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サブカル大蔵経50 諫山 創『進撃の巨人』(31)(講談社)

 エレンの周りの人たちの巻。それぞれのコンビの関係性が本当に丁寧に描かれる。あらためて一切捨てキャラがない作品だと感じた。裏主役はアッカーマン家。ひとり蹴り起こされるライナー。

 『進撃』は、途中から自覚的にメタになってきている。ここまで大きくなった作品を持て余しかねない中、それを露悪的に崩しながら寸前で踏みとどまるそのギリギリ感が伝わってくる。

 今までのマンガ文脈ではこの場面やタイミングで絶対出てこないだろうというセリフが、独特のコマ割りでひょいと出てくる。絵と同じくセリフの遠近感が異様。それがこの作品の天才的な魅力。どれだけキャラと向かい合ってきてるんだよと思う。

 本作自体がどんなパロディよりも上を行く感じ。この唯一無二の言語感覚、作品終了したら脚本家としても活躍できそう。絵も街の食べ物とか世界名作劇場感がアップしてきて大好き。

お前だってベルトルト食ったから!!
蘇ったんだろうが?!
コニーに言うよ!!お母さんはひっくり返った巨人のままでもいいんじゃないかって!!
たぶん順番が来たんだ。自分じゃ正しいことをやってきたつもりでも…
巨人の歯磨き手伝ってほしいんだ。こんな貴重な体験、滅多に無いぞ!
ブフォ アニ!?アニが!!…パイを貪り食ってる!!
ヒッチへ 偶然アルミンとコニーと会い行動を共にすることになった。先を急ぐ。迷惑をかけた。4年間話しかけてくれてありがとう。さようなら。陰湿なルームメイトより。
まったく…一人じゃ食べきれないじゃない…


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本を買って読みます。