理論上のレギュラーシーズン通過条件を解説

はじめに

昨季セミファイナルシリーズDay 14 で雷電の一抜けを速報でお伝えしたところ、最終日に残っている4チームがいるので通過が確定しないのでは?というご質問もいただきました(なお、昨年のケースでは100%通過が確定しています)
そこで、理論上通過が確定する条件を導き出すためにどんな条件があるのか、こちらの記事で解説してみたいと思います。

1.麻雀というゲームにおけるスコアの性質

まず前提条件として、Mリーグのポイントの動きの性質・特徴を考えてみましょう。ここの前提条件を抑えておかないと話が進みません。

Mリーグの公式ルールにおけるスコアの算出は
・原点30,000点からの得失点を1,000点=1ptsに換算する。
・順位点はトップ者+50(オカ含む)/2着+10/3着▲10/4着▲30
です。

オカの+20は配給原点25,000点に対しスコアを算出するための原点が30,000点であることから、配給原点との差分5,000点×4人=20,000点(20pts)をトップ者が獲得するルールとなるため、最終的な四者の得点総和はゼロになります。(ゼロサムゲーム)
ということは、誰かのプラスは誰かがマイナスを被らないといけないため、チョンボ等特殊な反則が犯されない限り、『全員がプラス・全員がマイナス』というスコアは絶対に起こり得ません。(ゼロサムゲームの条件が崩れる)

また、ゲームセットとなる方法は試合を通じて四者の親番が2回終了した場合となることから、この条件を満たさない限り得点・失点は理論上無限に膨らみます。

以上のことから、通過条件を検討するにあたり重要なポイントとして

・スコアの動き方は、以下の3通りとなる。
 ①プラス3名・マイナス1名
 ②プラス2名・マイナス2名
 ③プラス1名・マイナス3名
四者が全員プラス・全員マイナスは起こり得ない
・試合で獲得するスコアは理論上プラス∞点~マイナス∞点となる。(スコアの上限・下限がない)

2.Mリーグのレギュラーシーズン通過条件について

今季の2023-24シーズンでは、9チームがレギュラーシーズンを戦い、6チームが勝ち抜け・3チームが敗退となります。
つまり、勝ち抜けが確定する条件と言うのは当たり前の話ですが、6位以内に入ることが確定した場合、裏を返せば、理論上下位3チームとなる可能性が消滅した場合に勝ち抜けが確定すると言えます。

麻雀は四者で行う競技であることから、当然各節で戦うチームは4チームとなります。ということで、各チームが全日程を終えるタイミングは異なっており、今季で言えば以下の図表の日程となっています。

Mリーグ2023-24 レギュラーシーズン日程(第104節~第108節)

3月26日(火)の第106節でTEAM雷電が先駆けて全日程終了、3月28日(木)の第107節で格闘倶楽部・ABEMAS・フェニックス・Piratesの4チームが全日程終了、そして3月29日(金)の最終節でドリブンズ・風林火山・サクラナイツ・BEASTの4チームが最終戦を行い、最終的なレギュラーシーズンの順位が確定します。
ということで、第108節到来以前に全日程を終える5チームに対して、理論上通過が確定する条件を以下に解説していきます。

Case.1 TEAM雷電の通過条件検討

雷電が全日程をおえる第106節で勝ち抜けを決められるか検討します。

◆各種条件
【通過条件】
・下位3チームに入る可能性が消滅する
【ポイントの動きの条件】
・四者全員のプラスおよびマイナスのスコアはあり得ない
・理論上取りうるスコアは無限大である

仮に雷電が106節のチーム最終戦を想定上最も有利な暫定1位で全日程を終了した場合、残り2節で8チーム中6チームが雷電を上回るケースがあるかを検討します。
このケースがある場合は「106節終了時点の通過条件なし」
このケースが否定される場合は「条件を満たした場合に通過条件あり」となります。

【図表A】106節終了時点モデル

図表Aは雷電が一早く全日程を終え、残る8チームの結果待ちとなる中で、もっとも有利なポジションです。
そして、ここから雷電にとって最も不利なポイントの動きをした場合に6位以内勝ち抜けが有り得るのか検討します。

雷電がもっとも不利となるのは『想定しうる最大のチーム数が雷電のスコアを上回る』となります。そして、この想定しうる最大のチーム数というのは、各種条件で示すポイントの動きの条件にあるとおり、四者全員のプラススコアがあり得ないことから、理論上の最大数となる3チームが極めて大きいプラスを取るケースとなります。

ということで、各節で3チームずつが極めて大きいプラススコアを記録したケースが以下に示す図表Bおよび図表Cとなります。

図表Bでは青色の網掛けとなっている4チームが107節で出場し、うち3チームが雷電を抜くスコアで全日程を終了したケースです。

【図表B】107節終了時点モデル

図表Cでは赤色の網掛けとなっている4チームが108節で出場し、同じくうち3チームが雷電を抜くスコアで全日程を終了したケースです。

【図表C】108節終了時点モデル

上記のとおり、各節3チームが極めて大きなプラススコアを記録するケースが理論上起こりうることから、1位→4位→7位の動きを否定できません。
従って残り2節で8チーム中6チームが雷電を上回るケースは「ある」ことから、「雷電の106節終了時点の勝ち抜け確定条件:なし」と結論づけられます。

Case.2 雷電・格闘倶楽部・ABEMAS・フェニックス・Piratesの通過条件検討

続いて107節終了時点で、通過が確定する条件を満たすケースがあるのか検討していきます。
※以下に記載する順位表のモデルケースは五十音順で順位付けしています。各チームの順位付けに意図はありません。

◆各種条件
【通過条件】
・下位3チームに入る可能性が消滅する
【ポイントの動きの条件】
・四者全員のプラスおよびマイナスのスコアはあり得ない
・理論上取りうるスコアは無限大である

107節を終えて、想定上もっとも有利なポジションである1位~5位を独占した状態から、最終節でもっとも不利なポイントの動きとなる3チームが極めて大きいポイントを獲得するケースを想定します。

【図表D】107節終了順位モデル-2

ご覧のとおり、5チームが全日程を終え最終的なポイントが確定している状況であることから、この5チーム間の序列はすでに確定している状況です。
つまり、この時点で全日程を終えている5チームのうち上位2チームに入っている格闘倶楽部・ABEMASは下位3チームに入る可能性が消滅していることから、通過確定の条件を満たしています。
よって、この時点の通過条件の一つとしては「107節終了時点で全日程を終えた5チーム中、上位2チームに入る」が挙げられます。

それを踏まえた上で、この5チームにとってもっとも不利なポイントの動きをする3チームが極めて大きなプラススコアを叩いたケースを想定します。

【図表E】108節終了時点モデル-2

赤の網掛け4チームのうち、3チームが極めて大きなプラスを叩いて上位を独占しましたが、フェニックスまでが6位に残ります。
前提条件にある通り、プラスとなるチームは最大3チームであることから、【図表D】で総合3位に入っていたフェニックスは、どうやっても4チームに抜かれることがあり得ないため、これも勝ち抜け確定である下位3チームに入る可能性が消滅している状態です。
よって、条件の2つ目としては「107節終了時点で全日程を終えた5チームは、3位以内で終える」を挙げることができます。

【結論】107節で全日程を終える5チームについて
・条件1 この5チーム中、上位2チームに入る
・条件2 107節終了時点で3位以内に入る

上記いずれかの条件を1つ以上満たすと勝ち抜けが確定する。

3.結び

挙げてきた条件を裏返すと、敗退が確定する条件は「上位6チームに入る条件が消滅する」となりますが、9チーム中6チーム勝ち抜け・想定上マイナス無限大ポイントが3チーム記録される可能性もあるため、仮に107節終了時点で最下位となっていても、3チームが極めて大きいマイナスポイントで落ちてくる可能性があるため、最終節まで敗退が確定するケースは存在しません。
また、セミファイナルでは昨年の雷電のケースのように、14日目を終え2チームの序列が確定していて、かつ残る4チームの平均ポイントが雷電の最終スコアを下回っていたことから、条件の「全チームプラスがあり得ない」ことから、抜かれても3チームまで、下位2チームに入る可能性が消滅していたということになります。

これら数値上の動きと、理論を組み合わせ少々先ではありますが終盤戦の観戦の楽しみとして役立てていただければ幸いです。