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ボクんちの笑うお面 4

騙されたと思って食べてみて!

又はじまった。
何度この手で、ボクは、嫌いな里芋を食べさせられたことか…

今日は、みたらし団子みたいにしてみたの。
絶対これならいけると思うのよ。
ね、食べてみて!

お母さんは、自信たっぷりな顔でボクに言った。

目の前のお皿には、一見したらみたらし団子みたいなものが、乗っている。
しかしボクは騙されない。
これは里芋だ。

とはいえ、お母さんがボクのために、いろいろ工夫して、なんとか里芋を食べれるように考えてくれているのはわかるし、
ね、お願い。
これだけでいいから
って、1〜2個お皿に乗せられると、
騙されていると思っても、食べてみようかという気になる。

お母さんは今まで、里芋で色々作ってきた。

豚汁に小さく切って入れたり、コロッケにしたり、油で揚げたり、グラタンにしたり。

カレーに入れた時は最悪だった。
大好きなカレーが、里芋の味でいっぱいになってしまって、一気に食欲がなくなった。

なぜそうまでして、里芋を食べさせようとするのか疑問だったけど、どうやらそれはお母さんの挑戦らしい。

ボクは今日も、結局騙されて、思い切って、一個をパクっと口の中に入れた。
口の中に、里芋のネチャネチャした感覚が広がる。

うぇ〜
ボクはそう言って、口の中の里芋を一気に喉に押し込み、水を飲んだ。

やっぱりダメだった?

お母さんは、ちょっと悲しそうに言うけど、
ムリ
やっぱり里芋じゃん

すると、ボクんちの、緑色のおじいさんのような顔のお面が、
またボクにしか聞こえない声で、
ケッケッケッケッ
と笑った。

夕食後、ボクはお面に向かって、
なんであんなまずいもの、食べさせるのかな。
と呟いた。
するとお面が
カタカタカタと揺れた。

ボクは、又お面の世界に行ける気がしてお面に触れた。
すると今日もお面は、黒い板からパカっと外れた。

ボクがお面を顔に当てると、お面は又ボクの顔にピタッと張り付いた。


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