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決めるのはお客様。ガイドではない。という話

通訳案内のお仕事をしていると
様々な方にお目にかかります

そして
一般的なサービス業とは比べ物にならないほど
お客様と長い時間をご一緒させていただきます

(一組のお客様とつきっきりの時間が
短くて数時間、長いと数週間)


その間
お客様が快適で楽しい時間を過ごせるよう
お客様のご要望に寄り添いながら

かつ
お客様が言葉には出さないけれど
感じていらっしゃることも
敏感に読み取りながら


でもプロのガイドとして
お客様がお待ちの情報や期待を
超える提案もしていきながら


限られた時間の中で
タイムマネージメントしながら

最適な旅程を遂行していくわけですが

時々お客様から聞くのが

「昨日のガイドは、ガイドが話したいことを話すだけのツアーだったので、途中でキャンセルした」

「⚫︎⚫︎(観光地)で案内してもらったガイドは、自分の中で行程が決まっていて、ガイドのためのツアーみたいだった」


ということです


ツアーの時間は、お客様のものであって、ガイドの自己満足の時間ではない


ということを
研修などでもお話させていただきますが

わかっているつもりで
わかっていないというか
いざ現場に立つと
ご自分の自然な思考の一部になっていないガイドさんが多いんだろうなぁ
と思います

ここ数日ご案内していたVIPのお客様も
奥様は元気なご夫婦でしたが
旦那様が足が悪く階段の登り降りがあるような場所には行けず
他にも下手したら流血事件が起こるような健康リスクをお持ちで

行きたい場所と行ける場所のギャップをがっかりさせないようにお伝えしながら
専用車のドライバーさんとのチームワークで
できるだけベストを尽くして満足いただきながら
外を歩きたくない雨の日はお客様の期待を超える代替案で喜んでいただきながら
常にお客様のご要望をおたずねしながら
お客様のご様子を敏感に察知しながら
細やかなコミニュケーションと 
細やかな対応をし
とてもとても喜んでいただけました

(心付けが 
2日目は初日の2倍になり
最終日の3日目は
初日の4倍になりました

お金のことはあまり話したくないですが
心付けはわかりやすいお客様の満足度バロメーターだと思っています)

良かれと思ったことがありがた迷惑になることもあるし、苛立たせることもある。自分の常識で決めつけない。

というのが、通訳案内の仕事の鉄則だと思っています。

特にFIT(個人客)の場合。
でも団体ツアーでも、
個別にお客様からのご相談やご要望を聞いている時は、やはり同じです。

お客様はみなさんそれぞれ
異なる要望があるし
異なる感性をお持ちだし
異なるこだわりポイントがあるし

それをちゃんと尊重すること。

それがとっても大事です。
自分の常識や自分の感性で決めつけない。

お客様に
軽やかに細やかに
ご意向を確認するのです。

細やかなコミュニケーションが面倒だと感じるなら

その細やかなコミュニケーションと
ご要望に細やかに対応していくのが
面倒だと感じる人は
恐れながら通訳案内というお仕事に
向いていないと思います

それが面倒だと感じる人は
一方的なレクチャーが許される
講師業の方が良いと思います

通訳案内業は
日本のことをお伝えするのが
大切な仕事ではありますが
それと同じくらい大切なのは
ホスピタリティです

以前に世界的に有名な超VIPのご案内を数日間した時に
1日だけどうしても都合がつかず
その1日だけ他のガイドさんが担当してくださいましたが

その翌日にまたお客様にお会いしたら、お客様のガールフレンドさんが「昨日は大変だったのよ」と。

前日のガイドさんは
彼がしたいことを勝手に決めて
彼に寄り添わなかったので
彼は「Where is Kana?  I don't want this lady, I want Kana.(Kanaはどこだ?このガイドは嫌だ、Kanaがいい)」と言ってツアーを離れてしまったそうです。

ホスピタリティがないために崩壊したツアーは
上記の例だけではありません
私はいろんな衝撃的な例を知っています。。汗

というわけで
ホスピタリティとは
お客様に寄り添うことから

自我を外して
自分は無になって
お客様に寄り添うことが大切
だと思っています


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