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連立と良い警官・悪い警官戦略

こんにちは、海原雄山です。

本日は、馬場代表の連立を巡る発言について色々考えて見たいと思います。

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まず連立のメリット・デメリット

まず、私なりに考える維新が自公(あるいは自民か公明)と連立するメリットとデメリットを整理したいと思います。

メリット

①政権担当能力の養成
実際に政権に参加することで、経験を得られます。それにより、いざ単独で政権を担ったときに安定した政権運営が期待できます。

民主党政権ができる直前の2007年ごろ、時の福田康夫内閣が当時参議院第一党だった民主党とで大連立を組む構想が浮上しました。

自民党としてはねじれ国会を解消するべく水面下で動いていたということでしょうが、当時民主党代表だった小沢一郎氏は、それを受け入れる方向で考えていました。

結局民主党内から猛反発をくらい大連立政権は幻となりましたが、小沢一郎氏がその時連立参加に前向きだったのは、少しでも民主党に政権を担える力をつけさそうということだったのではと考えられます。

②政策実現可能性の高さ
政権に参加することで、自分たちの政策を実現できるチャンスが広がります。

特に維新は大阪都構想という看板政策が未だに実現できていませんので、実際に国の政権参加することで、悲願の実現に道筋をつけることができるかもしれません。


デメリット

①党の思想に合わない政策に責任を負う可能性
連立政権に参加するということは、政策や思想の違う他党といっよに国家運営を行うわけですから、当然自分たちの考えに合わない政策も関与しなくてはいけません。

その際、どこで妥協をするかが問題となり、場合によっては、党の支持者の期待に添わない政策に賛成せざるを得なくなるリスクを負います。

②存在価値の希薄化と票離れ
連立に参加することで、他党と政策を一致させる必要が出てくると、違いは見えにくくなり、強いて維新を選ぶ必要がなくなる可能性があります。

特に小選挙区制では、維新と自民の違いが曖昧になり、「じゃあ自民でいいじゃん(ええやん)」という有権者も増えるでしょう。

また、政見批判票も維新から離れる可能性があります。

過去に自民と連立を組んでいた社会党・さきがけ(自社さ連立政権)、保守党(自公保連立政権)は、いずれも存在意義を失いフェードアウトか勢いを失っていきました。

20年以上も連立して無事なのは公明党くらいでしょう。

公明党の場合、何が何でも公明党という支持者が多いので、票が離れる心配は少ないです。

自公連立がこううまくいって長続きするのは、公明党は単独では政権を担えないので国会で過半数が取れる議席数が欲しいし、自民にとっても、1選挙区あたり2万人程の公明票は小選挙区を勝ち抜く上で欠かせない固定票ですから、うまくお互いに足りないところを補完し合う関係性ができていると言えるでしょう。

結局損なの?得なの??

上記の整理に基づくと、維新にとって連立参加は諸刃の剣と言えるでしょう。

公明と違い、自民党と票の奪い合いの関係で、補完関係が成立しえず、連立するにしても長期的なものにはなり得ないでしょう。

一方、地方政権の運営ノウハウはあるものの、国家運営となると経験値が不足しているのは否めません。

よって、将来政権を担う気があるなら、実際に単独政権を作る前に、何らかの形で政権を運営する経験やノウハウを取り込まないと、民主党政権の二の舞となる可能性があります。

よって、維新が自公と連立を組むのは、功罪両面があると考えられます。

もし、デメリットを最小に抑えられる条件があるとすれば、自民党と議席数が拮抗しているか、少しでも上回っているくらいの状況でしょう。

そうすれば、維新に主導権がある政権となり、自民党との違いの少なさは、むしろ自民に-に働く可能性があります。

しかし、今くらいの規模の維新で連立参加は、恐らくデメリットがメリットを上回る可能性が高く、かなりリスキーな選択となるでしょう。

なぜ馬場代表は連立可能性を否定しないのか

だからでしょうか、吉村洋文共同代表も藤田文武幹事長も連立入りを否定しています。

しかし、馬場代表はその後も連立入りを否定していません。

それはなぜでしょうか。

このことを考える上で、過去の事例を少し引っぱってきたいと思います。

大阪Wクロス選を思い出せ!

2019年、公明党が大阪都構想への態度が煮え切らないことに業を煮やして、府知事だった松井氏と大阪市長だった吉村氏が入れ替わりで府知事選と市長選に立候補した、大阪Wクロス選。

選挙結果は皆さまご存じのとおりですが、このWクロス選で真っ向から勝負をかけた公明に対して維新のツートップだった松井氏吉村氏で大阪ダブルクロス選後の公明へのスタンスが違います。

選挙後の記者会見での席上、隣同士に座る松井氏、吉村氏の公明に対するコメントは、おおむね以下の趣旨だったと記憶しています。

吉村氏「公明党をぶっつぶす」
松井氏「選挙結果を受けて、都構想についてどういうスタンスかお聞きしたいと思う」

吉村氏が好戦的だったのに対して、松井氏は公明に交渉の余地を残しています。

この後、公明党は都構想に賛成する立場に転じるわけです。(住民投票の結果は、僅差で否決でしたが・・・)

見解の相違?意図的なもの??

しかし、松井氏と吉村氏が同席する会見で、異なる見解を述べるのは、どう理解すればいいでしょうか。

純粋に二人の公明への思いが違うということもあるでしょう。

しかし、お互いのスタンスの違いで仲たがいしているわけでもなさそうです。

だとすれば、これは意図的なものである可能性があります。

じゃあ、なぜあえてこのようなことをするのか。

その答えは、MBAなどで学習する戦術にあるように思えます。

「良い警官・悪い警官戦術」

「良い警官・悪い警官戦術」とは、意図的に悪者をつくることで、自分は交渉相手にとって話のできる人物として振る舞い、相手の妥協を引き出そうとする戦術で、交渉テクニックの1つとされます。

Aが相手方に対して高圧的に接し、一方その傍らにあるBは逆に融和的に接することで、相手からするとBがAに比して話ができる人物として映るわけです。

そうすると相手方は、Bに対して心を開き、Bが交渉の主導権を握ることになれたり、交渉を有利に進めることができるようになるのです。

先述のWクロス選の例で言えば、良い警官は松井氏、悪い警官は吉村氏となります。

この戦術が功を奏したのか、繰り返しになりますが、公明は都構想賛成を表立って表明します。

恐らくですが、維新がこの手の戦術を意図的に行っていたとしたら、恐らく、今回の馬場代表の連立を必ずしも否定しない発言もまた意図的なものなのかもしれません。

じゃあ、馬場代表の狙いは何?

では、馬場代表が意図的に連立を否定せず、吉村氏や藤田氏と「良い警官・悪い警官戦術」を行っているとしたら何の狙いがあるのでしょうか。

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