あなたの知らない「階段」の世界


階段を工夫して居心地をステップアップしよう


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階段は、上下階をつなぐだけのものだと思っていませんか? 
実はデザインを工夫することで、インテリアになったり、ベンチになったり、狭い空間を広く見せることもできるんです。
あまり脚光を浴びることのない「階段」ですが、住まいの居心地を左右する重要な要素のひとつです。
今月はこの階段について特集いたします。


リビング階段のメリット・デメリット

リビング階段とはリビング内に階段が設置された間取りのことを言います。家づくりで、このリビング階段を検討する方も多くなっています。
リビング階段を設置すると家がおしゃれになりますし、吹き抜けとは非常に相性が良いですから、吹き抜けとリビング階段を同時に採用するケースが増えてきています。
リビングを通らないと2階に上がることが出来ないため、自然と家族が顔を合わせる機会が多くなるのがリビング階段を採用することの大きな利点です。また階段がリビング内に設置される為、リビングが広く見えるという視覚効果もあります。

リビング階段のデメリットは、暖房の熱が2階へ逃げていきやすく、部屋が暖まりにくいことです。
そのためにしっかり断熱性を高め、蓄熱床暖房など適切な暖房を行う必要があります。

わくわく楽しいリビング階段の施工例


1. 窓側でも採光を確保

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リビング階段下リビング階段は通常壁際に作られることが多いですが、写真の例は窓際に作られており、とても開放感があります。手すりも壁ではなくバーで、太陽の日差しも遮られることなく採光が確保できます。
手すりは踏み板との間にもう1本走っており、手すりの下から子供が誤って落ちる不安も和らぎます。


2. リビング階段下を収納に

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写真はリビング階段下空間を収納にしている例です。便利なだけでなく、グッとおしゃれ感が増します。
壁面・階段・床がいずれも同一系列の色調で統一されており、落ち着いたインテリアになっています。
天井近くに配置された窓も、窮屈さを感じさせない工夫のひとつです。


3.眺めがよいLDKにしたい時のリビング階段

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こちらは1.5F(中2階)をリビングダイニングにしている建物です。奥の窓から光も差し込み、部屋全体が明るくなります。
建物も眺めの良いロケーションに立地されており、リビングダイニングキッチンを高い位置に設計する必要があったため、このような構造になっています。


4.直線ではなく、折れ曲がったリビング階段

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写真はモダンカフェスタイルのリビング階段がある事例です。ゼロエネルギー住宅の認定を取得した建物で、家中の温度が一定に保たれる長所があるため、このようなリビング階段を設計することができています。
リビング階段のデメリットとしては吹き抜けで寒くなるので、高気密に加えて蓄熱床暖房がおすすめです。


5.階段下に秘密部屋

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階段下の家の形をした入口の先には秘密部屋があります写真。
さらに階段側面は黒板となっており、子供にとっては落書きパラダイス。


6.ユニークな形の階段

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写真の施工例では、階段途中のスキップフロアが空間に変化をもたらしています。階段が「移動する通行場所」から「過ごす場所」になっており、開放感のある過ごし方を楽しめます。まさに階段がリビング空間の主役です。


7.らせん階段

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らせん階段の施工例です。らせん階段は小さな家でもスペースを取らず、ゆるやかな手すりの曲線がいい感じのアクアセントになり、空間に変化をもたらす効果があります。


8.猫用のリビング階段

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写真は猫専用のリビング階段です。猫は高いところが大好き。さらに自分のテリトリーを確保することができる快適な遊び場となります。住まい手にとっては猫と共生する斬新な空間構成を楽しめます。


このように、いい住宅は階段を登ることさえ楽しくなる設計がされています。


階段の構造を学ぼう


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階段のバリエーションは年々増加しています。ベストな階段を選ぶにあたり、どんな構造でどのような種類があるか把握しておきたいものです。
そこで階段の構造と種類を、わかりやすくまとめました。
お気に入りのリビング階段を見つけ出す第一歩にお役立てください。
まずは階段の予備知識として、次の言葉をおさえておきましょう。


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■踏板(ふみいた) 足を乗せる板のこと。先端部分が段鼻(だんはな)。上面部分が踏み面(ふみづら)。

■蹴込み板(けこみいた) 立ち上がり部分で引っ込んでいる所のこと。

■側桁(がわけた) 踏板や蹴込み板を受ける、階段の両側にある斜めの材。

■踏み面(ふみづら)寸法 踏み面の奥行きから段鼻の寸法を除いた
寸法。住宅の場合、建築基準法では、15センチ以上。

■蹴上げ(けあげ)寸法 階段の一段分の高さ。住宅の場合、建築基
準法では23センチ以下。蹴上げが低く緩やかな階段は昇降も楽です
が、段数も多くなり長い階段になります。


リビング階段の種類をまとめると大きく次の6つです。

1.側桁(がわけた)階段

2.シースルー階段

3.力桁(ちからげた)階段

4.片持ち階段

5.吊り階段

6.らせん階段

・・・以下に詳しく紹介します。


1. 側桁(がわけた)階段


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側桁に踏板と蹴込板を差し込む溝を彫り、両側から挟んで固定する階段です。

デザイン性 ★★★☆☆ 3.0
安心感   ★★★★★ 5.0

最近では蹴込板がないバージョンも増えています。
光と風をとりこめます、しシンプルでかっこいいですね。


2. シースルー階段

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側桁に踏板をのせたような構造の階段です。
踏板を受け支えるために左右に走る側桁がギザギザに欠き
込まれています。

デザイン性 ★★★☆☆ 3.5
安心感 ★★★★☆ 4.0

光と風をとりこめ、部屋が明るく生まれ変わります。


3. 力桁(ちからげた)階段

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ささら桁階段の側桁1本バージョンです。
ささら桁階段は左右両側に側桁が走るのに対し、力桁階段は真ん中に1本だけ側桁が走る構造です。
1本でしっかり支える分、側桁幅は太くなっているのが特徴。

デザイン性 ★★★★☆ 4.0
安心感   ★★★☆☆ 3.5


4.片持ち階段

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踏板を壁に突き刺した階段で、シンプルで軽快な印象を受けます。壁には強度が必要です。

デザイン性 ★★★★★ 5.0
安心感   ★★☆☆☆ 2.0

まるで宙に浮かぶよう!リビング階段の究極形ですね。踏板内にスチールで補強しており、250Kgの荷重に耐えられます。


5.吊り階段

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踏板を上部から伸びるワイヤー等で吊った階段です。
ぐらぐら揺れないか心配ですが、しっかり施工すれば大丈夫。

デザイン性 ★★★★☆ 4.5
安心感 ★★☆☆☆ 2.5

鉄筋を上部から吊るした施工事例です。


6.らせん階段

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踊り場が必要ないため、狭いスペースにも設置できます。

デザイン性 ★★★★☆ 4.0
安心感 ★★★★☆ 4.0

パッと明るく広がる吹き抜け空間は、何ともいえない開放感があります。そんな吹き抜け空間にするならおしゃれならせん階段も検討してみましょう。ワイングラス片手に優雅に降りてみたいですね。


ここまでをまとめると、次のようなフローでリビング階段を選ぶといいでしょう。


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選びかたのポイントは、
※デザインを重視するのか
※歩きやすさや安全性を重視するのか
※省スペースを重視するのか
リビング階段選びのヒントとして、ぜひご自宅の
シンボルにもなるような、お気に入りのリビング階段を見つけてください。

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