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ゾウリムシの話

生き餌(いきえ、いきえさ、英: Live food、Live Baits)とは、生きた小動物を加工せずに餌にすることを指す。生餌、活き餌、活餌とも書かれる。

メダカ飼育者が使用する生き餌と言えばミジンコ、ブラインシュリンプ、イトミミズ、ボウフラ、アカムシ、飼育水やグリーンウォーターの中にいる微生物の類いも広い意味では生き餌と言えますし、ワムシ、ゾウリムシなどなど様々です。

生き餌のメリットは非常に嗜好性が優れた餌である事や水を汚しにくい事が挙げられます。生き餌に食らいつく魚は野生味が感じられ見応えもあります。
栄養価で見れば、生き餌はそもそも栄養が少なかったり、栄誉成分に偏りがあったりするので、それ単体で使用するのは、あまり良くない様に感じます。多くの飼育者さんがメインフードとしている粉餌の方が必要な栄養成分がバランスも良く含まれているので、成長面では安心して使用する事ができると思います。ただ粉餌の場合、食べ残しがあると水を汚してしまうので、適量を与える必要があります。

メダカは無胃魚なので食物を体内に蓄えられる量はさほど多くはありません。一度に多く食べても栄養を吸収しきれず、多すぎると消化器官を傷つけてしまう事もあります。それ故に少量ずつ数回に分けて餌を与えた方が望ましいのです。僕の場合は基本的に仕事で家に居ないことが多い為、朝晩の2回粉餌を与えています。(越冬時期は除く)  ある程度成長したメダカであればそれで問題ありません。ただ針子に関しては日に2回の粉餌だけだと不足する可能性もあります。針子は成魚の様に体内に栄養を蓄えていない為、少ない回数の給餌では餓死してしまう危険性があります。小さい時ほど餌を多い回数摂取する必要があるのです。

そこで一つ問題が出てきます。針子に餌をあげる回数を増やしたいけど、家にいない時間が多い為回数を増やすことが難しい。それならば一回の給餌で沢山の粉餌を入れておけば、何回かに分けて食べる事ができるから、問題解決です———っと言うのは悪手であります。少し上の方でも書きましたが、食べ残しの餌は水質の悪化に繋がるからです。針子の死因は第一位は餓死、ついで水質の悪化と言われています。

ではどうすれば、針子を安全に育てられるのか?
日中にメダカ飼育にかける時間がある方に関しては、少量多給餌で適量の粉餌を与えていれば、成魚まで成長させる事は容易だと思います。
仕事や学業等で長時間拘束される飼育者さんは少量多給餌という方法は無理なので、なにか別の方法をとる必要があります。そこで活躍するのが『生き餌』です。針子にはグリーンウォーターを推奨されている飼育者さんは多い印象を受けます。それはグリーンウォーターの中に含まれる植物プランクトンをはじめとする微生物を摂取する事ができるからです。もちろんクリアウォーターにも微生物なんかはいるので、それを摂取することもできます。朝晩の粉餌にプラスαで生き餌を補食として活用する方法が時間が取れない飼育者さんには良いのかと思います。

針子の摂取できる生き餌は当然針子の口より小さいサイズである必要があります。家ではグリーンウォーターも使いますが、主にゾウリムシを活用しています。他にはミジンコの幼生、ワムシ、ブラインシュリンプ、去年位から出回っている乳酸菌なんかが針子が食べられる生き餌になります。

【ミジンコの幼生】
針子は大人のミジンコを食べることはできないけど、幼生は食べることができます。グリーンウォーターにミジンコと針子を一緒に入れて飼育する感じにすると、大人ミジンコはひたすら幼生を産み、それを針子が食べると言うサイクルが完成します。欠点はきちんとミジンコの幼生が産まれているのか確認が難しいのと、針子と大人ミジンコのバランスの維持もちょっと気を使います。

【ワムシ】
入手がしにくいのと培養もクロレラなんかが必要になる様なので、コスパが少し悪いかもです。使用した事はありません。それってただの感想ですよね。

【ブラインシュリンプ】
ブラインシュリンプの幼生は体内に栄養を蓄えており、暫くはそれを消費して生存します。蓄えている養分は吸収率も良く、栄養価も非常に優れています。卵から孵化させてから給餌する必要があり、さらに産まれてから時間が経てば経つほどその栄養分が失われて行きます。なので沸かすタイミングを計算して孵化直後に与えるのが最も効果的です。
生まれたての針子にはサイズ的に食べにくいですが、生後10日位の針子は食べることも可能でした。ゆっくりと羽ばたく感じ泳ぎ、動きに緩急がある為、小さな針子や稚魚でも捕らえられます。
ブラインシュリンプは塩水のエビという意味で、孵化させるには塩水が必要で、さらに淡水で使用する場合は水量にもよりますが塩抜きした方が無難です。
栄養価としては優れた生き餌ですが、淡水の場合は数時間程度で死滅してしまう為、粉餌に近い感覚で食べ残しが出ないように与えないと水質の悪化に繋がります。

【乳酸菌】
たまやメダカさんから発売されている「たまやの乳酸菌」と言う商品が有名かと思います。実際に使用しましたが針子たちの食いつきも良く、その効果も実感できました。匂いも乳酸菌飲料のような感じで良き。そして水質浄化作用もある素晴らしい商品です。乳酸菌は培養が難しそうなので必然的に購入して使用する為コスパは良くないです。以下たまやの乳酸菌の商品説明。

  • PSBやゾウリムシの臭いが苦手な方や、室内飼育で我慢して使っている方には非常に便利な液体エサです。

  • 1gにつき4億個の「生きた乳酸菌」が入っています。

  • 乳酸菌は高い栄養価だけではなく、消化吸収を助け、整腸作用、免疫力向上、水質浄化効果があります。

  • 針子だけでなく、成魚に対しても栄養補助食として粉餌などと併用しながら使用することができます。


【ゾウリムシ】
個人的に一番オススメの生き餌です。理由は針子でも食べられるサイズで培養も簡単だからです。臭いけど。またゾウリムシは視認もできるので、針子達が食いつく様子も観察出来て、見応えも申し分ないです。近くで嗅ぐと刺激臭がするけど。食べ残しがあっても水槽内で数日は生存しているので水も汚しにくいです。おしっこの様なニオイがあるけど。
まぁなんかゾウリムシの話しようと思い記事を書きはじめましたが、主役のゾウリムシに辿り着くまでの道のりが長かった。文章を書くのが難しくて、ついつい長い駄文になってしまいました。

ゾウリムシの培養&使用方法

培養に必要なもの 
・ゾウリムシが含まれる種水
・ペットボトル
・カルキを抜いた水
・餌(エビオス錠、強力わかもと、豆乳、米のとぎ汁、乳酸菌飲料、キリンの生茶、PSB、など多種多様)

①ペットボトル(500mlを使用しています)にゾウリムシの入った種水+カルキを抜いた水を入れてそこに餌を入れる。僕は100均の粉末緑茶を使用しています。ニオイが控えめなので。最終的には臭くなりますが。

② 培養の適温は26℃と言われていますが、室温程度なら季節を問わず培養可能です。紫外線には弱いのと、ほかの微生物が増える可能性を考慮して直射日光の当たらない場所、暗い場所で蓋をせずに管理します。

1日に1回蓋をしてペットボトルを振り、水中に酸素を取り込みます。また、ゾウリムシはその性質からペットボトルの上の方に集まり、餌は下に沈殿していきます。そのままでは食べられる餌が少なくなるので、培養液を均一化する意味もあります。

激しくシェイクしてもゾウリムシが死んだりはしません。腕の筋トレにもなり、カロリー消費によるダイエット効果、バーテンダーの様なスタイリッシュさが身につく副次的な恩恵も受けられます。

ゾウリムシ撹拌中

③セットしてから3日くらい経過するとゾウリムシが増殖しています。使用したい量に合わせてペットボトルの容量や本数を増やして、その一部を魚の餌として使用して、残りを培養に回す感じでローテーションを組むと、いいと思います。
ゾウリムシを与える際にはそのままスポイト等で上澄みを取ってそのまま与える方もいますし、濾過してから与える方もいます。僕は培養水の中のアンモニアが少し気になるので、後者の濾してから与える派閥です。

濾し方も100均グッズのキャップ漏斗やペットボトル用のシャワーキャップ等を使用して、ゾウリムシの負の重力走性という水の上の方に集まる性質を利用して分離する方法もありますし、濾し器を使ったりする方法もあります。僕はお茶パックとペーパーフィルターで濾して使用しています。

ゾウリムシ濾過中

僕はコーヒーを淹れるのが好きで、豆を挽いてドリップして楽しんでいたりします。挽きたての豆で淹れていると、とても良い香りが部屋を満たし、幸せな気持ちになります。
ゾウリムシは口の狭いペットボトルに入っているので、近くで嗅がない限りニオイはそこまで気にならないけど、ドリップしている時には、ほのかな悪臭が立ち込めてきて、不幸せな気持ちになります。家族から「何なん!このニオイ!!」とか「なんかクサない?」とか非難のお言葉を頂きながら、メダカの針子達の為にせっせとゾウリムシを抽出しています。

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