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ドアの前でマスクを外して季節の匂いを嗅ぐ

タイトルそのままのお話です。リバウンド解消のためのウォーキングを初めて1か月半。買い物を含め1時間ほど歩いてたどり着いた自宅マンション。さらにエレベーターを使わずにヘロヘロになりながら階段を上がる。

階段を上がったところで、どうにも息苦しくてマスクを外したら、「ぱあーっ」と空気が鼻と肺にはいってきた。そう、ぱあーっという感じで。もう、心地よくて。何か月もこの感じを味わっていなかったなとつくづく思った。空気が入ってくるだけじゃなくて季節の匂いまで感じた。

季節の匂い、人それぞれ感じ方は違うかもしれないが、私の場合、冬の夕方は冷たくて枯れた草木の匂い。中学高校時代の放課後のイメージ。懐かしい感じ。誰もいないドアの前でマスクを外して思いきり深呼吸する。ああ、何と長い間、これを忘れていたことだろう。そういえば今年は沈丁花もキンモクセイの匂いもわからなかった。

匂いは記憶と結びつきやすいという。匂いを感じない日常は、ずっと将来に思い出しても「毎日マスクしてたいへんだったな」という思い出にしかならないだろう。こんな日常は一年で十分だ。

いつかマスクを外して歩いても安全になったら、きっと私はあちこちで深呼吸しながら、時々は咲いている花の匂いを嗅ぎながらウォーキングしている怪しい人になっているだろう。それまでウォーキングが続いていれば。

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