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「デッキを選ぶ」ことについて《フリー対戦を楽しく遊ぶために》

私は、近頃フリー対戦の環境において、「お互いが楽しくなれるデュエル」について考えている。

前回の記事において、現在行われていることについての雑感を語らせていただいた。内容を端的に換言すれば、「お互いが拮抗する勝負をするには、手加減かデッキパワーの調整が必要」「手加減は相手に不快感を与える可能性があるため避けたい」「デッキパワーの削減や、使用デッキの制限は、本人の好きなカードを使えなくなる可能性があるため、それをしたところで楽しいデュエルと呼ぶことは難しい」といったところだ。

さて、それを踏まえた上で。与えられた課題は、

「お互いの好きなカードを封じることなく、デッキパワーを拮抗させる」

ということだ。

「拮抗」の意と、崩れる幻想

究極を言えば、「好きなカードは《ヴァレルソード・ドラゴン》です!」「好きなカードは《真竜皇V.F.D》です!」という人も、フリー対戦において肩身が狭くならないようにしていきたいというのだ。強力で、ヘイトを集めるようなカードだとしても、それが彼らにとって遊戯の《ブラック・マジシャン》や、海馬の《青眼の白龍》に値する存在なのだから、封じるのはあまりに酷だ。

とはいえ、それは非常に難しい問題である。強力なカードの搭載はデッキパワーの増幅に繋がり、そんなカードの有無によって、戦力に多大な差を作り出す。となれば、使った瞬間から蹂躙の可能性は生まれ、「楽しいデュエル」を目指す場合には使用ははばかられる。

対戦ゲームの宿命か、遊戯王においても強いデッキと弱いデッキは存在するのだから、その問題は消すことは出来ないだろう。だからこそ「環境」という括りが生まれる。そのパワーを簡単に揃えることはできない。

特にフリーデュエルにおいては、相手のデッキパワーは未知数ということが大きい。例えばV.F.Dを投げられて、普通に返してくる相手もいれば、何も出来なくなってターンエンドする相手もいるのだ。前者ではV.F.Dを使うことは別に許されるが、後者においては「強力なモンスターに踏みにじられた」というだけのつまらないデュエルに終わる。

構築段階でどうにもならない力量差は、プレイングで埋めることも考えられるが、それにも限界がある上、それが最も大きく現れる「妨害の使い方・使われ方」は、手札誘発の使用や過度な妨害を行わないフリー環境ではあまり縁がない概念である。

やや話が複雑になってきた。1度原点に立ち返ろう。当初の目標は何であったか。

「お互いに楽しいデュエル」「その上お互い好きなカードを使えること」「一方的にならず、ある程度拮抗すること」…拮抗とは何であったか。

《拮抗》…その意味は、「力が等しく、優劣のない様」のことである。

つまり「力が等しい」ということが必要なのだ。しかし、先程も述べた通りに、遊戯王にはテーマのパワーに「差」が疑いようもなく存在している。

つまり、「パワーカードや好きなカードを排して無理矢理デッキパワーを下げる」手をとらない限り、大きく開いたデッキパワーを拮抗させることは不可能であったのだ。


「デッキを選ぶ」ということ

しかしこれは、裏を返せば「そもそものデッキパワーがそこまで開いていないならば拮抗させられる」ということでもあるのだ。

つまり、デッキパワーを拮抗させ、「良い勝負」を行い、「楽しいデュエル」にするには、お互いのデッキパワーに差がないデッキ同士で対戦することが1番の近道なのである。

アニメを思い出して欲しい。遊戯王ZEXALにおいて征竜や魔導が登場人物を蹂躙しただろうか。ARC-Vにおいて遊矢は十二獣や真竜を用いて並み居る強敵を笑顔にしてきただろうか。

否。断じてそんなことはない。

「アニメさながらのような、逆転の連続のデュエル」は、常に拮抗したパワーのデッキによって繰り広げられてきたのだ。それを求めるならば、それに倣うしかあるまい。

では、その手段について説明することとしよう。

「そのデッキどれくらい強いですか?」

私が考えた案は、「対戦前に相手にそう聞く」ことである。

しかしこれでは抽象的すぎる。強さの基準というのは人によってばらつきがある。友人環境で戦っていた人、復帰してきた人、新規プレイヤー…彼らの「強いと思うテーマ」はそれぞれ違う。

何か、共通して言える基準は無いだろうか…あった。あったぞ。こう言えばいいのか。

「今の環境デッキを5として、あなたのデッキは1~5のどのくらいだと思います?」

昨今の環境デッキならば、YouTubeでも見てやればいくらでも紹介動画は転がっている。登録者数万人規模の大手が閃刀でもエルドリッチでもドラグマでも動画を上げに上げており、その強さは誰しも容易く知ることができるのだ。

そして、それと比較した場合の相対的な強さならば、非常にお互いの強さのレベルがわかりやすいのではないか。個人の主観によるところがあっても、何も無いよりは十二分にマシである。そして、そのレベルに応じたデッキを使えば良い。わからないなら中堅を使えば良い。

嫌いなデッキを組む人などいるはずがない。例えデッキを変えたとしても、そこには好きなカードや戦術があるはずだ。

さて、ここまで書いたがこの案は、私の貧困な発想力から捻り出した一例や叩き台に過ぎない。こちらの方が確実だ、という案はいくらでもあるだろう。あれば、是非教えて頂きたい。

蛇足・筆者の考え

さて、「レベルに合わせてなんて、そんなに多くのデッキを組むのは…」という方もいるだろうが、やり方を選べば1デッキ2000円程度で組めたりもする。その辺は、私の過去のnoteを見て貰えれば詳しく解説されている。時間と興味があれば。

今回は、お互いのパワーを拮抗させる手段の一つとして、「お互いにデッキを選ぶ」ことを紹介した。これならば、出番は少ないとはいえ、極端に強い・弱いデッキも後腐れなく使用できるだろう。

しかし、まだ全ての問題が解決した訳では無い。お互いにデッキを選んで戦って、その中でお互いに好きなモンスターを出し合ったとしよう。

しかし、出したモンスターは、「1番」好きなモンスターだったのだろうか?

冒頭に語った通り、人の好みはそれぞれだ。例示していた《真竜皇V.F.D》のような強いカードを好む人もいれば、逆に、ここで私の記憶にもないような、現代においては忘れ去られたカードを好む人もいるだろう。この記事においては、それらをぶつけた上で「良い勝負」にすることは難しいと判断し、一旦断念せざるを得なかった。非常に悔しい結果ではある。

どうにかして、それができる場を作れないか。現在のインフレしきった遊戯王では、相手に盤面を強固に固められた上でこちらを返されたとしたら、逆転は非常に難しい。何か、「持たざる者」に力を与え、「持つ者」に抗えるように出来る、どんなデッキ同士でも勝負をわからなくできる手段はないか…

考えながら、私は溜まった遊戯王ヴレインズの録画を消化していた。その時、私は気付いた。この番組にはあったではないか。カードの性能の他にも、勝敗を分ける存在が。

場がないなら作ればいい。ここは「フリー」だ、公式な場ではない。作ろう。新たな戦場を。ボクのロードだ。

すぐに私はこの構想に入りたいと思う。また公表できるくらいに様になった時にお会いしよう。長文かつ駄文をここまで読んで頂いたことに感謝しつつ、今回はこれで筆を置くこととする。


__「スキル発動!storm access!!!」

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