東京へ、授賞式へ【短歌10首】
東京へ、授賞式へ 工藤吉生
オレの行くときだけ雨がやんでいる予報だったがもう過去のこと
革靴になじまぬ足で歩いてるいつもの道が水中みたい
新幹線 何年ぶりに 乗ったかな 「ん」が3つある しんかんせんに
人混みを我慢して行くガマンしてがまんしてまだひとごみのなか
狭くって高くて不味い東京のうすぐらい店も旅の思い出
地下道をながく歩いて外へ出た雨の水面を白鳥うかぶ
TOKYOは外国人の多い街いずれにしてもみな他人だが
ありがとうグーグルマップのおかげだよってみんなも感謝すればいいのに
早過ぎと思っていたが遅刻する危機に気がつき心いれかわる
これまでは吊らずに済んでいた首にネクタイ巻いて受賞者オレは
▽『未来』2019年1月号掲載
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