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6月21日「私たち鳥になりたい」


BTSの「花様年華 THE NOTE 1」を読んだ。超今更。内容はともかく(ともかく、というのは私が語れる範疇にないのでという意味でのともかく)、好きだと思った引用や言葉がたくさんあったので少し残しておく。久しぶりに直書きしているので、色々ご容赦ください。

1.

エミリー・ディキンソンの「希望は羽をつけた生き物」という詩を知った。鳥とか、飛ぶとか、願いとか、希望みたいな単語は短歌を作るとき無意識によく使ってしまう単語だったので、私が持つそれらへのイメージが、この詩と重なる部分があるかもしれないととても嬉しくなってしまった(おこがましいにも程があるのは重々承知で)。

“Hope” is the thing with feathers -
That perches in the soul -
And sings the tune without the words -
And never stops - at all -

And sweetest - in the Gale - is heard -
And sore must be the storm -
That could abash the little Bird
That kept so many warm -

I’ve heard it in the chillest land -
And on the strangest Sea -
Yet - never - in Extremity,
It asked a crumb - of me.

(私にはこの詩を正しく理解して綺麗に訳せる自信がないけれど、一つとても綺麗に訳されているサイトを見つけたのでよかったら調べてみてください。それか直接私に聞いてください、ここには載せれないので...。)

一方で、親愛なるBUMP OF CHICKENの「beautiful glider」という曲は、「羽根の無い生き物が飛べたのは、羽根が無かったから」という言葉で始まるのだけれど、私はそれを希望だと思っているし、とても信じたいことだと思っていたことも思い出した。中学生のとき、初めてベッドの中で聴いてむせび泣いた夜を今でも覚えている。あの歌は今でも私の根底にあって、色んな見えないところで私に影響しているのだろうと思う。上の詩とは少し矛盾しているかもしれないけれど、なんだかどちらも腑に落ちた言葉だった。

2. 

「深さ」についての話があった。

どうすれば高く飛べるのか。まずは、絶望に窒息死するところまで落ちること。落ちて、そこから抜け出すこと。抜け出す動力は何なのかをみつけること。みつけたら、しがみついて離さないこと。

もしそれが本当なら、今までの私は絶望に窒息するどころか、「雲ひとつない快晴、木漏れ日の下、マイナスイオンたっぷりの森林浴を楽しみながら深呼吸☆」みたいな人生を送ってきたので、(自分でも書いてて意味わかんないけど)このまま私の言葉に、永遠に説得力がないままだったらどうしようと不安になった。

ところが「じゃあ絶望の淵に落ちたいか」と問われればそんな覚悟はなくて、もしもどちらかを選べるのであれば、私は迷わず「深呼吸☆」の方を選ぶんだと思う。今までの自分が、ものすごく幸せに何の苦労もせず生きてきたことに対して罪悪感を覚えることが何度もあったし、もちろん今も感じている。だけどもしかしたら、私はこの罪悪感さえただの免罪符にしようとしているだけなのかもしれなくて、もうどうしようもない。

わからないけれど、これからの人生に、私を窒息させるような何かが待っているのかもしれない。私は純粋にそれをとても恐れていて、できれば起こらないでほしいと思う。でもやっぱりそこから這い上がった方の表現物を好きだと思ってしまうのも確かで、私の言葉もどうにかそうなりたいと思ってしまう。同時に、この欲はとても贅沢なもので、倫理的にどうなのか、そんな単純なものじゃないだろとも考える。正直わからない。まだちょっと、ちゃんと話せる段階にないんだろうな。もう少し考えたい。中途半端に話してごめんなさい。

這い上がったという表現が正しいのかどうかもわからないけれど、Porter Robinsonの「Nurture」というアルバムは間違いなく今年の私を掬い上げた音楽だった。デビュー作リリース後、長く鬱状態に陥っていた彼が、7年振りに世に出した音楽たち。語り出したらきりがないくらい良いのだけれど、タイトル曲の「Look at the sky」にある一節はとても印象深くて、せっかくなので書き出しておく。

Look at the sky, I'm still here.
I'll be alive next year.
I can make something good, 
Something good.

今年の初め、ちょうど将来が見えない時期だった。来年の今頃、自分がどこで何をしているのかわからない状態は、私を毎日不安な気持ちにさせたし、こんな自分には何の価値もないと思わせるには十分だった。

でもそんなときだって、この国の珍しく青く晴れた空には飛行機雲がいつもかかっていて、突然の雨が上がったあとには何度も虹が現れて綺麗だった。それら全部、空を見上げなければ知ることさえできないことだった。「来年も生きてる。もっと良いものを作れる。」世界中に向けてそう言いきった彼が羨ましくて、私もきっとそうでありたい、そうなれると思って泣いた。何回も聴いて、何回も泣いた。

Porterはこの曲について、「希望についての歌なんだ。絶望的な気持ちになることもあるけれど、物事はきっとよくなるという気持ちを持たなければ、状況を変えることはできない。それが希望というもので、養う価値のある感情だと思うんだ。」と話していた。

Nurtureは養う、という意味の単語で、このアルバム自体が「希望を養う」ことについての話なのであれば、それはどれほど美しいことなんだろうと思った。同時に、希望を一度完全に失った彼だからこそ話せることであるのだろうとも思った。空を見上げることは希望を探すこと。だって希望は羽をもつ生き物で、それはまさしく空を飛ぶために存在しているのだと。



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