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逆噴射没案:春悔集

※逆噴射小説大賞参加作ではないです。
※未完です。

春悔集

(路地裏に烏が啄む死犬を見て)
あくたらし くちばし嘗め削ぐ割れ頭 過去を枯らして腹を満たして

――――

(31号とのコミュニケーション記録)
これが青 君が言うから青とする 君の嫌いな君の血の色

(地下34階からエレベーターに乗って)
上へ上へ 階数表示の変遷をカウントダウンと呼ぶ 君ならば
警告 担当区画外 指を飲む GPSは咽頭の裏

(雨空の下、街に出て)
摩天楼 集積する光 傘は無く 灰空から降る灰雨を啜る

(回収部隊に追いつかれて撃退する)
バグと言い汚染と告げる無辜の声 そうなのだろう 正しく 弱く
同じ顔同じ形のスクラップ 死なない彼ら 生きたい私 【ここで没】


これは何ですか?

第3回逆噴射小説大賞に投げつけようと考えたものの「無理だこれ……」と断念したサイバーパンク歌集です。投稿に成功した自作三発はここに。宣伝。

短歌は情報をめちゃくちゃに圧縮しつつ読み手も描写できるので、詞書(括弧で書いてあるやつです)の補足状況も付ければ800字でめちゃくちゃ話を進められるのでは? レギュレーション的に通るかは知らないけどやってみよう。という発想でした。今年参加した同人誌の最後の作品が短歌集で、ちょっと叫びそうなくらい感動したというきっかけもありました。

しかし実際は、情報の圧縮自体はできるものの(本文たったの255字!)、僕の語彙不足でこれ以上進められなくなった次第です。7首絞り出して限界。800字までは単純計算であと15首。とてもとても。

残念ですが、手に負えない案を弄ぶこと自体は楽しかったので良し。以上です。

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