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私たちが大好きなコシヒカリが食べられなくなる? 種子法廃止が私たちの生活に与える影響。

2018年4月1日、種子法が廃止されました。

種子法は1952年に制定され、日本人の主食である米・麦・大豆といった主要農作物の優良な種子を国が管理し、安く安定的に各都道府県に提供するという法律でした。

この法律が「民間企業の参入を妨げている」という理由で廃止されたのです。

そもそも種子法のベースとなる考えにあったのは"種子は公共の資産"であるというものです。

食を守っていくということは私たち日本人の生命に直接かかわる問題です。
それを営利目的の民間企業に任せてしまって大丈夫なのでしょうか?

どうやって種子は守られてきたか?

まず、これまで国はどのように種子を守って来たのか理解しておきましょう。

当たり前の事実ですが、タネは自然のものであり、一定の品質に維持管理することはたやすいことではありません。

自然のものであるタネから発芽したお米がどれも同じ味を保ち、今年も来年もスーパーに並んでいるという"意味"について少し想像してみてください。

優良な種子を守るためには、遺伝子工学に基づき各品種がその特性を維持しているかをチェックしたり、発芽率は一定担保されているか、ちゃんと生育するか、病原体はないかなどの厳密な管理と手間暇、そしてお金がかかるのです。

さらに地域に合った品種に改良するなどの努力を重ね、今や全国にある農業試験場には300種類にものぼる多様なお米が維持できているのです。

種子法の下で国は予算を確保し、公的機関に対して指示管理を行い予算を配るという形で責任を果たしてきました。

種子法廃止でどういう影響があるのか?

では、この種子法が廃止されたことでどういった影響があるのでしょうか?

国の論理は「種子法は既に役割を終えた。日本の農業が国際的な競争力を持つために民間と連携が必要なため、種子の生産に民間企業を参入させる」というものです。

言い換えると「国がお金を投下していたのでは、民間企業に付け入る隙がなく不平等ではないか」とも聞こえます。

既に述べた通り、種子の品質を保つためには膨大な時間と予算がかかります。それを国がしっかりと管理していたからこそタネが守られていたのです。

これを担うことができる企業はそう多くはないでしょう。

日本にもサカタやタキイという企業はありますが、世界の種子市場のほとんどを3つの超巨大グローバル企業が独占しています。

それはバイエル(モンサントを買収)・コルテバ(ダウ・デュポンから分社)・シンジェンタ(ケムチャイナの子会社)という企業です。

民間企業は利益の最大化が目的であり、株式会社という形を採用している以上企業は株主の持ち物です。

民間企業が参入することによってより多様性が生まれるとも言われますが、むしろ市場原理に従えば売れるものだけを販売することになるでしょうし、品種を多く保管しておく方がコストがかかります。
結果、品種の多様性が失われる可能性の方が高いと思います。

逆に今までの品質を保持しようとすれば、これまでよりもタネの値段は高くなりお米の価格は上がるでしょう。

また、雄性不稔(ゆうせいふねん)のF1種や遺伝子組み換え技術やゲノム編集技術を使って作られたものを、人体への影響が確認されていないからといって表示を伏せて堂々と販売していいという理由にはなりません。

まとめ

私たちが今美味しいお米をいつでも安心して食べられているのは、国・都道府県・農家の密接な関係性と人々の並々ならぬ努力があったお陰なのです。

それを簡単に顔の見えない株主たちに明け渡してはいけません。

彼らが必ずしも私たちの健康を第一に考えてくれる保証はないのです。
万が一一握りの外資系企業が独占するようなことがあると、私たちが大好きなコシヒカリが食べられなくなる日が来てしまうかもしれません。

とはいえ残された希望はあります。

使命感と勇気ある人々によって、私たちの食と健康を守るための条例が全国各地に次々と制定されています。

このことは『必ず道はある』ということを私たちに示してくれています。

参考:農作物の種子に関する条例

次の世代が安心して暮らしていけるようにみんなでタネを守りましょう。
タネは何万年も続く"人類の資産"なのですから。

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