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初めて小説同人誌を作った

先日、生まれて初めて小説同人誌を作りました。が、厳密に正しく言うと、「生まれて初めて印刷所に同人誌を印刷してもらった」ですね。コピー本なら以前作ったことがあったので。

同人誌制作に関するnoteの記事にたいへん助けられたので、自分の体験談もどなたかのお役に立つかもしれない、また、わたし自身のための備忘録として、記録を残しておきたいと思い、書き記すことにしました。

ただし、小説の書き方については、わたしが人に話せることなどないので(むしろわたしが教えてほしい)、小説本文ができあがった後の作業について書いていきます。

さて、わたしが本を作るにあたって、たいへんお世話になったのが、下記のウェブページです。これから初めて本を作るという方に有用な情報がたくさん詰まっています。おすすめ!


上記のウェブページを読めば、誰でも小説本が作れるようになる……と思います、多分。少なくとも、わたしは作れるようになりました。本当にどうもありがとうございました(平伏)。

1 本の仕様を決める

本の仕様というのは、本の仕上がりサイズやカバーの有無、表紙や本文の用紙のことです。でも、初めて本を作る場合、本の仕様について、あらかじめ具体的にイメージできる人は少ないのではないでしょうか。
実はわたしもそうでした。知識がないので、ぼんやりとしかイメージできなかったんですよね。

本の仕様がはっきり決まっている人は、目次の1→2の順に決めていけばいいと思いますが、わたしは1と2を同時進行で比較検討しつつ決めました。
わたしの場合、最初はこんな感じ。

■仕上がりサイズ:A5
■カバー:なし
■表紙の用紙:?
■本文の用紙:?

用紙についての知識が皆無だったので、この時点では決めようがなかったんですよね(苦笑)。

仕上がりサイズをA5にした理由は、一番お金をかけずにすむから。……うーん、身もふたもないな(苦笑)。

そもそもわたしが同人誌を作ろうと思ったのは、pixivに投稿していた長編小説を書籍化して通販したいな~と考えたことがきっかけです。
でも、いきなり人様に売る本を作るのは怖いから、試しに自分用を作ってみようと思ったんですよね。

当時書き上げたばかりの章が7万字ほどだったので、本にするのにちょうどいいんじゃないかと思い、今回はその章だけを書籍化しようと考えました。
書籍化を考えている小説がとにかく長いので(しかも未完)、文庫や新書だとページが多くなる上にコストもかさむため、A5サイズの本にしようと決めた次第です。

それとカバーについては、今回はお試しなので、なくていいやと思いました。

で、次は表紙と本文の用紙を決めなくてはいけません。紙についての知識は皆無だったので、ウェブでいろいろ調べました。

表紙の用紙については、多くの印刷所のウェブページにて、画像付きの説明が掲載されています。印刷所から見本を取り寄せるのもおすすめです。やはりじかに目で見て、手に取って確認するのが一番だと思います。

一方、本文の用紙については、下記のウェブページの説明がすごく分かりやすかったです。

そこで、次のように書かれていました。

長い時間、文字を目で追うには、クリーム系の薄手の書籍用紙が良い

実際、手元にある商業誌を見てみると、小説本の紙は真っ白じゃなくて、少し黄色がかってるんですよね。
なので、わたしも「淡クリームキンマリ」など、クリーム系の薄手の書籍用紙にしようと決めました。わたしが表紙と本文の用紙を確定したのは、印刷所を決めてからなので、それについては、次の2で書きますね。

2 印刷所を決める

わたしはそれまで、コピー本を作った経験はあるものの、印刷所を利用したことがなかったので、まずどこの印刷所に頼もうか調べるところから始まりました。

その際、参考にさせていただいたのが、下記のウェブページです。少部数向けの印刷所が紹介されています。

また、ほかのページでは本を作る方法についても書かれていて、「本を作りたいけど何をしていいのか分からない」という方にもおすすめです。わたし自身、ものすごくお世話になりました。



上記のウェブページでされていた印刷所を中心に、下記の点を重視して比較検討しました。これは人によって変わるものだと思います。

■価格
■見積もりの分かりやすさ
■少部数から印刷する
■入稿のしやすさ

印刷所のウェブページを見て驚いたんですが、同じ仕様でも印刷所によって、かなり価格が違うんですよね。

それと、見積もりがすぐに分かるところとそうでないところがありました。やはり価格が一目で分かると頼みやすいです。

また、今回は自分と友人用に3部だけ刷る予定だったので、1冊から印刷してくれるところを探しました。

それとわたしは初心者なので、入稿の説明が分かりやすいところにしようと思ったんですが、どの印刷所も工夫して分かりやすく書いている印象を受けました。

で、いろいろ悩んだ末に決まったのが、ちょ古っ都製本工房です。

とにかく安いです。ウェブでの評判も上々。支払方法が「前払いの銀行振込のみ」ですが、これだけ安かったらそれも仕方ないなと思えます。

選べる用紙や装丁に限りはあるものの、わたしはその手の知識に乏しく、紙や装丁に対するこだわりは特になかったので、ちょこっとさんは、願ったりかなったりの印刷所でした。

印刷所が決まり、本の仕様も詳細に決まりました。

■冊子のサイズ:A5
■表紙の印刷方法:フルカラー印刷
■本文の印刷方法:モノクロ印刷
■ページ数:88ページ
■表紙の種類:ペルーラ スノーホワイト 180kg
■本文の種類:書籍用紙 90kg(淡クリームキンマリ)
■オプション加工:表紙 PP加工(クリアPP)
■製本方法:くるみ製本

ちょこっとさんから紙のサンプルを取り寄せ(なんと無料で送ってくれる!)、キラキラしてきれいだな~と思った「ペルーラ スノーホワイト」を表紙に選びました。

本文のほうは、淡クリームキンマリがあったので、それで決まり。「72.5kg」と「90kg」のどちらかを選べたのですが、先に紹介した下記のページで、

90kgは100ページ未満や、コピー本にもおすすめ。A5に特におすすめ

と書かれていて、わたしの本は88ページだったので、90kgを選びました。

作るからには長持ちさせたかったので、追加料金はかかりますが、表紙にPP加工をすることに。クリアとマットが選べたのですが、

上記のページで、マットは

PPの表面に傷が目立つ

とのことだったので、クリアにしました。

3 表紙を作る

ペイントソフト未経験者にとって、これが最大の難関ではないでしょうか(笑)。いや~、わたしもペイントソフトに慣れるまで、さんざん苦しめられました(泣笑)。

とはいえ、わたしだって、別に表紙の絵を自分で描こうとしたわけじゃないんですよ。この世には無料で使えるイラストや写真もあるし、お金を出せばもっといろいろ見つかるし、「タイトルと名前を入れればハイ完成!」という素材もたくさんあります。

でも、ペイントソフトに触ったことのない人間にとっては、「タイトルと名前だけを入れるのだって、めっちゃ大変だったよ!!」ということは、声を大にして言いたい(泣)。

……まぁ、そういうわけで、イラストや写真、素材を使い、ペイントソフトで表紙を作れるようになるまで、艱難辛苦を味わい、かなりの時間を割くことになりました。それはそれで良い経験になったから後悔してはいないけれど、人に勧めるのは気が引けます(汗)。

なので、お金に余裕があるなら、デザイナーに依頼するという手段もあるし、印刷所のオーダープランを利用するという手段もあるので、無理に全部自分でやろうとしなくてもいいと思います。ペイントソフトの学習コストは、けして軽視できないですから。

それはさておき、もし自分で表紙を作るのであれば、ペイントソフトは欠かせません。
わたしは下記のメディバンを使っています。

無料でダウンロードできるし、超初心者のわたしにも比較的分かりやすかったので。

それと、表紙データのファイルは、印刷所によって違うので(psdとかpdfとか)、印刷所の「原稿の作り方」や「入稿のやり方」のページをよく読んでくださいね。

ちょこっとさんは表紙はpdf指定だったので、メディバンで表紙データをjpgで保存した後、下記のオンライン無料のPDFコンバーターを使ってpdf形式に変換しました。

で、今回わたしの本の表紙はどうしたかというと、キヤノンの「おうちでつくる同人誌」内にある、下記のページを利用させていただきました。

いや~、ここの表紙テンプレはすごいです。種類も豊富だし、クオリティーもすばらしい。これが無料で使えるなんて、ありがたや~ありがたや~。

コピー本を作るにあたっても、さんざんお世話になりました。ありがとうございます(平伏)。いま家で使っているプリンターが壊れたら、次はキヤノンのを買います。

表紙だけでなく扉(中表紙)や目次、あとがきページの装丁にもキヤノンの表紙テンプレを使わせてもらいました。
そのほかに利用したのは、Canvaです。

Canvaを使うには登録(無料)しないといけませんが、雑誌や本の見本がたくさん掲載されているので、すごく参考になります。個人的にお気に入りは招待状のデザインです。本の表紙にも流用できると思います。

ただ、使い方に関しては、あまり詳しい説明書がないので、とっつきにくいかもしれません。
下記の記事で、Canvaで表紙を作る方法が分かりやすく説明してあります。

4 本文データを作る

Webツールの利用、印刷所の組版サービスを利用、デザイナーに組版を依頼する、自作する等々、多種多様な方法があります。

自作したいけど、レイアウトにさほどこだわりがない人は、ウェブからダウンロードできるテンプレートに、テキストを流しこむ方法がいいんじゃないかと思います。
わたしがおすすめするテンプレを、いくつか紹介しておきますね。

Wordの同人小説テンプレートがダウンロードできます(無料)。
A5はいろんなデザインのレイアウトがあります。フルセットには、内表紙とまえがき、目次、あとがき、奥付もついています。
新書・文庫もあります。その上コピー本用まで。コピー本専用のテンプレって、なかなかないんじゃないかなぁ。わたしは印刷所に頼む前に、コピー本を作っていたのですが、そのとき利用させてもらって、すごく助かりました。

A5は1段と2段の2種類、ほかにA6(文庫)と新書判、B6もあります。
他のページには、一太郎用やWordの有料版もあります。

今回わたしはテンプレを使わず、ほぼ「Wordで小説本」に掲載されていたサンプル通りに作りました。
レイアウト(組版)は下記の通りです。表記はWordにならっています。

■仕上がりサイズ:A5
■余白:上(天)15mm,下(地)20mm,内側(小口)12.2mm,外側(ノド)17mm
■文字サイズ:9pt
■段数:2
■文字数:行数だけを指定する(基本、26だと思う)
■行数:22
■行送り:15.3pt
■フッター:9mm
■フォント:源暎こぶり明朝

フッターの中央にページ数を入れました。フォントは「Times New Roman」で、文字サイズは6ptです。

本文データの作成については、下記の記事で詳しく書いています。

5 印刷所に入稿する

わたしの場合、イベントに参加するわけではなく、締め切りもないので、一番安くなる「10営業日コース」で申し込みました。

入稿用アップローダーを使うと少し割安になるので、会員登録(無料)をして、アップローダーを利用したのですが、特に戸惑うこともなく、簡単にできました。

6 完成!

ちょこっとさんから届けられた完成品がこちら。

表紙

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裏表紙

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表紙の色がほとんど赤のせいか、あまりキラキラしてないような気がします。白い部分が多かったら、もっとキラキラが映えたのかも。まぁこれはわたしの選択ミスですね。印刷自体はとてもきれいです。

本文

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本をめくってみると、紙が厚いからか少しページがめくりにくいような印象を受けたので、本文の紙は同じ淡クリームキンマリでも、72.5kgのほうがよかったかもしれません。ま、このへんは好みですね。90kgのほうがしっかり厚みがあっていいと感じる方もいると思います。

文字のサイズは思っていたより小さかったです。手元にある新書サイズの学術書より小さかったくらい。
印刷所に入稿する前に、家のプリンターで数ページ印刷して、確認してはいたんですが、pdfをプリントアウトすると、なぜか少し縮小されちゃうんですよ。たぶん縮小しないでコピーする方法もあるはずなんですけど、わたしには分からず。だから、事前に原寸の大きさが正しくつかめなくて。

あと、ノドをもっと広くとった方がよかったなぁと思いました。本をとじてある中央付近が少し読みにくく感じられたので。

とまぁいろいろ改善点はありましたが、おおむね満足なできばえでした。
生まれて初めて自分の本を手に取ることができて、とてもうれしかったです。
自分の頭の中で考えた物語が、こうして形になるって、何とも言えず喜ばしいものですね。どうりで多くの人がハマるわけだと身をもって実感しました(笑)。

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