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どの印刷所でつくる? 文庫以外のカバー付き小説同人誌(2)

どの印刷所で作る? 文庫以外のカバー付き小説同人誌(1)|マイキー|note

上記の記事の続きです。
ここでは、印刷所のウェブサイトを見て、下にあげた条件を満たした中からいくつかご紹介します。
わたしが利用したことのないところが多いですが、利用したら感想や情報などを追記していきます。

  • 文庫サイズ以外のカバーを手がけている

  • 小説向きの本文用紙を取り扱っている

  • 10部以下から注文できる

ポプルス

基本情報

  • 対応サイズ:A5,B6,新書,文庫

  • カバーと冊子のセット料金:あり
    ●カバー付文庫・新書セット
    ●カバー付B6・A5セット

  • 最小部数:1部

  • 小説向き本文用紙:淡クリームキンマリ(文庫・新書は70kg,B6・A5は90kg)

メリット

  • 1部から注文できる

  • クリア/マットPP加工が標準装備

  • ページ数は用紙によるが、1000ページまで可能

  • カバーは取り付けた状態で納品される

  • 個人的な感想だが、製本や印刷がきれい

デメリット

  • A5・B6サイズは追加料金を払わないと、「淡クリームキンマリ 70kg」を選べない

わたしの購入した小説同人誌は、ポプルスがよく使われていますが、それも納得の品質の高さです。

ちょ古っ都製本工房おたクラブに比べると料金は高いですが、その分、製本や印刷がきれいだし、カバーを取り付けた状態で納品してもらえるので、高いだけのことはあると思います。
それに、印刷所全体でいえば、ポプルスも十分安いほうです。

また、1000ページまでOKなので、カバー付きのめっちゃ厚い本が作れます。

わたし自身、ポプルスを利用しようか、ずいぶん迷ったのですが、わたしの本は300ページ近くあるので、追加料金を払わないと「淡クリームキンマリ 70kg」を選べないのがネックになり、結局、断念しました。

あくまでわたしの感覚の話ですが、90ページ以上の本で「淡クリームキンマリ 90kg」はきついです。一般的によく言われる目安は100ページ以上ですが、わたしは90ページ弱の本でもページがめくりにくく感じました。

文庫・新書セットだったら「70㎏」が標準装備なんですけどね~。B6・A5セットもそうしてくれないかな~。

ねこのしっぽ

基本情報

  • 対応サイズ:A5,B6,文庫,新書

  • カバーと冊子のセット料金:あり
    文庫と新書(フルセット):本、カバー、しおりの3点セット
    ●コミックスセット:A5,B6,文庫,新書から選べる

  • 最小部数:10部

  • 小説向き本文用紙:文庫・新書(フルセット)はラフクリーム,コミックスセットはソフトバルキー(クリーム)

メリット

  • クリアPP加工が標準装備(マットはオプション)

  • スジ入れ加工付き

  • 文庫・新書(フルセット)なら、しおり付き(ホワイトポスト 180kg)

デメリット

  • 本体の表紙は1色刷り(フルカラーはオプションで可)

  • 180ページ以上の本の場合、注文の仕方が少し面倒。

オプションを付ければ、カバーも表紙も選択の幅が広げられるし、特殊加工もできます。

デメリットに「本体の表紙はオンデマンド1色刷り」と書きましたが、「カバーがフルカラーなら、1色刷りで十分」という人も多そうなので、別にデメリットとは言えないかも。

ソフトバルキーがどんな紙か分からなかったので、問い合わせてみました。多少クリーム色がかった白で、上質紙よりかさ高だそうですが、用紙の柔らかさや重さを考えると、300ページ程度なら問題ないとのことです。

ただし、デメリットにも書きましたが、オンラインでコミックスセットを申し込む場合、180ページ以上の本にシステムが対応していないので、仮に180ページで申し込んでから、申込み後受注番号を添え、お問い合わせメールまで正しいページを伝えないといけません。差額は別途、請求されるそうです。

ねこのしっぽを利用して、カバー付き文庫本を作った方の記事をご紹介しますね。文庫以外のサイズを作る方にも、何かしら参考になると思います。

プリントオン

ブックカバーのみの注文もできます。こちらは折りスジ加工付きです。

基本情報

  • 対応サイズ:B5,A5,コミック本,新書,文庫
    ※コミック本は、少年コミック本(タテ176mm×ヨコ112mm)と青年コミック本(B6)と、2サイズ用意されている

  • カバーと冊子のセット料金:あり

  • 最小部数:1部(カバーのみなら10部)

  • 小説向き本文用紙:淡クリームキンマリ 72.5kg

メリット

  • カバー付き本なら1部から注文できる

  • クリアPP加工が標準装備

  • カバー用紙の種類・特殊加工の種類が豊富

  • カバーは取り付けた状態で納品される

デメリット

  • (本記事で紹介する印刷所の中では)料金が高い

  • 本体の表紙はモノクロ印刷(フルカラーはオプションで可)

  • B5とA5の背幅は21mmまで

カバーにとことんこだわりたい人に。
あくまで、ここで紹介した他の印刷所と比較しての話ですが、こだわれる分、料金は高めです。
でも早割があるので、時間に余裕のある方はぜひともご利用ください。

* * *

これからご紹介する3社は、冊子とカバーのセット料金をもうけていません
本記事では一応、カバーも冊子も同じ印刷所に注文することを仮定して書いています。

オンデマンドP

下記ページで、カバーのみ注文できます。

基本情報

  • 対応サイズ:A5,B6,新書,文庫ほか

  • カバーと冊子のセット料金:なし

  • 最小部数:5部

  • 小説向き本文用紙:淡クリームキンマリ 70kg

メリット

  • 無線綴じ製本はPUR製本で、ノドまでガバッと開きやすい

  • カバーと帯はセット(帯を付けても付けなくても同じ料金)

  • カバー・帯は、PP加工(グロス/マット)が標準装備

  • 折りスジ加工付き

デメリット

  • カバー・帯の用紙は「マット紙 110kg」だけで、ほかは選べない

  • 基本、150ページまで(それを超える場合は要相談)

  • カバーと帯は別仕様にできない

  • カバーの背幅10mm以上は要相談

  • 自分でカバーを巻かないといけない

カバーの最大サイズは「背幅30mmのA5サイズ」とのこと。

つねづね、同人誌は開きにくいと感じているので、冊子のノドがガバッと開く仕様なのに心ひかれます。いつかPUR製本、試してみたいです。

プリンパ(同人誌印刷)

下記ページで、カバーのみ注文できます。

基本情報

  • 対応サイズ:A5,B6,新書,文庫ほか

  • カバーと冊子のセット料金:なし

  • 最小部数:1部

  • 小説向き本文用紙:書籍用紙 72.5kg

メリット

  • 1部から注文できる

  • カバーや本体表紙の紙、印刷の種類が豊富

デメリット

  • 無線綴じ冊子は78ページまで(それを超える場合は要相談)

  • カバーは全体の仕上がりのサイズが長辺426mm以内

  • PP加工や折りスジ加工が標準装備されていない(オプションで可)

  • 自分でカバーを巻かないといけない

カバーのサイズについて問い合わせたら、「長辺426mm以内」とのこと。B6や新書、文庫サイズなら、背幅をさほど気にしなくてもよさそうですが、A5サイズの本なら折り込み幅60mmとして、背幅10mmが限度だと思います。

印刷出版ちょいのま

カバーついては、下記のウェブページに詳細が書かれています。

基本情報

  • 対応サイズ:A5,B6,A6(冊子だけなら他のサイズも対応)

  • カバーと冊子のセット料金:なし

  • 最小部数:1部(カバーは10部)

  • 小説向き本文用紙:淡クリームキンマリ 62kg/72.5kg/90kg

メリット

  • PP加工しないなら料金が格安

  • 届け先が1か所なら送料は無料(ただしカバー単体で注文する場合、別途1320円の送料がかかる)

  • 折りスジ加工(両袖折り)がない、ある、本に巻く――の3種類から選べる(料金は各々違う)

  • A5やB6でも「淡クリームキンマリ 62kg」を選べる

デメリット

  • カバーは全体の仕上がりのサイズが長辺430mm以内

PP加工しないなら冊子もカバーもビックリするほど安いです。
この印刷所に出会うまでは、オンデマンドで少部数の冊子なら、ちょ古っ都製本工房が業界最安値じゃないかと思ってたんですが、仕様によってはこちらのほうが安いです。初めて見積もりを取ったときは、あまりの安さにPC画面を二度見しました(笑)。
PP加工すると、ちょ古っ都製本工房のほうが安いですが、それでも業界全体で見れば安いほうだと思います。

こちらでは折りスジ加工は両袖折りといって、両側の折りスジを付けてくれるようです。
当然ながら、折りスジ加工を付けたり、本に巻いたりするにつれ、料金は高くなりますが、それぞれの料金を一目で分かる表にしているのがいいなぁと思います。

しかも届け先が1か所なら送料がタダ! これも二度見しましたね(苦笑)。ちなみに、1つの注文で複数箇所への発送は、2か所目以降1か所につき1650円かかります。

あと、本文用紙がA5やB6でも「淡クリームキンマリ 62kg」を選べるのがうれしいですね。たいてい文庫や新書のみなので。

ただし、カバーの長辺が430mmしかとれないので、A5の本の場合、背幅が10mmだと折り込み幅が60mmほどになります。背幅が5mmでも折り込み幅が65mmとれないんだよな~。
「折り込み幅の理想は80mm。最低でも65mmはほしい」というわたしにとっては、そこが最大のマイナスポイントです(泣)。

そこで冊子のみ、注文してみました。
感想を一言でまとめるなら、大満足です!

本文用紙を「淡クリームキンマリ 62kg」にしたんですが、めっちゃめくりやすいし、軽いしで、最高でした。
裏写りがやや心配でしたが、特に問題なかったです。「淡クリームキンマリ 72.5kg」と見比べてみて、違いがよくわからなかったほど。……ま、わたしが大ざっぱな人間だからなのかもしれませんが(汗)。

また、用紙見本帳にはない紙やWEBサイトに載っていない加工なども受け付けていて、WEBのお問合せフォームより連絡すれば、相談にのってくれます。

わたしは、遊び紙をWEBサイトのメニューにない紙にしたくて、できるかどうか、お問合せフォームで質問したら、できるというお返事が。その後、メールで何度かやりとりしたのですが、必ず24時間以内に返事が来るし、応対もていねいで、とてもありがたかったです。

上記の記事で、ちょいのまさんを含め、印刷所三社の特徴がわかりやすくまとめられています。詳細を知りたい方はぜひ。

その他

本記事を書くためにウェブでいろいろ情報を収集しているなか、カバー付きの本を作りたいと考えている人におすすめのブログを見つけたのでご紹介します。

カバー付きの本に特化して書かれているわけではありませんが、カバーの有無について触れてあるし、ほかにも対応サイズや料金割引有無、最小部数、使える小説向き本文用紙等々について、とても分かりやすく書かれています。

わたしが紹介しようと思っていた印刷所とだいぶかぶっていたので、実際利用したことのあるおたクラブ以外は、あえて省きました。本当によくまとまっていて、わたしが付け加えるべき情報などなかったので(笑)。

できることなら、わたしがカバー付きの本を出す前にこの記事に出会いたかったなぁ(ため息)。でも、2021年9月に出たばかりの記事だから、当時はまだ世に出てなかったんですよね。

本記事を書く際、構成や内容の参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます(平伏)。


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