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須佐之男命(すさのおのみこと)の名前が付いた神社

建国記念日は青空が広がる晴天に包まれていました。神武天皇を祀っている神社が浜松市にあれば行ってみようと思っていたのですが、残念ながら浜松市内には存在していません(おそらく)

ならばと、以前ウォーキングコースの近くに須佐之男神社があると聞いていて前から気になっていたので、ウォーキングも兼ねて須佐之男神社に行ってきました。日本が建国されたおめでたい日です。きっと須佐之男命もお慶びのことと思います。


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空が青すぎるほどのすばらしい天気でした。きっと祝福の青空なのでしょう。今年は皇紀2681年です。これほど長く続いている国家は世界を見渡しても日本だけです。この長い歴史をずっと護ってきてくださっている神様に感謝の気持ちを忘れてはいけませんね。

戦争末期に焼失してしまった須佐之男神社

須佐之男神社は太平洋戦争末期、昭和20年6月の浜松大空襲により焼失してしまったそうです。戦後に氏子さんたちの尽力で10年後の昭和30年に今の社殿が再建されました。

須佐之男神社

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拝殿

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浜松は全国でも一番空襲を受けた街です。

とくに1945(昭和20)年6月18日は大空襲でした。午前0時すぎ、およそ100機のB29爆撃機が浜松に襲いかかりました。『見る読む浜松歴史年表』によると、この日だけで焼夷弾6万5000発が投下され、死者約1700人、負傷者約1500人を出し、約1万5000戸の住宅が全焼したそうです。

引用:中日新聞

近くにある縣居神社の隣接地に賀茂真淵が詠んだ作品が刻まれた石碑がありますが、その裏面には米軍戦闘機の機銃弾痕が今も残っています。

賀茂真淵歌碑

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機銃弾痕(生々しい)

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縣居神社

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各都市への大空襲。広島・長崎への原爆投下による民間人の大虐殺をおこなった時の政権はトルーマン大統領・アメリカ民主党であることを忘れてはいけない。



須佐之男命の暴れっぷり

須佐之男命は黄泉の国から戻った伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が穢れを祓うための禊で生まれた神様です。

左の目を洗った際に生まれた神様が天照大御神(あまてらすおおみかみ)
右の目を洗った際に生まれた神様が月読命(つくよみのみこと)
そして鼻を洗った際に生まれた神様が須佐之男命です。

天照大御神は昼の世界を。月読命は夜の世界を。須佐之男命は海原を治めるよう伊邪那岐命から命じられるのですが、まったく言いつけを守りません。それどころか根の堅洲国(黄泉の国)にいる伊邪那美命(いざなみのみこと)に会いたいと泣き暴れるばかりでした。その荒々しい泣き暴れっぷりが禍いを引き起こしたともされています。

あまりの泣き暴れっぷりに伊邪那岐命は須佐之男命の天つ神の身分を剥奪し天上界から追放します。天上界を出て行く時に姉の天照大御神に会いに高天原に行くのですが、それを「もしや高天原を奪いに来たのでは」と勘違いした天照大御神は武装し一悶着があります。(荒々しい須佐之男命がやってくるですから無理もありません)そして誓約(うけい)がおこなわれます。以下引用をご覧ください。

誓約(うけい) 古代日本で行われた占いのこと。
須佐之男命は天照大御神の疑いを解くために、宇気比(誓約)をしようといった。二神は天の安河を挟んで誓約を行った。
まず、天照大御神が須佐之男命の持っている十拳剣(とつかのつるぎ)を受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から三柱の女神(宗像三女神)が生まれた。
次に、須佐之男命が天照大御神の「八尺の勾玉の五百箇のみすまるの珠」を受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から五柱の男神が生まれた。
これによりスサノオは「我が心清く明し。故れ、我が生める子は、手弱女を得つ。」と勝利を宣言した。

アマテラスとスサノオの誓約:Wikipedia

これにより勝ち誇る須佐之男命ですが、せっかく姉に挨拶に行ったのにも関わらず武装していたり、誓約の結果に対しても「五柱の男神は私の勾玉から生まれたのだから勝ったのは私」と天照大御神が言ったことをいちゃもんと受けとめて面白くありません。高天原で大暴れをします。田を荒らしたり神殿にう○こをまき散らしたり。馬の皮を剥ぎ投げ飛ばしたりと、まるできかん坊のような振る舞いをします。その際に一人の機織女(はたおりめ)が死んでしまいます。

須佐之男命の恐ろしさを感じた天照大御神は岩屋戸に隠れてしまいます。太陽の神が岩屋戸に隠れてしまうのですから天上界も地上界も闇の世界となってしまいます。それが「天の岩屋戸隠れ」です。

まあ、有名な話しですよね。


須佐之男命は本当に暴君だったのか?

ここまでのお話しを見る限り、須佐之男命の傍若無人ぶりを読み解くことができますが、どれもお互いのすれ違いというか、言葉足らずやコミュニケーション不足が感じられるんですよね。須佐之男命が一言、「いや、争いに来たのではなく挨拶に来た」といえば天照大御神も武装を解いたでしょうし、そもそも伊邪那岐命が母親に会いたい子ども心を分かってあげていたら・・須佐之男命も追放されるような暴君の如く暴れん坊にはならなかったのかもしれません。

どの時代も親兄弟のコミュニケーションは難しいものですが、それにしても派手な暴れっぷりです。

まあそこは神話ですから。それにその後の須佐之男命の英雄さを描くのであればこのくらいの暴れっぷりはある意味既定路線といったところでしょうか。実際その後の須佐之男命は英雄的な描かれ方になりますからね。

須佐之男・英雄伝説

地上界に降りた須佐之男命は泣き悲しむ老夫婦と若い娘に出会います。足名椎命(あしなづちのみこと)と手名椎命(てなづちのみこと)の老夫婦。若い娘は櫛名田比売(くしなだひめ)です。
(足名椎命は大山津見神(おおやまつみのかみ)の子ども。伊邪那岐・伊邪那美の神生みで誕生した山の神様です)

この老夫婦の神と娘が泣いていた理由は八岐大蛇(やまたのおろち)に娘の櫛名田比売が食べられてしまうことを悲しんだことによります。

さあ!ここからが須佐之男命の英雄伝説の始まりです。

「八岐大蛇を退治するかわりに娘を嫁にくれ」いきなりの求婚にとまどう足名椎と手名椎でした。いくら八岐大蛇を退治するからと言われても、こんな見たこともない男に娘をやるのはちょっと・・・

足名椎は「いったいあなたは誰なのですか?」と須佐之男命に尋ねます。

「私は天照大御神の弟だが、何か?」

何か?と言ったかどうかは分かりませんが、天照大御神の弟だと聞いてかしこまる老夫婦。

「あなた様に私たちの娘を差し上げます」(モノじゃないぞ)

退治した折には櫛名田比売を嫁にもらう話しがまとまり、須佐之男命は八岐大蛇退治の作戦を立てます。

「強い酒を八つの用意してくれ」八岐大蛇は八つの体と頭を持つ大蛇です。八つの酒を飲ませ酔わせたスキに退治する作戦です。ちなみにこの強い酒は八塩折(ヤシオリ)というお酒として知られています。シン・ゴジラのヤシオリ作戦は八岐大蛇退治からきています。

尾の部分を切り落としたところ一本の立派な剣が出てきました。この剣が三種の神器の一つ、草薙の剣です。


八岐大蛇

ヤマタノオロチ


作戦が功を奏し、無事退治に成功した須佐之男命は櫛名田比売を妻とします。そして一緒に住む土地を探し、ある地にたどり着きました。そこは緑にあふれとてもすがすがしい場所でした。その場所を、すがすがしい土地という意味を込めて「須賀の地」と呼び宮殿を建てました。そのお宮が今の須我神社です(島根県雲南市大東町須賀にある神社)日本で最初のお宮だとされています。

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を
(やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)
引用:Wikipedia

この和歌は須佐之男命が宮殿を建てようとしたときに美しい雲が立ち上った様をこの歌に託したそうです。


その後、母・伊邪那美命のいる根の堅洲国に赴き、大己貴命(おおなむちのみこと:大国主命)とのエピソードへとつながります。


須佐之男命と大己貴命のお話しはこちらを参考にしてください。



本当は賢くて心やさしい須佐之男命

古事記に登場する須佐之男命は、当初わがままで暴れん坊に描かれていますが、本当の姿は賢くて心やさしい神様だと思っています。

八岐大蛇を退治する時には知恵を使い、八つの頭を持つ怪物を一気に攻め立てて退治してしまいますし、そもそも生け贄になろうとしていた見知らぬ娘を助けようとした優しい心の持ち主なのです。(須佐之男命の一目惚れのようですが)

大己貴命とのエピソードも知恵比べ的な要素が描かれていますし、最後には自分の娘である須勢理毘売命(すせりびめのみこと)と大己貴命の仲を認め、さらには立派な国を作りなさいと日本の国造りを大己貴命に託すあたり、かなりの男前さを見せています。

これらのことからも須佐之男命は日本神話の英雄であり、だからこそ人気もある神様なのだと思います。



動画を撮ってきましたのでこちらも是非ご覧ください。



御祭神は須佐之男命と合祀されている木花咲那姫命(このはなのさくやびめの命)

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拝殿内には須佐之男命と木花咲那姫命の絵が飾られています。二柱の神様が須佐之男神社の御祭神です。

木花咲那姫命は富士山の神様として知られています。桜の花のように美しい神様です。富士山本宮浅間大社の御祭神でもあります。いつか富士山本宮浅間大社にも行ってみたいと思いますので、木花咲那姫命の詳細についてはその時までお待ちください。(絶対に行く!)

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御利益

須佐之男命
・悪魔祓い:八つの首を持つ大蛇の怪物を退治しましたから。
・災厄除け:暴れたことで禍いを引き起こしましたが、その暴れっぷりは厄も追い払います。
・育児:誓約の際の五男三女神や須勢理毘売命や八島士奴美神(やしまじぬみのかみ:国土・島々の神)宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ:食物の神様)などを割と子孫は多い。大国主命もその一人。
・武勇の神:須佐之男命そのものです。もう何も言うことはありません。

木花咲那姫命
・富士山の神:父の大山津見神は山の神。
・子宝:火照命(海幸彦)・火須勢理命・火遠理命(山幸彦)。一夜の契りで身ごもる。火遠理命の孫が神武天皇(神倭伊波礼毘古命)
・安産:邇邇芸命(ににぎのみこと)からあらぬ疑いをかけられたことで決死の思いで子を生む(母屋に火を放ちながらも出産)



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御神木はイチョウの木。認定証なんてあるんですね。初めて知りました。

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木漏れ日が美しい。

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須佐之男神社は住宅街の中にひっそりとたたずんでいます。須佐之男命の荒々しさの一面など感じさせない静かな場所にあります。


建国記念日の日に訪れた須佐之男神社。初めてお参りさせていただきましたが、あらためて須佐之男命の神話に触れる機会を持つことができ、お参りしに行ってよかったと心から感じています。

建国記念日といえば神武天皇です。来週橿原神宮に行ってきます。今から楽しみでなりません。


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