コロナ禍におけるリスキーな人たち

日曜の夜にのんびりとニュース記事を眺めていたら衝撃的なニュースが目に飛び込んできた。

東京都で新たに47人感染 「夜の街」の同じ店で18人

最初、GWあたりのニュース記事にでも飛んだかなと思ったがどうやらそうではないようだ。このニュース記事を読んで東京アラートの解除は時期尚早だったのではないか、そもそも東京アラートに意味はあったのかと憤っている都民及び東京近郊の方々も多いだろう。

ただ、再び非常事態宣言を発令すべきだとSNSに投稿する前にちょっと待って欲しい。別のニュース記事も見てみよう。

東京で47人感染 約7割「夜の街」関連―新型コロナ

ほぼ同じタイトルの記事ではあるが、こちらは少し詳しく内訳を書いてくれている。

都によると、新規感染者の約7割に当たる32人が接客を伴う飲食店など「夜の街」で感染したとみられる。18人は同じ店のホストで、新宿区や都が店の協力を得て実施した集団検査で陽性が判明した。

新規感染者数のうち、ホストクラブの従業員及び利用客がその大半と言ったところだろう。この中にはキャバクラやガールズバー等も含まれているのかもしれない。

ここで非常事態宣言の話に戻そう。仮に4月5月と同様の非常事態宣言が再び発令されたとして、キャバクラやホストクラブ等の店舗が再び素直に営業自粛を受け入れるだろうか?

4月の歓迎会シーズンやGWの繁忙期を逃し、新規感染者数が落ち着いて人出が戻りつつある中で再び非常事態宣言が発令されたた場合、4月5月と同レベルの営業自粛は「夜の店」でなくても実施できるところは少ないだろう。雇用調整助成金も十全に機能しているとは言い難いし、何より都心ともなれば店舗の家賃自体が高額のためコロナ関連の助成金だけで賄えるところはごく少数と思われる。

また、度重なる非常事態宣言や営業自粛は「夜の店」に在籍している方々の希望を打ち砕くのに十分だろう。将来を悲観したアクティブな人間達がいずれ何をしでかすかについては、過去のニュースをちょっと思い出せば容易に想像できてしまう。

想像の域を出ないが、再び新規感染者数が急増して医療崩壊のリスクが高まらない限りにおいては、4月5月と同レベルの非常事態宣言が発令されることはないだろう。でなければ、なんのために感染防止のガイドラインを検討して公表したのかという話になってしまう。

接待伴う飲食店など 感染防止へガイドライン公表 経済再生相

非常事態宣言が発令される可能性が低いならば、ちゃんと「夜の店」が感染防止のガイドラインを遵守しつつ営業すれば問題ないと思う方もいるかもしれない。だが、ガイドラインの内容を読んで欲しい。

接待を伴うクラブでは、客の横についてカラオケやダンスを行うなどの接客は当面の間、自粛し、客どうしが同じグラスを使うことは避けるよう注意喚起するとしています。
ナイトクラブでは、大きな声を出すことを禁止するよう促し、飛まつの拡散を抑制するため、店内の音量を必要最小限にするとしています。

ガイドラインで制限される要素はビジネスの根幹を真っ向から否定している。そんなガイドラインを「夜の店」が感染防止のために遵守するだろうか。私としては強い疑問を抱かざるを得ない。学生時代、クラスで聞き分けがよく真面目に過ごしていたような方々が夜の世界にいるだろうか。多少の例外はあるかもしれないが大方逆だろう。

いわゆる夜の世界の方々は社会的にリスキーな存在と化したのだと思う。

もし今後、断続的に営業自粛を求めればいずれヤケになって事件を起こす人も出てくるかもしれない。はたまた事件を起こさずとも安定した収入基盤を築けず社会保障費の圧迫につながるかもしれない。また、営業自粛がなくても指示されたガイドラインを遵守せずに営業し、新型コロナの感染者数を急増させてしまうリスクが増大するかもしれない。まあ、新型コロナをただの風邪のようなものと認識されているお気楽な方々は特に気にしないだろうが。

政府や行政がこの手の問題をスマートに解決するのは不可能だろう。私のようなごく普通の一般市民にできることは、「コロナ禍におけるリスキーな人たち」と積極的に交流を避けて生きていくことぐらいだ。





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