楽しいよ、、!」と思わず曲間に溢してしまうほどパワフルな一体感が生まれた瞬間だった。
ここでもう1人、スペシャルな赤鬼が襲来する。お馴染みのイントロをザクザクと刻むギターはまさかあいつが、と観客のボルテージを益々上昇させる。バロメーターをうっかりぶっ壊した勢いでステージに踏み込むのは歌い手、あらき。彼は以前DOPEDOWNと対バンライブを開催したロックバンド"AXIZ"のヴォーカルを務めており、XYZTOURを通して繋がったこよなくロックを愛する同胞だ。巷でウワサの2人組、足並み揃えて叫ぶは『ブリキノダンス』。彼らはお互いを認め、尊敬しつつも己を主張する事を一切躊躇しない。それ故に作り出された濃密なミュージックはフロアに集う飢えたリスナー達に重い一撃を食らわせた。
ゲストのあらきとun:cを加えての写真撮影を終え、続いて繰り出すのは数あるボーカロイド楽曲の中でも彼の魂に響き、ぴったりとはまる『DOGS』だ。

丁度今から3年前のDOPEDOWN始動時、実は歌い手KOOLとしての活動を辞め、バンド1本で音楽に携わろうかと悩んでいたと語るヴォーカル。人の作った歌を歌っていても伝わるものも伝わらない、そう思ったのだという。だがその頃、歌い手として大きなチャンスとなるXYZTOURへの参加をオファーされ、それを承諾した。其処で出会った沢山の尊敬できるアーティスト達。そしてXYZTOURを通して巡り会うことが出来たファン達。

「そこに行かなければあらきには出会わなかったし、俺を知ってくれた今ここにいる人にも出会えなかった。」

そう語る眼差しはどこかスッキリとしていて、「自分で決めた道を後悔しないように生きろ。」という彼自身の言葉を体現する真っ直ぐな強さは、中々出せるものでは無い。

ニコニコ動画を通じて活動し、バンドを結成するに至った5人のロッカー達。個性の強すぎる5人で組み上げる珠玉の楽曲達はそのどれもが違う世界観を持ち、メッセージを確実にリスナーの心に届けてくれる。
歌ってみたを上げなければ、弾いてみたを上げなければ、音楽をネットでやっていなければ交わることのなかった5つの才能は、演奏は今こうしてライブハウスで沢山の人の胸を打ち、勇気を与えている。

俺の選択は間違っちゃいねぇ、それを証明するようにぶちかますのはオリジナル曲の中でもヴォーカル1番のお気に入り、『Against All Odds』。ステージ前にわっと押し寄せ、思いよ届け、届けと手を伸ばす大切なファン達をあまりにも愛しい目で見ながら奏でるのは軽快なラップが心地よく、思わずリズムを取ってしまうナンバー。
続いて拡声器を使ってのパフォーマンスが特徴的な『PARADOXA』をぶちかますとヴォーカルのリミッターは外れ、限界突破のその先へと走る。いよいよ終盤戦、押し潰されそうな位激しいモッシュの最中始まった『Revolve』は1人1人の心にDOPEDOWNの揺るぎない魂を不器用に撃ちこんだ。
志をひとつに出来上がった我らの『Kingdom』の王は眩いばかりの光に照らされ愁眉を開く。騒ぎ立つ人並みを潜ってステージに視線を向けると、心底楽しそうにパフォーマンスをするロッカー達がそこには立っていた。ダイブ、モッシュもなんでもありの無法地帯。それに文句を言うものは誰もいない。
ラストの暴れ曲『不退転』では激しいサウンドのさ中、吾龍(Vo.)自らフロアに飛び込み、ステージとフロア、あと1歩の垣根を一気にぶっ壊した。

ライブにおいて、フロアとの一体感に最も重きを置く彼らは、言いたくない事まで言わなければいけない制約のようなものを変えていきたい、と語る。
何でも注意をしたり、雁字搦めで見当違いな約束事はアーティストの自由を徐々に奪い、音楽を愛する正当なファンをも縛る。最後に全員が「楽しかった。」で終わることができるライブを作ることはきっと物凄く難しい。けれども彼らならできるかもしれない、そんな期待を胸に抱く事が出来るスピーチだった。

「新しいことを学ぶのには勇気がいるしなにしろ力がいる。あと一歩踏み出せば出来ることを諦めてしまうのは惜しい。きっかけが掴めないのなら、俺達がそのきっかけになってやる。変化することを恐れるな。そして、変わらないものを大切にしろ。」※1

彼の言葉にぐっと涙を堪えて辺りを見渡すと、ファン達はあまりにも優しい表情をステージに向けていた。ファンとDOPEDOWNとの圧倒的な信頼関係を感じると同時に流れ始めた『Sign』は彼らなりの、ファン達を勇気づけるメッセージが沢山詰まっている。

「出逢ってくれて、ありがとう。」

最後の最後、別れを惜しむようにそう叫び笑った彼の瞳に一切曇りはなく、まっさらな蒼い未来を見据えていた。


DOPEDOWNはロックを通して私達に生きる希望と明日への勇気、そして1歩を踏み出すきっかけを与えてくれた。「楽しかった、だけで終わらせんな。」と言われても楽しいもんは楽しい。けれども彼らがどうしても伝えたかったメッセージは確実にライブハウスにいた観客の胸にとくんと響き、今日の日のことを忘れられない青春の1ページとして深く心に刻むのだろう。


2019/12/20/Fri
DOPEDOWN ONEMAN LIVE
"FEED BACK '34'10'3"
@Garret udagawa


for your courage


※1 一部抜粋

writer momosuke

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