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イード・アルアドハー 2024 (国際イスラム大学にて)

6月17日と18日の二日間は、イード・アルアドハー (Eid al-Adha)による祝日でお休みでした。マレーシアでは、Hari  Raya Hajiと言われているみたいです。イード・アルアドハーはイスラム教において、祝祭をあげる日なので、大学内は、嬉しそうな学生たちで盛り上がっていました。
どんな様子か気になって、大学のキャンパスに行ってみたので、イード・アルアドハーの日の大学の様子を、記録しておきたいと思います。


イード・アルアドハーとは?

イスラム教には、宗教的祝祭をあげる主な祝日が年に2回あります。一つがイード・アルフィトル(Eid Al-Fitr: عيد الفطر)で、もう一つが、イード・アルアドハー(Eid Al-Adha: عيد الأضحى)です。

イード・アルフィトルはラマダン月の最終日の日没から、国によって異なりますが、2日から1ヶ月にわたり、祝祭をあげます。その期間は、聖なるラマダン月中の断食が明けたことや、集中的な信仰行為を遂行したことを、ムスリムみんなでお祝いをします。

対して、イード・アルアドハーは、イスラム教の暦(イスラム教の暦は太陰暦です)であるヒジュラ暦の12番目の月に当たるズル・ヒッジャ(Du al-Hijjah:ذو الحجة) という月の10日に始り、その日から3日ほど続きます。このイードの期間をTashreeqとも言います。
イード・アルアドハーは、犠牲祭であり、この期間の1日目の一番最初の朝の礼拝後に、一般的には、うし、やぎ、羊、ラクダなどの動物を屠殺して、家族や隣人、貧しい人たちと分け合って食べます。
(*アラビア語のEid عيد は、祝祭、祝日、お祝いの意。Adha أضحى は犠牲にする、生贄にするの意。)

この祝祭の背景は、預言者アブラハム(イスラム教ではイブラヒームと呼ばれている)がアッラーの命令によって、息子のイシュマエル(イスラム教ではイスマイールと呼ばれている)を殺す(屠る)という、クルアーンに書かれてある物語からきています。しかし、この話の起源を辿ると、それは旧約聖書から来ています。

どんな物語かというと、
ある時、預言者イブラヒームは、息子のイスマイールを、殺す(屠る)夢を観る夜が続いていました。預言者イブラヒームは、これをアッラーからの命令だと理解し、その旨を息子に伝えました。
これに関しては、クルアーンの37章(整列者章)102節に書かれています。
فَلَمَّا بَلَغَ مَعَهُ ٱلسَّعۡيَ قَالَ يَٰبُنَيَّ إِنِّيٓ أَرَىٰ فِي ٱلۡمَنَامِ أَنِّيٓ أَذۡبَحُكَ فَٱنظُرۡ مَاذَا تَرَىٰۚ قَالَ يَٰٓأَبَتِ ٱفۡعَلۡ مَا تُؤۡمَرُۖ سَتَجِدُنِيٓ إِن شَآءَ ٱللَّهُ مِنَ ٱلصَّٰبِرِينَ
こうして、彼(イスマーイール*)が彼(イブラーヒーム*)と共に働くようになるまで成長した時、彼(イブラーヒーム*)は言った。「息子よ、実に私は夢で、私がお前のことを屠るのを見るのだ。ならば、お前はどう思うか、考えてみるがよい」。彼(イスマーイール*)は言った。「お父さん、あなたが命じられることをして下さい。あなたはーーアッラー*がお望みならーー、私が忍耐*強い者であることを見出すでしょう」。

(*サイード佐藤さんの翻訳を参照)


息子のイスマイールは、そのことに同意し、彼の父である預言者イブラヒームは、アッラーの命令を遂行し、アッラーに対する信仰をまっとうするために、イスマイールを殺すこと(屠ること)を実行しました。その途中で、シャイターン(悪魔もしくはサタン)であるイブリースが、イブラヒームに思いとどまるよう誘惑しましたが、イブラヒームはそれを振り払い、実行しようとしました。
最終的には、イブラヒームがついに息子のイスマイールを殺そうとしたところで、アッラーが大天使のジブリールを通して、彼もうすでに、アッラーからの啓示を実行したので、アッラーは、彼の信仰心と忠誠心を確認し、息子は殺さずに、代わりに、大天使ジブリールを通して羊が送られ、最終的にイブラヒームは羊を屠るに至った、と言う話です。

この物語が、起源となって、イード・アルアドハーで、動物の犠牲が行なわれています。この儀式は、アッラーの命令によって、息子のイスマイールを屠るほどの、預言者イブラヒムの、アッラーに対する従順さと信仰深さを記念するようなものです。
動物を犠牲することをQurbaniと言いますが、この屠殺の行為を通して、背景である預言者イブラヒムと息子のイスマイールの物語が、イスラム教徒にとって、アッラーに対する信仰心を顧みる機会になるのかもしれません。

また、ズル・ヒッジャ月と言うのは、ムスリムがサウジアラビアのメッカで巡礼をする月でもあります。このメッカでの巡礼をハッジ(Hajj)といいます。
これは、ズル・ヒッジャ月の8日、9日、10日にかけて行なわれます。なので、ハッジが終わると、イード・アルアドハーもやってきますね。ハッジは、イスラム教の5行のうちの一つで、金銭的に余裕があれば、全てのムスリムが行うことを義務付けられています。この期間には、世界中からムスリムがやってきて、カアバの周りを周ったり、たくさんお祈りをしたりして、自分の信仰心を刷新します。

ムスリムたちによる、メッカでのハッジの様子。真ん中の黒い四角いのがカアバで、ムスリムたちは、それに向き合いようにしてお祈りをしている。

イスラム大学のキャンパス内でも、Qurbaniは行なわれます。去年は、イード・アルアドハーの前日にこれから屠殺されるであろうヤギが、キャンパス内の木に繋がれているのを目にしました。今年は、実際に屠殺するところを見学してみたかったですが、寝坊したせいで、それは叶いませんでした。😅

イード・アルアドハーの初日の朝8時ごろ、大学内のモスクで礼拝があります。それが終わると、あとは自由です。人それぞれ好きなように時間を過ごし、ご飯を食べたり、出かけたりして友達や家族との時間を楽しみます。朝の礼拝が終わると、通常は大学内のどこかで、屠殺が行われているようです。今年のイード・アルアドハーは自分が寝坊したせいで、朝の礼拝を見に行くことができませんでしたが、遅刻していったものの、キャンパス内で、学生が踊っていたり、友達に会って一緒に写真を撮ったりということができたので、とてもよい時間を過ごせたと思います。

イード・アルアドハー2024 in 国際イスラム大学

礼拝後の人々の様子。キャンパス内のモスクの男性用エントラスの前を撮影した。
礼拝後は、お互いにお祝いの挨拶を交わしている。イードムバラク。
大学には、最近マレーシアに観光ビザでやってきた韓国人のルームメイトと行ってみた。当日の朝、彼女を誘ってみたら、一緒についてきてくれた。この韓国人のルームメイトは、イスラム教徒ではないので、イスラム大学での経験は新鮮だったようだ。彼女とキャンパス内を歩いていたら、マレーシア人の友達にばったりあった。
私の大好きなマレーシア人の友達。同じ学科の子。
イスラム大学の日本人の友達にも会って、一緒にセルフィーした。
また別の友達にも会って、写真を撮った。イード中は、みんなドレスアップしているので、周りを見ていてとても楽しい。いろんな国からの学生がこの大学に通っているので、いろんな国の民族衣装をみることができる。
大学内の広場では、アラブ人学生が踊っていた。
独特なステップを踏んでいた。
マレーシア人学生たちのほとんどは、イード中は帰省するので、キャンパスに残っている学生のほとんどは、留学生しかいない。アラブ人学生たちをたくさん見た1日だった。
みんながそれぞれの国の服を着ているのを見ている時、とてもワクワクする。
その後は、ルームメイトの韓国人に大学内を紹介した。キャンパス内のモスクで撮影した写真。私も彼女はイスラム教徒ではないが、大学内ではヒジャブをつけないといけないと言うルールがあるのでつけている。
せっかくなので、韓国人の友達に写真を撮ってもらった。
後ろに映っているのが、大学のモスク。
大学のメインエントランスでも写真を撮ってもらった。


この日は、いつにも増して晴天だったので、本当に暑かった。大学を後にして、涼しいモールへ行き、韓国人のルームメイトとそのまま日本食チェーン店で昼食をとった。
私は、この冷やし中華を注文した。冷やし中華ってこんな感じだったっけ?


去年のイード・アルアドハーは体調がすぐれず部屋に篭りきりだったので、今年は、大学内のイード・アルアドハーの雰囲気を経験してみることができてよかった。何よりも友達と会えたことが嬉しかった。
反省点は、寝坊かな。。。色々経験できるチャンスを逃さないよう気持ちを改めます。笑

おしまい。

*以下は、この記事を書くにあたって参考にしたWebサイト👇


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