Mリーグ2022-23シーズン雑感

史上最長の戦い・全234半荘の戦いは、ABEMASの初優勝と言うドラマチックな結末を迎えました。今シーズンを振り返る雑感と個人的な意見を色々と。

1 ビジュアル面を強化。放送演出が良くなり好印象

勝者チームのカラーにライトアップされる演出は、1つ評価ポイントに挙げられます。試合終了後の各選手の表情をカメラで抜いていく間が間延びしていた印象ですが、各ゲームの勝者を分かりやすくしてくれましたし、死角面でのインパクトもよろしかったと思います。
一発勝負のトーナメント戦ではない長期のリーグ戦であるからこそ、毎日の放送における山場をどこに設定するのか、こういった重要ポイントを抑える効果的な演出になったと大いに評価します。

2 "見る雀"の方々に大きな配慮。用語テロップと待ち牌表示。及第点ですが、欲を言えば・・・

11月17日に私よりツイートをしたこの話題。麻雀競技において1つ初心者にネックなポイントに「専門用語が多すぎる」という点があります。
日常会話に溶け込んでいる用語も麻雀になると別の意味となることや、ゲームの起源が中国であり、日本語由来の言葉ではない用語もあったりと、実況・解説の方が都度補足説明をすることが多々ありました。
12月1日の放送より、画面上部に出てきた用語解説テロップはゲームのルールを補足する大きな役割を果たしました。実況・解説の方からも「おぉ、この用語も出て来るのか」と用語のバリエーションも多く、こちらは制作チーム陣が頑張って用意していただいた賜物であると感じました。

続いて、待ち表示テロップ。最強戦では既に導入されていた補足説明情報を遅れて輸入。こちらも、練度の浅い初心者の方には必須の情報であります「得点には何が必要であるか」という情報と、現在聴牌している選手(つまり、得点のチャンスが発生している選手)が誰なのか、という観戦するうえで重要な情報を視覚情報として伝えていたのは、素晴らしいものでした。
内容的には及第点ですが、経験の浅い方の配慮といたしまして、フリテンや役無しの情報も何かで追加できれば完璧であると思います。と言いますのは、テロップに出ている牌が出たのに・ツモったのに、なぜ加点できないのか?この選手は得点をしないのか?という、こちらも麻雀特有の困ったルール・和了に対する制約について、初心者の方に分かりやすく伝えるところがあればいいのかと思ったところです。
勿論、テロップで画面がごちゃついたりするのは本末転倒なので、フリテン・役無しの場合は待ち牌をグレーアウトさせてみる等、改善の余地はありそうです。

改善の声が届いたのは、ゲームスタッツ前に表示される持ち点の推移折れ線グラフでした。昨年は開始から終点にかけて、濃→淡となり最後らへんがどのチームか分かりづらかったですが、今年はこの点が改善されておりスタッフの頑張りが伺えました。

3 半公式用語に転身した「デイリーダブル」という単語

私のトピックとして、ちょっと驚きなのがこの話題。
1日に1チームが連勝する「デイリーダブル」という単語。発生した際には試合結果の速報キャプションと、順位表の速報キャプションに必ずこの単語を盛り込んでおりました。
何シーズン前か忘れましたが、同日連勝のことを何かいい言葉に言いかえができないかと思ったときに、サッカーの試合からこの用語のヒントを得ました。ホーム&アウェイのリーグ戦で、1シーズンを通してホーム・アウェイ、どちらも勝つことを「シーズンダブル」(又は単に「ダブル」)と言うのですが、1日で連勝を獲得するのであれば「デイリーダブル」という造語を作っても違和感がないなと。速報のキャプションでこの言葉が出てくると、単体の意味は分からなくても文脈から意図は読み取れると多用してきました。
数年と使い続けていましたら、Abema Times さん、キンマウェブのライターの方、実況・解説の方よりこの単語を使う機会が多くなった印象です。ちょっとずつ定着していった言葉が広まっていくのは大変に驚きました。

4 スポンサーのスペシャルマッチが増。更に関係が強化された印象

日清食品より冠スポンサーとなった麺麺位決定戦、麻雀星人vs地球人代表、麺飯位決定戦と、スペシャルマッチがオフシーズンも含めて3回放送され好評を得ました。放送中のCMも選手が登場して藤田チェアマンの狙いどおりスポンサーとの関係を強化されているのは見ている方も安心です。
この夏開幕するMトーナメント等、カップ戦の要素が強い対局については積極的なスポンサード獲得をしていくのも成長戦略として取りうる一手になると思います。

5 競技規定はサイレント修正ではなく、都度公表がよいのでは?レアケース・重要事項の詳細はもう少し公開が欲しい気が・・・

錯チーに対する規定がサイレント修正されており、レアケースに対する対応が変わっておりました。競技の根幹をなすところですので、重要な部分はきちんとオフィシャルより「競技規定の改正について・競技規定第〇章第〇条を、~~~のとおり改める」など、発表をした方がよいかなと思いました。
従来より、麻雀の競技内容に関するルールは公式サイトで発表されておりますが、賞金設定、同点時の処理方法、同点時のMVP決定方法、最終日の組み合わせ(5・6位が最終日抜け番)など、割と重要な事項について詳細を公開していない点がやや不満であると感じるところです。
数字を細かく精査するタイプなので、こういったレアケースはまだしも、例年初日に公開していた各個人の規定試合数10試合・上限45試合の情報は出してほしかったところです。

6 黒沢咲選手のハイスコアレコードにより、速報用の記録が取れなくなる事態に

参りました・・・

7 解説陣の頑張りは素晴らしい!若手プロの登用にも期待。

Piratesを退団された石橋伸洋プロ、朝倉康心プロがレギュラー解説に仲間入り。河野直也プロ、土田浩翔プロ、藤崎智プロの5人体制で回して大変に聞き心地の良いバランスが取れた解説だったのではないでしょうか。
後半は団体の最高峰タイトルという金看板を背負ったゲスト解説もいらっしゃり、キャスティングは成功していると思います。
人気のある解説者にキャスティングを振り分けるのは当然のことですが、新進気鋭の若手プロの登用や、解説にもレンジを利かせてプロの方・視聴者の方それぞれ顔を売り出し、視聴者も新たな推しの方を見つける機会が増えればと思います。
現状レギュラー枠が5人いるので中々キャスティングの面では難しいと思いますが、スポット解説の枠でもう何名か見たかったと思うところです。

8 オフィシャルからのスタッツ・牌譜リーダーはもうひと頑張り。

データを自前で集計しているのでバイアスがかかっているのですが、オフィシャルHPでの各選手のデータ・スタッツ・牌譜データはもうひと頑張りが欲しいところです。特に牌譜リーダーは選手の検討配信でもおかしな挙動でしたり、明確な採譜ミスが見られるなど、速度に針が振れるとどうしようもない(この点の気持ちは凄く分かります)のですが、やはり精度を高めていくのが課題だと思います。
昨季に引き続き、レギュラーを終えての統括データの公開がなかったのは残念でした。正解のデータが分からず、データの精度を高めていく方法が有志の方々とのデータの交換によるものですので、1000半荘を超えたデータの管理は大変かと思いますが、きちんと管理・構築をされて頂くことを願います。

結びに

一番大きなトピックはやはり2の待ち牌と用語解説テロップの追加でした。”見る雀”という言葉が出てきた中で、ライト層を取り入れるテコ入れが大きく成功したシーズンであると感じられました。
この辺りの製作スタッフ人の頑張りが随所に見られるシーズンとなり、大変素晴らしい取り組みが成功に結び付いたと思います。

乱文、雑文の中ご覧いただきまして誠にありがとうございました。