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あまりにも、恋だった。



めまぐるしくいろんなことが起きたような、
変わり映えのしない毎日だったような。
そんな中で、ごろごろ転がっていた気持ち。



いろいろな要素が重なって、ふと、
好きなひとのことを思い浮かべた。

ふわふわした気持ちの中で、
「この人とご飯に行ってみたい!」
と、はっきりと思っていて。

でも、その気持ちが最初に生まれてから、
どれくらい経ったんだろう?



何かの拍子に、ごろんと、
こちらに帰ってきたみたいな感じで。




ご飯行きたいな、
話したいな、
どんなこと考えてるの、
どんなひとなの?
知りたいな。






ただ好きだなあと思っていて、
見返りは求めていないと思っていたのにね。

見返りはなくてもいいけど、
傷つきたくはないって思った。

断られたらきっとショックだし、
変に勘づかれて気まずくなりたくないし。



だから何もできずにいた。

けど、でも、
そうやっていつも
こんな気持ちを見つけてはまた
理由をつけて押し込めていた。



だけど、友達が背中を押してくれたことで、
全部の準備が整ったような気がした。

「今だ!」って。






何度もメッセージの文章をやり直して、
送信ボタンを押すまでに時間がかかって。

オッケーの返信が届いて、
口元ゆるむのがおさえられなくて。

スーパーで何食わぬ顔で買い物して
平気なふりをしてたけど。

嬉しくてたまらなくて、友達に報告して、
帰り道は恋愛ソングのプレイリストを流して。


それから、当日。

お店に着くまでの間に何回深呼吸したかな。
メッセージを送ることだけが緊張のピークで
ご飯に行くことは平気だと思っていたのに。

だってきっと、
向こうは何も気づいていないから。

待ち合わせ。

初めて見た私服。

ちょっと寒そうにしてたとこ。

ご飯、食べながら、
何度も笑ってくれたこと。

目合わせて話してくれたこと。





ただ、ご飯に誘われたから来てみただけ。

そんな感じなんだろうな、とか、
くよくよしてしまいそうになるけど、

それでも、二人でご飯食べて、
わたしの目の前に、いたこと。
一緒の時間を過ごせたこと。

全部、ほんとだから。
それだけ、ぎゅっと大切にしよう。





冒頭に「好きなひと」と書いてはみたけど、
それはわかりやすく書いてみただけで、
ずーっと曖昧にしていた。

この時間を過ごして、ほんとに好きかも、
って、思っちゃった。

だって、ね、こんなにいろいろな気持ち、
恋以外に説明ができない。

「好き」の気持ちは、
 わたしにとって宝物みたいなもの。

簡単に定義できなくて、
明確な線引きもなくて。

ただ、自分の心のときめきだけを頼りに、
「もしかして?やっぱり!」を積み重ねる。



ときめきは嘘じゃなくて、紛れもなく本当で。

待ち合わせ場所に現れた彼は、
いつもと全然違って見えて。

もう手遅れだった。

恋が現実のカタチをして歩いてきたっていうか。
だめだった、好きだった。



その日の彼の言葉が頭の中ぐるぐるしてる。
こんなにも頭から離れないなんて。







でもやっぱり傷つきたくないから、
今はまだ、この気持ちを噛みしめるだけにする。

だからまだ、知らなくっていいよ。


"突然"のお誘い、じゃないの。
実はずっと誘いたかったこと。

今日ずっと頭の中ぐるぐるしてたこと。

向かう前に、コンビニに駆け込んで
ピンクのリップを買ったこと。

こんな浮かれた言葉を並べてること。



でもさ、いつかさ、
「実はあのときね」って。
全部バラしちゃう日がきたらいいのにな。

わたしにとっての、うーん、
彼にとっての、お似合いの人が、
わたしならいいのにな。




そんな簡単じゃないことわかってるから、
せめて、これからもずっとヒマでいてね。