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親愛なる

親愛なる恋人へ

お元気ですか、なんて言葉で始めるけれど、一緒の布団をかけて寝て、朝はキスをして仕事へ行ったときは眠そうだったけれど、それなりに元気だったよね。

こんなところに貴方への手紙を書くのは少しおかしいかもしれないけれど、貴方に読んでもらう勇気が出ないのでいつか気持ちがきちんとした時に読んでください。


付き合ってもう2年がすぎ、同じシャンプーを使い、一緒の布団をかけて寝るようになって2年、あっというまだね。

わたしは最近貴方といっしょに暮していることを少し後悔しています。

でもこれだけは言いたいの、嫌いになったわけじゃないし、別れたいわけじゃないの。ただ、もっとちゃんと段取りを踏んでから一緒に暮らせばよかったと、そう思い始めたの。


わたしたちは、ある災害をきっかけに一緒に住むようになったの、覚えているかな。2日も明かりがつかない中、ずっと一緒にいてくれたことが嬉しくて、もっとずっと一緒にいたいなんて、そんな簡単な考えだけで、今日も、明日も、明後日も、そして今になったんだよね。

もちろん家族には内緒。わたしは家族から支援をしてもらっている身分で、家族が住まわせてくれている家に貴方が住んでいるとばれたら、それはもう、世界の終りだよ。

そんなこと、最初から分かっていたのに、なんで結局今も一緒に暮らしているのかは、もうわからない。それが当たり前になっていたから。ああ、あと貴方にはもう、貴方だけの家がないからかな。


いま、わたしは貴方と一緒に暮らすのをやめようかと毎日考えています。毎日だよ。

でも言い出せないのは過去の喧嘩からかな。貴方はわたしには理解ができないところで頭に血が上り、一時の感情だけでシャットダウンして、家を飛び出すからかな。本当にそれが嫌なの。

わたしがなんで毎日”それ”を考えるのか、知らないでしょう?

例えば、ずっとテーブルに置きっぱなしの一眼レフだったり、脱ぎっぱなしにする仕事服だったり、服のポケットに物を入れたまま洗濯機につっこんだり、朝先に起きてもカーテンを開けてくれないことだったり、、、とにかく、何かあるとすぐもうイラッときちゃうのですね。

家に帰ってきてもずっと動画をみたり、せめてこれは、とお願いしてる家事をしてくれなかったり、使ったコップをテーブルに置きっぱなしにしたり、、、言い出したら止まらないのよきっと。

本当に本当にMAXでイライラしてたら、顔も見たくないし、話もしたくないのに、同じお布団をかけて寝るの、わたしには耐えられない夜もあるの。

それでもね、わたしは別れようとは思っていないよ、少なくとも今はね。でも、もう少し引いてみたら、貴方に優しく接することができるんじゃないかな、と思うの。

食器棚のお皿の配置が違うようになっていても、トイレットペーパーが無くなっていても、きっとそれは毎日じゃないから。間違っちゃたのかな?かわいいな、とそう思える気がするの。思えないかな?


一番最近の喧嘩は一昨日だけど、その前の喧嘩は壮絶だったよね、覚えてる?貴方は言っちゃいけない一言も言っちゃったんだよ。その後になんて言ったか覚えてる?

「俺たち合わないんだよ。」

その時の原因は、洗濯物の畳み方の相違。でも、そんなの割と当たり前のことに思うんだよ、だって育った環境がちがうんだもの。山崎まさよしのセロリが流れてくるよ。

でもさ、一緒に暮らすのをやめたら、きっとそんな喧嘩、なくなるよね。私はそう思うんだ。

でもやっぱり言えない。ヘロヘロになって二日酔いでゲロゲロしてる姿は見せられても、やっぱりそれは言えないんだよ。

だって一緒にいるのは楽しいもん。一緒にテレビをみて笑ったり、育ててるレモンの葉っぱが枯れてるの見つけて一緒に調べたり。きっと一人だったらつまらない毎日が楽しい毎日になる。

だからわたしは、貴方から言ってくれるのを待っています。一人暮らししようと思う、でも別れるつもりはないよ、毎日でも遊びに来てほしいし、週末はお泊まりしよう。そう言ってくれるのを待ってる。

お互い一人の時間を、趣味や将来のための時間にできるようになるのが理想だよ。

そしてまた、わたしがもう少し大人になって将来の夢をかなえて、心に余裕ができたら一緒に暮らしませんか。新しい家具を選んだり、二人で内見に行ったり、今度は家族にも伝えて。きっと今とは違う二人の暮らしができると思います。


そんなことを考えながら、今日も貴方の服を洗濯し、夕飯に何を作るか考えています。もうすぐ生理が来そうだから鉄分多めに採りたいな。

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