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埋もれる心地よさは埒外の人間に効く7

カレー屋さんで流れるBGMの中に知っているインド映画の曲があるとテンションが上がる。

ザグチキンもチーズナンも体感消化がよくなる思いだ。
まちなかを歩いていても聴こえるのはJPOPや洋楽、ネットで話題となっているらしい曲が多く、
インドの音楽が入ってくる余地は無さそうで、公の場で聴けると余計に嬉しくなる。

だがある日Galti Se Mistakeが流れてきた。
低音から高音に至るまで明るい曲調。Arijit Singhの歌声。どちらも好きだ。
にもかかわらず、この曲ばかりはそのほかの曲以上の複雑な雑念が入る。
アリジットの鼻から抜けるような声が好きなのに。

映画のダンスシーンで流れる曲で、作品は見たことがないからどんな筋書きか、どんなシーンに挿入されるのか、どんな歌詞なのかはわからない。
憂いを帯びて聴こえてしまうようになった。
もしかしたらそういうシーンなのかもしれないけど。
ダンスシーンでは明るい表情豊かなRanbirがコミカルなダンスで観る者を、そして周りのダンサーをも魅了しているのはあきらかだというのに。

ミーム汚染というものだろうか。

SEKAI NO OWARIの『Habit』の振り付けが脳内再生されたり、更に同じく『おジャ魔女カーニバル』MAD動画にもリンクされていく。
この二つはGalti Se Mistakeのダンスシーンが元になっている。
元の動画を、曲を作業用BGMにでもして聴く人がどれだけいるだろう。

インド映画のダンスシーンは、マッシュアップやインターネットミームナイズド形骸化しばしば。
視覚情報のない状態で、その場にいた日本人のどれだけの人が元の曲を、アリジットの声を知っている知っているだろうと思うと、食欲こそ落ちなくても、消化ペースがダウンするように感じる。
そしてただ雑念もなく耳に入るアリジットの声を純粋に音として聴きながしているのかもしれないと思うとなんだかこちらが嬉しくなる。
セカオワもおジャ魔女も聴くたびに複雑な思いとなる
Habit好きだし、言うほどおジャ魔女観たことないのに。

改めて言うが、映画のストーリーもGalti Se Mistakeの前はどんなシーンなのかわからない。
Ranbirと敵対する陣営の物静かに野心を抱き、人間味も感じられる魅惑的なヴィランに悲劇があったのかもしれない。
ヒロイン演じるKatrinaがトラブルに遭っているかもしれない。
そしてもしかしたらRanbirが演じているほうが悪役で、狙っていたヒロインが手中に入ってしまったのかもしれない。
そんなシーン明けのあのパッと見陽気なダンスシーンなのかもしれない。
ダンスシーン直後も油断ならない。
Ranbirが背後から襲われる急展開となるかもしれない。

ミームの業は深い。


今後もしかしたら日本公開されて、多くの人に「あのダンスシーン、こんなところに挟まれてたんかい!」と以外に思う日が来るかもしれない。
その時ミーム汚染された我々はどんなリアクションをすることになるだろうか。

Galti Se Mistakeを聴くとこのように、かもしれない運転が縦横無尽に止まらなくなる。
嫌いじゃないのに。
最早分類区別ジャンル分けが難しい。

なお、Habitを聴いてもGalti Se Mistakeは浮かぶしRanbirもバックダンサーもアリジットも思い浮かべてしまう。

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