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POMフィラメントの出力

POMはポリアセタール、ジュラコンと様々な呼び名があるエンプラ材料の1つです。歯車や軸受に使われるスベスベした表面が特徴の材料です。自己潤滑性材料と呼ばれる物です。板状や丸棒の材料が広く出回っています。滑りが必要とされる部品に使いたい部材です。欠点(利点?)として接着剤が着きにくいという事があります。

POMフィラメントの購入

3Dプリンタ用のフィラメントもAmazonなどで購入できます。
現時点(2023.3.14)で以下のような商品があります。LepPlasと最後のフィラメントはスプールに貼ってあるロット番号らしきものが同じでした。出力した感じも同じ。実は全部同じ?

先行事例

POMフィラメントの出力について以下のような情報がネットにあります。

https://all3dp.com/2/pom-acetal-delrin-3d-printing/

出力温度は低いのですが、ベッドへの定着が悪く、反りやすく出力に失敗しやすいです。

3Dプリンタ

POMフィラメントを出力するために使ったプリンタはこちらで紹介しています。
Voron0.1を改造してチャンバーの温度を上げられるようにしています。

このプリンタで造形エリアの温度を80℃〜90℃まで加熱しています。

ベッドへの定着

ベッドへの定着。とにかくベッドから剥がれやすいのでブリムを使い接触の面積を増やします。ラフトでは直線が多く反ってしまい定着しませんでした。そしてベッドの温度、ノズルの温度を高く、印刷速度を落として確実に定着するようにします。
ファーストレイヤーベッド温度:130℃
ファーストレイヤーノズル温度:220℃
初期レイヤー印刷速度: 3 mm/s

ベッドにはMagigoo HTを使っています。そしてベッドを洗剤とパーツクリーナーで洗浄しています。ここ結構大事です。新品のベッドでは全く定着しませんでした。

出力

ノズル温度:200℃
ベッド温度:100℃
速度: 25 mm/s
冷却ファン:初期レイヤー以外100%
もっと速度を上げても大丈夫そうですが、私はこの設定で出力しています。ノズル温度が高いとフィラメントが垂れてくるのでやや低めにしています。そしてパーツ冷却ファン!これがとても重要。外気をチューブで送る空気ポンプをつけてパーツに空気を当てています。チャンバーの温度を上げていたらファンが壊れたのでこのような方式を使っています。冷却をしないと表面が荒れることが多かったのですが冷却するとこの問題は解決しました。そして細い部分の出力ではフィラメントが固まる時間が確保できません。そこで出力したいモデルとは別にモデルを配置して固まる時間を確保するようにします。

3D Benchyと同じ高さのモデルを並べて出力

Curaでは各レイヤーの最小時間を設定することもできるので、その設定も有効でした。

Curaの設定

各設定は以下のとおりです

品質
レイヤー高さ 0.2 mm
初期レイヤー高さ 0.2 mm
ライン幅 0.45 mm
ウォールライン幅 0.4 mm
上下面ライン幅 0.45 mm
インフィルライン幅 0.45 mm
スカート・ブリムラインの幅 0.45 mm
初期レイヤーのライン幅 100 %

ウォール
壁の厚さ 0.8 mm
ウオールライン数 2
ウォール順序 内側から外側へ

トップ/ボトム
上部/底面の厚さ 0.8 mm
上層/低層パターン 直線

インフィル
インフィル密度 20 %
インフィルパターン グリッド

マテリアル
印刷温度 200 ℃
初期印刷温度 220 ℃
最終印刷温度 190 ℃
ビルドプレート温度 110 ℃
初期レイヤーのビルドプレート温度 130 ℃
フロー 100 %
初期レイヤーフロー 103 %

スピード
印刷速度 25 mm/s
インフィル速度 25 mm/s
ウォール速度 9 mm/s
内壁速度 17 mm/s
上面/底面速度 9 mm/s
移動速度 300 mm/s
初期レイヤー印刷速度 3 mm/s
初期レイヤー移動速度 120 mm/s

冷却
ファン on 100%

ビルドプレート密着性
ビルドプレート接着タイプ ブリム
ブリム最小長さ 550 mm
ブリム幅 8 mm
ブリムライン数 18

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