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スプラトゥーン2のハックギアは何故ダメなのか

タイトル詐欺です。筆者はハックギアをダメだとは思っていません。

ですが、現実問題として多くの大会でハックギアは使用禁止となっています。
使用禁止なら使用禁止でいいのですが、禁止にする根拠があまりにも短絡的だったり稚拙だったりするものが散見される上に、禁止にした場合のデメリットを把握していない人が多すぎるので、なぜダメなのか、その根拠は何なのかを解説します。

ハックギアとは

スプラトゥーン2にはギアというアイテムがあり、基本ギアパワーと追加ギアパワーの組み合わせによって対戦時に様々な恩恵を得ることが出来ます。
ギアはゲーム内のショップで入手する他、NintendoSwitchOnline のアプリから注文して入手することも出来ます。
追加ギアパワーはゲーム内で自由に付け替えられるのですが、基本ギアパワーについてはゲーム内で入手可能が組み合わせが限られています。
本来ゲーム内では入手できないはずだったギアと基本ギアパワーの組み合わせを、改造によって実現しているものがハックギアと呼ばれています。

ただし、スプラトゥーン2ではゲーム内で他人のギアを注文することが出来るため、改造によって入手したギアを他の人が「ゲーム内の正規の手段で入手」することも可能になっています。
また、ゲーム内で入手可能な組み合わせは毎日更新されているため、現時点では改造でしか存在しないギアであっても、明日には公式に入手可能になるかもしれません。

改造に対する前提の認識合わせ

ポケモンを例として、以下のパターンでOKかNGかを考えてみましょう

  • A) 改造で、ゲーム内では覚えない技・実現不可能なステータスを持ったポケモンを使う

  • B) 改造で、ゲーム内で実現可能な範囲の技・ステータスのポケモンを使う

  • C) 乱数調整で、ゲーム内で実現可能な範囲の技・ステータスのポケモンを使う

おそらく多くの人は A と B がNGで C はOKだと認識しているでしょう。以下、この前提で話を進めます。
C もNGというのも意見としてはアリだし、BもOKという意見もアリです。

なぜ改造はNGで乱数調整はOKという認識になるのか、違いはどこかというと

  • 改造という手段を使っているかどうかがポイント

  • 改造の結果がゲーム内で実現可能かどうかの問題ではない

となります。これがおそらく多くの人の認識でしょう。
ゲーム内の正規の手段で実現する限りはOK、ゲーム外のツールを使った改造はNG、ゲームのバグ利用は人によって判断が分かれる、といったところでしょうか。

ここで視点を広げて、なぜ改造が悪いこととされているのかを考えてみましょう。改造が悪いこととして避けられているのは

  • ゲーム開発者が本来想定していた遊び方から外れるため

です。これが一番の大元です。ゲーム開発者が想定していない遊び方を防ぐために

  • 利用規約で改造行為を禁止しているため

という2次的な理由が生まれます。

つまり、本来の目的としては、ゲーム開発者の想定していない遊び方をされる事(ユーザー間に不公平が生まれる、ユーザーに隠しておきたかった情報がバレてしまう、など)が避けたいことであり、開発者が想定していない遊び方を防ぐために、利用規約で改造を禁止している(手段)となります。

スプラのハックギア議論

なぜ改造が悪いのかは

  • A) ゲーム開発者が本来想定していた遊び方から外れるため

  • B) 利用規約で改造行為を禁止しているため

の2点と述べました。
スプラのハックギアは A の観点からはNGかもしれないが、B の点についてはOKということになります。
ここで B の観点からはOKという認識が無いと議論の前提が噛み合いません。

ニンテンドーネットワークの利用規約でも、NintendoSwitchの利用規約でも、改造行為は禁止していますが、それだけです。改造行為の幇助については触れていませんし、ましてやゲーム内での正規のプレイで実現可能なことについても触れていません。つまり、「利用規約上は」ハックギアをゲーム内の正規の手段で入手することは問題ありません。

なので、ハックギアが良いか悪いかを議論する場合は、本来の目的である A の観点について議論する必要があります。B の観点からは明確に法律上OKです。

ここまでを踏まえた上で、ハックギアをゲーム開発者の想定している遊び方から外れると思う人は使わなければ良いし、乱数調整と同じ程度の問題だと思う人は使えば良い、というのが筆者の意見です。

  • 乱数調整だって開発者の想定から外れた行為だったはずなので、これをOKと思うかNGと思うのかはその人次第

  • 公式にアナウンスが無い以上は公式の見解は「わからない」

  • ハックギアがダメなのはあくまでも「ユーザーが勝手に思っているだけ」

改造行為を幇助している(間接的に手助けしている)からダメ、という意見もあるかとは思います。ですが、次に補足するように、現実問題としてハックギアを禁止する事にも問題があります。

現実問題としての補足

スプラトゥーン2のハックギアについて、ユーザーの間にハックギア一覧というものが出回っています。改造によって作成されたギア一覧ですね。ですが、世の中に出回っているハックギア一覧は「不正な手段を使って」作られています。

毎日 NintendoSwitchOnline を起動してゲソタウンの入荷情報をこまめにチェックし、コロコロやセブンイレブンの特典など、ゲーム外で行われたキャンペーンも全てチェックしていれば、不正な方法を用いなくても「正規のギア一覧」を作ることは出来ます。
しかし、現実問題としてそこまで行っているユーザーは居ない(居たとしても、その人の情報を信用できるかどうかが判別出来ない)ので、ハックギア一覧は NintendoSwitchOnline のWebサービスに不正にアクセスした情報を元に作られています。

なので、ハックギア一覧を見るということは、不正な手段で入手した情報という意味ではゲームの解析情報を見るのと同じ事を行っています。
ハックギアなのかどうかを「ゲーム内や公式が用意した正規の手段で判別する方法がない」以上は、ハックギア禁止の大会に出るためにはハックギア一覧を確認するしかありません。

ハックギア一覧が作られている経緯を把握した上で、それでもなお大会ではハックギアを使用禁止するというのは、不正行為をしていない人を締め出しておいて不正行為に加担している、というのが筆者の意見です。

「改造はダメだから、改造に加担もしないようにしよう!」って言っておきながら、不正アクセスで得た情報を積極的に使っているのはおかしいと思いませんか?

もちろん筆者も改造はダメだと思いますし、改造に加担することも避けた方が良いとは思っています。でも現実問題として、不正な方法を使わない限りはハックギアかどうかをユーザーが判別できないのであれば、大会のルールでハックギアを禁止にするのは本末転倒だというのが筆者の考えです。

長々と書きましたが、スプラトゥーン3では基本ギアパワーも変更できるようですので、こんな下らない議論をしなくてもよくなりそうですね。
基本ギアパワーも変更可能になった、というのが公式の回答だと思います。


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