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101話 助手席は寝るためにある

44歳で彼氏が欲しくて始めたマッチングサイト。
そこで出会って、やりとりが続いている3人の男性。

その3人から誰かを積極的に選ぶのではなくて、自然に誰かに決まるのを待とうと決めました。
それに、私が選んでも相手に選ばれないこともある。
会い続けていって、最後に残った人と付き合えばよい。誰も残らない可能性もあるけど(笑)

そんなふうに思い始めてからすぐに3人のうちの一人、一回り年下のNさんとはやり取りがなくなりました。

やり取りが続いているのは、あと二人。
同い年のRさんとKさん。

二人とは、会う回数を重ねてきて、「遠出をしよう」なんて話が出てきた。
「秋になったら一緒に紅葉を見に行きたい」とマッチングサイトの自己紹介で私が書いていたのを二人とも覚えていて、「紅葉の時期になったから、見に行きませんか」と誘ってきてくれたのです。

ということで、Rさんとは伊香保温泉、Kさんとは箱根に行くことになりました。

まずは、Rさんとの伊香保。

伊香保まではRさんが車で連れていってくれるとのこと。
「会社の軽バンだけどね」と言っていたんですが、朝、迎えに来た彼は、普通の車。

あれ?軽バンって言ってた気が。違う車もあるのかな?
と思ったら、よく見れば「わナンバー」。
会社の車、借りれなかったのかな。

それはそうと、車に乗り込み、伊香保へ出発!
はじめての遠出。しかも車。
いままで手も握ったこともないけど、もしかしたら、今日こそ迫られちゃう?

なんてことも思いながら、ドキドキしながらのドライブ。
伊香保まで2時間くらいの道のり。
途中で話すことがなくなって無言になったら・・・と心配してたけれど、話は途切れることなく、いろいろな話をしながら目的地へ到着。

伊香保は、期待通りの紅葉。

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観たかった石階段も見て、温泉も入って、伊香保を満喫。
思った以上に楽しい。

そして、帰りの車。
行きは、密室空間に男性と二人ということで、ちょっと緊張してたんですが、帰りには慣れたうえに、遊び疲れて、乗っているうちに眠くなってきました。
でも、助手席で寝るわけには!と我慢をしていたら。

「マキさん、眠いなら寝ていいよ」

「あ、眠そうな顔してます?」

「うん、寝てていいよ。助手席は寝るためにあるんやで」

って、なんて優しいの~!!

昔の彼なんて、寝ようものなら「デリカシーがない!」とか攻撃してきたのに!

「助手席は寝るためにある」なんて言ってくれる男性が世の中にいるのね!
と感動しつつ、遠慮なく寝かせていただきました。

そして、この日も特に迫られることも、手を握られることなく、最寄り駅まで送ってもらいました。
さらには、伊香保日帰りの旅にかかったお金、レンタカー代、ガソリン代、食事代や温泉代などなどすべてRさんが払ってくれた。

ちなみに、あとでわかったけど、軽バンで遠出は申し訳ないと思って、レンタカーをわざわざ借りてきたんだって。

お金は出してもらうわ、ドライブ中には寝るわ、そんな私なのに、Rさんは、この日、何度も「今日は、本当にありがとう」と私に言ってくれた。
「ありがとう」なんて言われるようなこと何もしてないのにな。

めちゃめちゃ優しいし、紳士なRさん。

だけどね、特別、「好き!」という感情は湧いてない。
一緒にいて楽しいとは思うけど、これまで付き合ったり、追いかけたりしてきた人のようには、ときめくような感じではない。

それでも、楽しく過ごせるし、居心地はいい。
とにかく、Rさんが誘ってくれる限り、会い続けていこう。
会い続けていけば、「好き!」っていう気持ちは湧いてくるのかな?


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