台にアニバーサリー
悟と秋穂の新婚生活はボロアパートで始まった。
リサイクルショップで、最低限の生活用品を揃えたが、1つだけおしゃれなカントリー調の台を買った。
いつかこの台に合う部屋に住みましょうね。
2人はそう言って、台の裏側に
1998年12月25日 悟・秋穂結婚記念
と書いた。
二人は懸命に働き、子供にも恵まれ、
町外れに一軒家を建てた。
しかし悟は、次第に仕事で帰宅が遅くなり、秋穂は、家庭を顧みない夫にイライラし、喧嘩が多くなった。
秋穂は、あの台の裏の文字を恨めしそうに見つめた。
すると結婚記念日の文字の後に、何やら書いてあることに気づいた。
そこには、子供が生まれた日、入学・卒業した日から、つい最近の子供が就職した日まで、途切れることなく書かれていた。
さらに少し間を空けて、
2023年12月25日 銀婚式
2048年12月25日 銀婚式
とある。
秋穂は、悟の家族への思いを知った。
そして
2023年12月19日 悟に惚れ直した日
と書き足した。
ここまで 本文410文字
これはたらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。
お題は「台にアニバーサリー」
本文中にこの言葉は出てきませんが、お話のタイトルとしては、まさにそれ、という感じのお話になったと思います。
なんの捻りもありませんし、
これだけで惚れ直す?
と思う方もいるかもしれませんが、
このことに気がついた秋穂が、悟を見る目が変わったことにより、様々な相乗効果で、素敵な熟年夫婦になって行ったな違いない。
そんな希望を込めて書きました。
あくまでも、夢と空想です。
現実は…😅
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