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前売チケットを買いに行く

休日、ひさしぶりに知り合いと飲みに行った。
お店の向かいのビルには、馴染みの映画館がある。
ネオンサインを見ているだけで、懐かしい気持ちになった。
少し前まで数ヶ月に一度は、足を運んでいた。
それが、なぜか遠い出来事のような気がするのは、ここ半年ほど多忙な日々が続き、心身ともに疲れているからだと思う。
時間だけでなく気持ちにも余裕がない。

前回、ここで観た映画はケリー・ライカートの作品だった。
観たい映画は、この映画館でしか上映されないことも多い。

映画館の通路で公開予定のポスターを眺めた。
私は映画のポスターを見るのが好きで、そのデザインでこれから観る作品を決めることもある。
デザインが良いと、作品も素晴らしい。
たまに外すこともあるけれど、大概はあたっている。
ケリー・ライカートのポスターも素晴らしかった!

ケリー・ライカート監督の4作品

今回、目にとまったのは『冬の旅』 
アニエス・ヴェルダの作品

受付で上映スケジュールをもらって、フライヤーもバックに入れる。
後でゆっくり見ようと思いながら、コーヒーが飲める店を探す。
お酒を飲んだ後は、無性にコーヒーが飲みたくなる。

帰宅してから、フライヤーに書かれてる内容を読んだ。
ケリー・ライカートがコメントを寄せている。
偶然だろうか・・・

翌日もこの映画のことが、頭から離れなかった。
手帳を見ながら、今後のスケジュールと上映期間を確認する。
この手の映画は上映スケジュールが短く、二週間しかない。
それも一日一回だけの上映。
忙しさは続くけれど・・・見逃したくない。

地下鉄で、また映画館に向かった。
昨夜、前売りのチケットを買っておけば良かったと思いながら。
手もとにあれば、どんなに忙しくてもなんとか時間をつくるものだ。
受付のおじさんが、チケットと一緒に映画のポストカードをくれた。
最後の1枚だった。

カードの写真は、ヒッチハイクの場面だ。
ハイウエイの脇に立ち、女性が右手を突き出している。
車は一台も走ってない。

どれくらい、こうしているんだろう?
どこに向かうんだろう?

あれこれ想像しながら、スクリーンで彼女に会いたいと思った。

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