Mリーグ2021ガイドブック製作裏話

昨年、いきなり出版大手・(株)KADOKAWAよりMリーグのガイドブックを出版するのでデータを提供頂けないかと言われてから早1年。
今年もガイドブックを出すのかなー…と思っていた矢先、Mリーグで最もフットワークが軽い神出鬼没・KADOKAWAサクラナイツの森井監督の某日のスペースを視聴していた時のこと。

「あ。速報さん、今年も出しますので、よろしくお願いします」





なんと、深夜12時も近い頃に公式ガイドブックのデータをスペースで依頼されるというなんともフワッとした感じで今年も携わることが決定した。

さすが天下の(株)KADOKAWA、さすが森井監督、さすが稲垣マネージャー(※オフィシャルガイドブックの奥付にも名前のあるKADOKAWAの社員の方)、動きが早い。どれくらい早いかというと、 こちらの記事  で昨季のオフィシャルガイドブック製作の裏話の記事をアップロードしてから、たった19分で御礼のDMを差し出してくれる、自社コンテンツの動きに敏感な仕事柄をいかんなく発揮してくる正に一流である。

ここで、去年と違う問題が発生していた。
Mリーグ成績速報、本業の方でなかなかと立て込んでおり、一時期職場も離れていてなんともしがたいところで仕事をしていた時期であった。
その状況下であることに加えて、2021シーズン開幕に向け、各種のデータ整理もしていたこの時期。
大体この時期はシリーズのデータの振り返りや、開幕に向けてどんなデータを取るのがいいのか思案しており、加えて過去の全公式戦596試合・7,233局の各選手の和了手役とドラの枚数やらのデータ一人で全部リチェックするという、地獄の様な作業を控えている中でデータの提供ができるのか。そんな状況であった。

全試合・全局の和了・放銃記録データの一部 これを7,233局をチェックする。

結局のところ、その憂慮事項も杞憂に終わったのが幸い。
仕事も8月には落ち着き、熱闘Mリーグ様に7,233局のデータをこしらえ、お盆過ぎにはある程度の成績データはまとまった。
かくして、8月中旬。Mリーグ公式ガイドブック2021の出版にあたってオンライン会議の場が設けられることとなった。


8月某日。初めて森井監督、チーム運営の稲垣様とWEBの場でご挨拶を果たす。熱心なMリーグファン・サポーターの方はサクラナイツの各種配信で森井監督以外のスタッフの声がすることがあるのをご存知だろうが、その声の主が稲垣様である。

そしてまずは、このガイドブックを作るにあたっての最重要事項を確認する。

「すいません。去年も同じことを申し上げたのですが、本当にフツーのMリーグファンの一般人が集計した非公式データを公式ガイドブックに載せていいんですか?」

『あ、全然OKです!機構からもOK取れています!』

嘘みたいな話であるが、「Mリーグ機構公認公式ガイドブックを発行するにあたり、Mリーグ成績速報(非公式)が集計した非公式データを、Mリーグ公式が掲載を公認する」という、訳が分からない状況が今年も続いている。
しかも2年連続で。あまりにも特殊な状況なので一応念のため公式からOKが取れているのか確認しておく。確認が取れた以上、雑なデータの作成はできない。数字を公開するにあたっては、その点は一番デリケートな部分である。

打ち合わせの中で2020シーズンのガイドブックから変わった点をざっくりと書き残すと

  • 非公式データの項目を2ページ→4ページに増

  • 昨年のデータに加えて、トリビア的なデータを追加

  • 実況・解説陣の名言とかを載せられないか?

こういったお話があった。3番目は事前のメールの中で色々とフレーズを思い出す中でメモをしていったのだが、如何せんピックアップしたフレーズの90%日吉辰哉プロ迷実況語録にしかならなかったため、残念ながらいい提案が出来なかったのが悔やまれるところだった。

一例を挙げると

「村上ジェン」
「ドラドラドラドラドラドラドラ」
「綱渡り幸太郎」
「風が吹いている」
「小林に自我が芽生えてしまった」
「たろうフェスタ2020」
「誠一さんに任せたんだよ、あなたで負けたらしょうがないっていっているんだ!リーチでいいじゃないか!」
「だんっっっだよっ、コレッ゛!!」


こんな感じのメモがあと20個くらい残っている。
今思い返せばガイドブックに載せられるワードは2個くらいしかなかったが、これだけで4ページが埋まりそうなので断念。是非とも有志の方々で『日吉辰哉プロ名実況bot』というアカウントを立ち上げてもらいたい。

そして、打ち合わせで落ち着いたのは

  • 手役・点数に関するデータ

  • 座順に関するデータ

  • 選手ごとの座順別成績

この3つをチョイスすることになった。
手持ちのデータで比較的簡単にまとめられるデータであるのと、最大のテーマ『ガイドブックを見ながらMリーグ中継を楽しむことが出来る』データにうってつけなデータを選ぶことができた。
強いて苦労したところとすると、ガイドブックを購入された方は既にご存知だろうが、2018~2020シーズンにおける『得点分布』の集計だった。

統計記録として、毎局「和了者・和了状態(リーチ・副露・黙聴)・打点・手役・ドラの枚数・ロン/ツモの別」を記録しているのだが、このデータを弄ることで打点別統計を作ることが出来たのがあのデータにつながった。
しかし、打点を記録していも翻数の統計がなかったため、テンパネと暗槓を含んだ1翻アップのパターンを探すのが厄介だったが、意外に1時間もあればまとめ終わり、本当にまとめていて良かった。まさかこの短期間にMリーグの全局を見返す機会が2回もあるとは思わなかった。

このデータは作ったことが無かったので、まとめた結果を見て非常に勉強となった。ぜひガイドブックでご覧いただきたい。

ということで、打ち合わせから4日。今年の原稿データをまとめ上げ、校正、そして発行と相成ったオフィシャルガイドブック。
校正原稿をいち早く頂いているので、ひょんなことから口を滑らせないように注意をはらっている中で森井監督からサクラナイツのオフィシャル配信の場において『今年もガイドブックはMリーグ成績速報さんのからデータをご協力いただきました!』と、生放送で言われた時には「えぇぇぇぇぇぇ、言って大丈夫なの????」といろんな意味で脅かされた思い出のあるMリーグ2021オフィシャルガイドブックは好評発売中なのでぜひお手に取っていただきたい。

そして、なんと制作のお礼として32選手全員のサイン入りガイドブックをプレゼントして頂いた。
サインの一つ一つに各選手のクセや個性が垣間見えるこの本は、一生ものの宝物であり大事に読ませていただいている。

セミファイナルシリーズが控える3月18日。
たった24試合でファイナリストを決する戦いに興奮と期待を寄せて、あらためてガイドブックに掲載されている名手を見返しながら激闘のセミファイナルの開幕を心待ちにしている。

乱文・雑文のなか、最後までご覧いただきまして感謝申し上げます。