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改良メダカと遺伝子組換えメダカ

何気なくネットニュースを眺めていたら、アクアリウム関連の事件がありました。カルタヘナ法違反での逮捕と言うもので、過去にはメダカの違法飼育販売で逮捕者が出ています。
備忘録として何となく事件の内容等まとめて、何となく品種改良に関してざっくり浅く調べた知識や、何となくの感想を書いていきます。



カルタヘナ法違反による逮捕

令和6年1月15日に遺伝子組換えで作られた光るベタを未承認で輸入、飼育、販売したなどのカルタヘナ法違反の疑いで熱帯魚店経営者夫婦の2人が逮捕されました。また、同容疑者らは光るベタ『ネオンベタ』と言う名称で販売もしており、それらを購入し、飼育した関係者5人が令和6年1月17日に書類送致されたとの事。ちなみに1匹2500円〜3万円で販売していたそうです。率直な意見として法を冒してまで販売する値段じゃない様に思います。

『ネオンベタ』は珊瑚の仲間であるマメスナギンチャクの遺伝子が組み込まれ、紫外線を当てると黄緑色の蛍光色で発光するそうです。写真からの判断ですが、紫外線を当てていない時は普通のベタにもいそうな色合いでした。目は発光した様な緑色なので違和感はありますけど。写真は転載できないので、興味のある方は検索してみてください。

承認を受けずに遺伝子組換え生物を使用する事は日本ではNGです。
拡散し生物多様性に影響が出る可能性があるからです。

遺伝子組換え生物の飼育等は国によっては規制がない場合もあり、実際に販売もされています。小型魚類の分野で言えば『グローフィッシュ』や『ナイトパール』等が存在します。ただ外国で販売されている、これら遺伝子組換え生物を日本に持ち込んで飼育したり、販売してしまうと承認を受けていない第一種使用に当たり違法になります。

カルタヘナ法違反での逮捕は今回2例目で、1例目はメダカでした。約1年ほど前の令和5年3月に研究用に国内の大学で研究用に作出された、イソギンチャクモドキに由来する遺伝子が導入されたミナミメダカが関係者によって持ち出され、それらを未承認で飼育、販売したなどとして5人の逮捕と4人の書類送致がおこなわれました。このメダカは紫外線を当てるとピンク色に蛍光発色する特徴があり、『ロイヤルピングー』の名称で流通していました。こちらも検索すると出てきます。

この事件の逮捕者のうち1人は、令和4年7月頃に警視庁が捜査していることを知って、約20匹を自宅近くの用水路に廃棄し証拠隠滅を計るという最悪の事態も起こしました。遺伝子組換えされたメダカが自然下に拡散してしまうと生態系を壊してしまう可能性もあるからです。

カルタヘナ法違反での初の逮捕と自然界への放流という事で当時は大々的に報道等もされていましたし、メダカ愛好家の一人として大変興味深い事件でした。


改良メダカと遺伝子組換えメダカ

現在日本国内で一般的に流通している多種多様なメダカは品種改良で作られたものです。では問題の遺伝子組換えメダカとは何か違うのでしょうか?

日本のメダカの世界における品種改良とは
①異なる性質の品種を掛け合わせて交配・累代して固定化させていくやり方や、②自然に起きた突然変異により性質が変化したものを選抜・累代して固定化させていくやり方かと思います。この様な方法で作出されたメダカは改良メダカとして定義付けられています。

突然変異とは
紫外線・放射線・化学物質など変異原への接触、細胞分裂や増殖時のエラー、ウイルスへの感染など様々な要因によって、遺伝情報に生じた変化を突然変異という。

農作物の品種改良では放射線や化学薬品で遺伝子に突然変異を起こす技術などがあります。

それに対して遺伝子組換えメダカとは、文字通り遺伝子組換えで作出されたメダカになります。遺伝子組換え技術は予め機能がわかっている遺伝子を組み込むので、メリットとして従来の累代して固定する方法より短期間で目的の性質を持つ品種を作ることが可能になります。また交配できる品種間でしかできなかった遺伝子の受け渡しが、異なる生物種間でも可能となります。ただこれは自然下では起きない性質変化である為、安全性を危惧する意見もあります。

他にも最新の品種改良の方法としてゲノム編集という技術もあります。こちらはゲノム内のDNA配列を酵素を使い切断し、DNAが修復される過程で必要な遺伝子の機能が書き換えられることを狙った技術で、突然変異を起こさせる方法になります。遺伝子の機能を停止したり、性質を強化することができます。こちらは同種での変化なので自然下でも起こり得る性質変化となります。


遺伝子組換えに対しての私見

個人的に遺伝子組換え生物に対して違和感や嫌悪感など負の感情を持ってしまいます。これは現時点での感想なので、将来は考え方が変化するかもしれません。特に異なる生物種間で行われた遺伝子組換えに対しては、自然下では絶対に起きえない事なので、強い違和感を覚えます。そして将来的な安全性が未確定なので、懸念もあるのかもしれません。そもそもが研究目的で作られている場合が多く、そういったものは閉鎖された環境で人目に触れずにおくのが良いと思っています。

遺伝子組換え生物に対する嫌悪感はコレが要因の一つかも?

改良メダカ→ロマンがある。好き。
遺伝子組換えメダカ→観賞魚としては異質なので嫌い。

アクアリウム視点ではそんな感想です。

※改良メダカは自然下でも起こり得る形質変化ではありますが、在来種との交雑など遺伝子汚染が起きる事で生態系や環境に影響を及ぼしてしまいます。だから放流は絶対にしてはならない行為なのです。繁殖しすぎて飼えなくなったからか、選外で不要だからか、改良メダカを放流される事例があり、社会問題になっています。問題が深刻化すると改良メダカの飼育自体が禁止されてしまうということにもなりかねません。

命には責任を持って最後まで飼育しましょう。


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