大企業社長の権力VSベンチャー社長の権力 どっちが上か!?

大企業社長の権力VSベンチャー社長の権力 どっちが上か!?

モルガン・スタンレーを退職し、現在【スパルタ英会話】というベンチャーを立ち上げています。マイナビニュースでコラムを連載しているのですが、「数字関係が煩雑すぎてこちらの記事はボツです!」って言われてしまったので、ぜひみなさんとディスカッションをしたく、noteに初投稿します!w

「会社を辞めて起業したいのですが、友達から『なんで大企業の社長を目指さないの?』と言われて悩んでいます。」という相談を5大商社に入社した2年目の後輩からされました。

そもそも大企業の社長を目指すとうい観点があまりなかったので、面白いなぁと思いつつ、《大企業の社長を目指す》ことと、《ベンチャー企業の社長を目指す》ことのどちらが良いのか。
そんな考察をしてみたいと思います。

大企業とベンチャーの違いは、やれることの幅が違ったり、新事業にかけられる金額が違ったり、助けてくれる社員数が大幅に違ったり、今までの歴史が違ったり、社外との関係性や信頼性が違います。一言で言ってしまうと、社長が持っている「権力(権限)」が違うということですね。

「大きいことをやりたいなぁ!」とか「権力を追い求めたい!」という方は一緒に考察してみてください。

ただ、権力の絶対的大きさだけを比べたら、どう考えても大企業社長の勝ちなので、ここでは「期待値」という考え方を入れて考察してみましょう。

「期待値」という言葉から説明しますので、わかっている方は読み飛ばしてください。

期待値とは?

詳しくは数学の教科書を読んでいただきたいのですが、簡単に言うと、「その事象が起きる確率と、その事象が起きた時の変数を掛け算したもの」です。
賭け事にするとわかりやすいかもしれませんが、「ギャンブルにおいて掛け金に対して戻る金額の期待値とは、戻ってくる「見込み」の金額」です。

例えば、ここに10枚の宝くじがそれぞれ300円で売っていたとします。
この中に、当たりくじは1枚だけです。当たると3000円もらえます。つまり、当たりくじを引いたひとの総取り状態ですね。

そうすると、「当たりが起きる確率」は10%ですね。「当たりが起きたときの変数」は3000円です。

宝くじを買うときの期待値=10%×3000円=300円

このような計算になるので、それぞれの宝くじの期待値は300円です。つまり、300円の期待値のある宝くじを300円で買うことになるので、トータルで見れば損ではありません。

実際の宝くじはこうではありませんよね?
10枚の宝くじが300円で売っていて、その中の当たりくじは1000円しかもらえません。

つまり、
宝くじを買うときの期待値=10%×1000円=100円
となってしまいます。

期待値100円の宝くじを300円で買っているわけです。

これが、期待値のざっくりした理解です。

では、
大企業の社長になれる確率×権力 VS ベンチャー企業の社長になれる確率×権力

どちらの方が上なのでしょうか?
私の独断と偏見による計算なので、もっとこうしたら精度が上がると言ったご意見があればぜひいただけますと嬉しいです。

大企業社長になれる確率

まずは大企業の社長になれる確率を計算しましょう。
大企業の社員と言われている人数の中の、社長の人数を割り出せばいいでしょう。
ただし、単純計算すればいいわけではなく、前後数年の同期世代の中で1人だけが社長になるわけなので、全社員の中ではなく、前後数年の同期世代の中の社長になれる確率です。

よって、以下の前提条件を調査の元、置きました。(令和元年5月現在)
1:日本で東証一部に上場している会社数は2141社(大企業と定義)
2:社長の平均任期は7.1年
3:社長の平均年齢は58.9歳
4:58.9歳まで生きれる確率は91.9% 
5:大企業への就職率=採用人数 / 同世代人数=12万人 / 55万人=22%

参照2:東洋経済
参照3:帝国データバンク
参照4:約60歳として計算 厚生労働省 平成24年簡易生命表より
参照5:https://takope.net/saiyoushijo-ibitsu


上記を文章で説明すると、「大企業の社長になるには、大企業にまずは就職して、社長になれる年齢まで生き延びて、かつ前後数年の同期世代の中で一番にならないといけない」ということです。

それでは計算に移りましょう。

まず、大企業に就職する時点で、22%の関門をくぐり抜ける必要があります。
その後、社長の年齢に達するまでの生存確率が91.9%なのでかけましょう。

22%×91.9%=20.218%

つまり、20.218%の確率で、大企業に就職して58.9歳まで生きられます。


一方で、会社の中で社長になれる確率を計算してみましょう。

平均任期が7.1年で、同期が12万人なので、
社長を争う人数=7.1年×12万人=852000人

となります。

会社数が2141社あるので、当然社長も2141人。
つまり852000人で2141個の社長の席を奪い合うわけです。
よって、

大企業に入った人が社長になれる確率=2141 / 852000=0.251%


ようやく出てきた数値を掛け合わせましょう。
大企業社長になれる確率
=大企業に就職して58.9歳まで生きられる確率×大企業の中で社長になれる確率
=20.218%×0.251%
=0.05%

大企業社長の権力

それでは、大企業社長の権力を考えてみましょう。
ここではシンプルに、売上・利益・社員数の3つを、大企業社長が持っている権力としましょう。
売上の大きさは社会的インパクトですし、利益額は社長が自由に使えるお金(実際は自由ではありませんが、投資や株主への分配などを決められますね)、社員数は社長の指揮下にある人数です。

以下、東証一部企業の2018年度の平均売上・営業利益・社員数です。

売上:3796億円
営業利益:289億円
社員数:1490人


参照:産経WEB版
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180516/bsg1805162115003-n1.htm

参照:https://raorsh.com/daikigyo

大企業社長の権力期待値

やっと、ここで大企業社長の権力期待値を計算できます。
上記で出てきた大企業社長になれる確率と、売上などの数値を掛け合わせると、どの程度の権力があるかがわかります。

売上:3796億円×0.05%=1.9億円
営業利益:289億円×0.05%=1400万円
社員数:1490人×0.05%=0.7人

このような結果になりました。

つまりは、自分がベンチャー企業を立ち上げて、売上を1.9億円以上にできたり、1400万円以上の営業利益を上げられたり、社員数にいたっては1人以上採用できれば、大企業社長の権力期待値を超えるということですね!!(笑)

では、ベンチャー社長についても同じく計算してみましょう。
ベンチャー社長のほうがデータは少ないので、なんとなくのイメージを持ってもらえればと思います。


ベンチャー社長の権力期待値

ベンチャー社長の期待値を決めるには、しっかりやろうとすると、○年後のベンチャー企業生存率×権力を1年ごとに積分して計算しないと正確な数値は出ません。

なので、データをまず羅列して、その期待値をみなさんがなんとなく想像するという形にしましょう。

IT系企業(情報通信産業)のデータで計算に使えそうなものがあったので、情報通信企業に絞って考察を進めます。

以下のグラフは1994年以降に設立された情報通信産業のうち1999年以降に上場した企業をベンチャーと定義し、その企業の平均売上の推移です。

情報通信産業ベンチャー企業の合計売上高と平均売上高

画像1

画像2

(単位:百万円)
参照:総務省
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/other015_200707_hokoku.pdf

5年後は平均売上高が約43億円。
10年後は約100億円となっています。

この売上高は「上場しているIT企業」の推移なので、上場する確率もかけてあげないと、正確な期待値は出ません。
上場件数は2016年84件、2015年95件、2014年78件と100件に満たない数字で推移しています。一方、年間の起業件数が5万社なので、上場できるのは全体の0.2%未満となります。

ベンチャーの中でも、偏った業界での期待値になりますが、下記文章のような計算ができる前提条件が揃いました。
「1994年以降に設立され、1999年以降に上場した、情報通信産業のベンチャー社長の持っている売上高という権力期待値」

5年後:43億円×0.2%=8600万円
10年後:100億円×0.2%=2億円
20年後:不明

注:
ちなみに、ベンチャー企業の生存率はこのように言われています。
5年後:15%
10年後:6.3%
20年後:0.3%
今回の計算で生存率は掛けていません。なぜなら、そもそも上記計算の定義が【「上場している企業の数値」×「上場する確率」=期待値】なので、倒産している企業も上場する確率の中に含まれていることになるからです。


大企業社長の権力VSベンチャー社長の権力 どっちが上か!?

あなたが仮に20歳の学生だとしましょう。
大企業社長になるには、約40年の歳月が必要で、40年後の期待値は売上高1.9億円です。

一方で、ベンチャー社長だと10年後には売上期待値2億円となりますので、【期待値だけを見るとベンチャー社長の方が有利である】という結論になります。

ただ、もちろんこのような結論では反論がいっぱい出てきますので、あえて反論を出しておきましょう。

大企業社長の方が上だ!!という反論

反論1:グラフを見ると、12年後にかけてベンチャーの売上は急落しているので、10年後が華なだけだ!
>その通りです。なので、10年後ぐらいにM&Aで大企業に売るなりして、お金を得るといいでしょう。

反論2:そもそも情報産業だけじゃないか!
>その通りです。これはデータがなかったので、すみません。。。ぜひ、別の考察方法を教えて欲しいです。

反論3:大企業に入る確率の22%をかけているが、俺は大学生ではなくてすでに大企業に入っている!!だからそれぞれの期待値にかけている22%はいらなくなるので、売上期待値も8.6億円ぐらいになる!!
>その通りです。大企業にすでに入っている方にとっては、辞めて起業するのはリスクが上がるかもしれませんね。ただし、大企業に入って数年すれば、自分が社長コースに乗っているかどうかわかりますよね?そうすると、どんどんと大企業社長になれる確率が大幅に変わってくるはずなので、期待値も変わります。今のあなたのポジションや年齢によって、このまま会社にい続けた方が良い期待値と、新天地に向かった方が良い期待値が変わってくるので、ぜひ考察してみてください。

反論4:大企業は社長になるまでの間もずっと安定だ!ベンチャーは不安定だ!
>その通りです。大企業であれば、社長になれなくて、平社員でもとても権力のある会社もあります。部長の権限、取締役の権限はとても大きなものでしょう。なので、社長になるまでの権力を足し上げていくと、ベンチャーより上かもしれません!そこまで深い考察は今回はなしにして、定点観測をしてみました。

反論5:そもそも、ベンチャーの中の成功例だけのデータだ!失敗例、つまりは倒産になってしまう!!
>その通りです。反論4は時間軸で権力を足し上げていきましたが、それと同じく、横軸で、失敗例も含めて足し上げていくと大手企業の方がいいかもしれません。

反論6:ベンチャーは最初にリスクを背負うじゃないか!資本金とか必要だろう!!
>その通りです。ビジネスによっては、最初から数千万円という投資や、借り入れなどをしないといけない可能性もあります。


最後に

いかがでしたか?
いろんなデータがあるので、もっと考察したらおもしろいなぁと思う内容です。

10年と40年の差をどう考えるかですね。
人それぞれ、価値観やストレス耐性などが違うと思いますので、考察してみてください。

私ももっと考察したいですし議論したいので、ぜひ、どんどんご意見ください!
Twitter(Komotori@スパルタ英会話)も最近始めたので、議論しましょう!(笑)

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