Mリーグ2019レビュー③ TEAM雷電編
シリーズでお伝えする今期のMリーグの総括編。
8チーム29選手の今期の試合内容を、独自の指標で査定を行います。
第3回目のレビューは今期年間総合6位、TEAM雷電を特集します。
チーム総評:Avengeを誓った2019シーズン、敗退はしたもののチームの理想形達成者が現る。
Mリーグのチームには「らしさ」がある。例えば格闘倶楽部で言えばリーチ棒の雨霰のファイティングスタイルであったり、パイレーツの鳴き仕掛けを駆使した手数勝負だったりだ。
では、雷電はどんな色があるのか?それを語るには多くは要らず、誰もが度肝を抜かれる『超門前麻雀』である。
チーム副露率は11.80%、個人で見ると黒沢選手が29人中29位の8.58%、萩原選手も13.95%、瀬戸熊選手も12.96%と異常に低い。選手29名の平均は19.94%である。
この3者は半荘1回につき、1局鳴くか鳴かないか、2局鳴いたらわりと鳴いた方という完全門前戦法を貫いてきた。
雷電のチームテーマは、何回も耳にしてきた『面白い麻雀』である。見る人を魅了する、勝つことは勿論だが人の心を掴む麻雀を届けたい、門前打法はどこかそこにある意味で馬鹿になるほど拘りを持ってきた。そして、ある種理想形に近い麻雀を打てたのは黒沢選手だったとシーズンを終えたこのタイミングでは断言できる。
こちらは今シーズン通算の全和了の打点分布となる。
黒沢選手に注目してもらいたい。親でも子でも満貫以上の和了が50%を超えている。平均的には満貫未満の打点がやや上回る統計データだが、面前高打点を是とする雷電の麻雀を見事に体現できた。データが3人揃ったとき、あの栄光のシャーレを掴める未来が来るのかもしれない。
選手別総評
萩原聖人選手:素点を失いポイントを伸ばせず。攻守ともに低迷しており、余計な放銃をなくせるかが復活のカギ
【査定】攻撃D 守備E 加点効率C 運D 総合査定E
まず、レギュラーシーズンの素点が29人中最下位となっている。6勝を挙げて傷を負いながらもなんとか踏ん張った印象だが、道中の素点の減らし方は改善の余地あり。放銃率も29人中28位と屈辱のブービースコア。守備意識の改善からが復活の第一歩となりそうだ。
攻撃も効率的かといえば微妙。積極的なリーチへの意識は見えるが、勝ち目のない勝負が多かったのも事実。データ上は通期のリーチ成功率が44%台と平均を下回った。
攻守ともに課題を残した2019シーズン、来季契約は未発表であるがまずは守備からの立て直しを図りたいところ。
瀬戸熊直樹選手:攻撃は狙い通り。セミファイナルはまさかの5試合逆連対で大ブレーキ・・・
【査定】攻撃B 守備B 加点効率C 運C 総合査定C
萩原選手と同じく1試合の平均リーチ回数が上位に食い込んでおりチーム方針を如実に体現している。ここで差が出たのはリーチ成功率。萩原選手が40%台前半だったのに対し、瀬戸熊選手は50%を超えており、ここで攻撃要素のプラス評価となった。
安定の瀬戸熊ブランドは「鳴くとヤバい」である。副露をした際の平均打点は通期のデータを見ると親では1位、子では5位の平均打点を誇っていて対戦相手に印象を植え付けた。
だからこそセミファイナルのブレーキが悔やまれる。自慢の攻撃力が短期決戦で発揮できず個人スコアは屈辱の再開。条件戦も相まって前のめりになったところを掻っ攫われ守備指標が崩壊した。
黒沢咲選手:「消費税率より鳴かない女」副露をとことん削ぎ落した超門前麻雀で2年連続のプラススコア達成
【査定】攻撃A 守備C 加点効率B 運C 総合査定B
冒頭に記したとおり、副露率が8%台という完全に門前に狙いを定めた高打点麻雀がハマった。
通常、副露が減れば和了率は減少する傾向にあるが、レギュラーシーズンの和了率は19.42%と中位クラス。決定的な差が出たのは「リーチ時の平均打点」である。親ではリーチ時平均打点が12000点を悠々と超え、子でもほぼ満貫に近い平均打点となっている。打点分布のところでも記した黒沢選手は徹底して満貫以上を作りに行く【黒沢ブランド】を持っている。また、苛烈な親番での攻めも他社にとっては脅威となり、親番の平均収支は通期で1359点とリーグ2位の指標をマークした。
その反面守備指標は少し厳しい。一撃放銃点が高く、ゲームにおいて致命傷になることも少なくなく、放銃率の低さでカバーした印象となった。
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次回は、年間総合5位 KONAMI麻雀格闘倶楽部のシーズンレビューをお届けいたします。