塩人(しおんちゅ)

ねえ、くるみ、塩人しおんちゆって知ってる?
塩人が家に着くと、その家は幸運になるんだって。
塩人は、東西南北に盛り塩がしてある家に来るらしいよ。
どこかの塩が崩れてたら、その方角には気をつけろってことで、
盛り塩のてっぺんに小さな石ころとか木の実とかが置いとあったら、そっちの方角からいい事がやってくるんだってさ。

くるみの家は、お母さんがいつも東西南北に塩を置いていた。
もしかして、塩人がいるかもしれない。
くるみは注意深く毎日4箇所の塩を観察した。

塩人ってどんな感じなの?

見た目は小さな子供で、いつも塩舐めてるから、汗かくと塩が吹き出すらしいよ。

ある日弟のタクヤが、庭のどんぐりを東の塩の上に置いて遊んでいた。
タクヤ、だめだよ!その塩触っちゃ!
くるみは慌てて言った。

でもその日、東京のおばさんが突然やってきて、お小遣いをたくさんくれた。

え?タクヤは塩人なの?
見るとタクヤが大汗かいた帽子の内側は塩がふいて、白くなっていた。


ここまで  本文410文字
これは、たらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。

お題は、塩人(しおんちゅ)

昔子供が汗だくになった時、帽子が、塩を吹いていました。
偶然が重なると、不思議な存在を信じたくなる…
そんな気がします。

近頃は、塩が吹くほど汗をかく子っているのかしら…?


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