なぜ、私が「リハビリテーション科」医師となったのか? その2

皆さん、おはようございます。
今日から週末ですが、先週は皆さんにとってどんな1週間でしたでしょうか?

本日は、私がリハビリテーション科となった2つ目の理由についてお伝えしたいと思います。

2つ目は、『医療費の削減に貢献するから』です。

ところで、皆さんは日本の医療費が今、どのくらいかご存知でしょうか?
念のため説明しておくと、医療費とはあなたが病院を受診、もしくは入院した場合に生じる費用になります。

以下が年度別医療費の推移を示したグラフになります。

グラフ引用元: https://www.wellness-sora.jp/blog/medical-expenses-in-fy2022

2020年には新型コロナ感染症拡大による病棟の一部閉鎖や患者の受診控えもあり一時的に減少に転じたものの、概ね一貫して上昇しているのが分かります。更に、その金額は2022年時点で何と46兆円を超え、最高記録を更新したのです。規模で言えば、ベトナムや マレーシアなどの国々の年間GDPをも上回る金額(!!)です。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長によると、その背景には以下のような要因があるようです。
①平均在院日数・人口当たりの病床数が米国の5倍以上
②入院期間が短いはずの一般病床が慢性期病床の3倍
③特定除外制度(一般病床に90日以上入院している患者への優遇策)

④諸外国と比べて一般病床における入院日数が5倍
⑤諸外国と比べて寝たきり患者が5倍いる→医療介護費用が5倍

簡潔に言えば、とにかく日本は諸外国と比べて無駄に病院が多く、入院期間も長いということです。また、日本では長らくリハビリテーション医療が冷遇されてきたという事実もあります。現に、日本内科学会や外科学会は発足から優に120年を超えていますが、日本リハビリテーション学会は高々60年ほどの歴史しかありません。今でこそ「手術を受けた患者さんに対して可及的速やかにリハビリテーションを開始すべき」というのは定石となっていますが、数十年前までは安静にさせるのが常識でした。その結果、どれだけの患者さんを術後の廃用症候群(筋肉を使わないことによる身体機能の低下)で苦しめると同時に、無駄に医療・介護費用を増大させてきたことでしょうか?

以上を総合すると、「リハビリテーション医療の必要性は日本でもようやく認知されてきているものの、世界的な潮流にはまだ乗りきれていない」というのが現状でしょう。

リハビリテーション医療では、患者さんの事情や希望に応じて適切なタイミングで介入することにより、早めの退院・転院を促しつつ介護負担を減らすことが可能なのです。結果として、余剰の医療費・介護費用の削減が期待できる訳ですね。

私には、人々が自らの健康に対する意識を向上し、より希望を以て生きられる社会を築くという使命があります。少子高齢化, 防衛, 教育…など、日本社会を取り巻く問題は尽きない訳ですから、医療費を少しでも削減できれば、これらの問題に対してももっと予算を有効活用できると思いませんか?

長くなってきたので、本日はここまでにしたいと思います。
ではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?