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上場ベンチャー数社でEMを経験した僕が考えるEMのミッション

こんにちは、エンジニアリングマネージャー(EM)をやってる、MJと申します。
マイブームは石磨きですというと、チームメンバーにメンタルを心配されます。元気なので大丈夫です。
僕はこれまで複数のベンチャー上場企業でEMのキャリアを歩んできまして、最大で約70名の開発組織をマネジメントし、プロダクト開発、リアーキテクチャ、チームビルディング、採用活動など多岐に渡る活動をしてきました。
かれこれ8年くらいEMをやってますが、EMのミッションってなんだろうってよく考えています。
そこで、この記事ではMJなりの「EMのミッションとは」を書いてみようと思います。

MJが考える「EMのミッション」の要約

僕は「雇用主に利益貢献するために仕事をするのが従業員の原理原則だ」という思想をもってます。
EMといえど従業員のひとりなので、EMのミッションは「利益最大化のために、エンジニアリングにおけるQCD最適化を臨機応変に正しくやること」だと考えてます。

利益最大化とは

EMはいついかなる時も利益貢献を最大化させるための意思決定をすべきと考えています。とはいえ、利益最大化をイメージするのが意外と難しいので、僕はグラフで考えるようにしてます。

機能開発・コスト削減

新しい機能の開発やコスト削減は、利益貢献グラフで山を作ります。
新機能開発であれば、ユーザーが増えたり、オプション価格を払ってもらえたり、効率が上がってユーザーの人件費が下がることなどがあげられます。
コスト削減は、インフラコスト、人員削減などがあります。
利益の山を作る仕事は意義がわかりやすく、周囲にもわかってもらいやすいですね。

品質改善

技術負債の返済や障害対策、パフォーマンス改善などは、利益貢献グラフの下落を防ぎます。
技術負債を返済することで、メンテ性や拡張性が増し、プロダクト自体の存続が守られ、新機能開発や改修などによる利益創出を継続できるようになります。
障害対策やパフォーマンス改善などは、それによるユーザー離脱や機会損失を防ぐことができます。
利益の下落を防ぐ仕事の意義は理解してもらいにくく、優先度が下がりがちです。
しかし、利益の下落を防ぐということは長期的に見ると大きな利益貢献になり得るので、そこが説明できれば理解を得られます。

利益を上げて、下げない

利益最大化とは利益を上げて、下げないことです。
EMはただひたすら、利益最大化を目指し、それを実現するためにエンジニアリングにおけるQCDの最適化の意思決定とアクションを行っていきます。

QCD最適化とは

QCD(Quality, Cost, Delivery)最適化が指すエンジニアリング活動は多岐にわたります。EMはそのエンジニアリング活動の中から、利益最大化のために一番効果の高いアクションやテコの効くアクションの選択を求められます。

ニーズと課題

QCD最適化をする上で意識すべきは、顕在化されてるニーズと潜在的な課題の両方を天秤にかけることです。
ユーザーからの機能に関する要望や不満、またはコスト削減などは顕在化されているニーズであり、わかりやすく利益に直結するので優先されがちです。
しかし、目先の利益にとらわれ、技術負債や品質面の潜在的課題を蔑ろにしていると、「突然システムが停止するもコードがスパゲッティ過ぎて誰も直せず長期間業務が止まり大損失をする」といったリスクが大きくなっていきます。

現状評価と課題定義

ニーズや大きな声に惑わされず、冷静に今取り組むべき課題を設定することがEMに求められます。
そのためには、現行システムやプロセスを、QCDの各項目において評価と分析をする必要があります。
例えばUI/UXを改善するとユーザー離脱を減らし機会損失を減らしたり、パフォーマンスを改善することでユーザーの待ち時間が減りユーザーの生産性が向上したり、メンテ性を改善することで障害時の停止時間を最低限に抑える、などです。
現状の評価と分析をして、どの課題を解決することが利益最大化に繋がるのかをしっかり見極めましょう。

課題解決の手段

EMは、プロジェクトマネジメントや開発プロセスの改善、チームビルディング、採用などの活動をすると思います。それらは全てQCD最適化につながる課題解決のための手段です。

例えば、デリバリ速度が上がらないという課題の原因がチーム内の意思疎通であれば、チームビルディングを行うべきです。しかし、すでに意思疎通ができてる自走できるチームであれば、EMが意識的にチームビルディングを行わなくてもよかったりします。他の手段があるはずです。
課題解決の手段は色々選べると思いますが、選択した手段によってはコストがかかり、一時的に利益が下がることが少なからずあります。しかし、それが長期的な視点で見た時に、QCDを最適化して、かけたコストもしっかり回収でき、利益の最大化に繋がるのであればやるべきです。

臨機応変に正しくやるとは

事業や組織の変化に合わせて、やるべきことも変わっていきます。今やるべき仕事は常に見直しましょう。それが臨機応変にやるということです。
正しくやるということは、自分の仕事のやり方の正しさを問い続けることです。
仕事のやり方に正解はありませんが、このやり方でいいのか、この判断でいいのか、自問自答し続ける必要があります。
その際、できるだけ正しい仕事をするためには、市場・事業・組織・チーム・人など、様々な情報を収集して戦局を見極める必要があります。
「自分の仕事を臨機応変に変え、やり方の正しさを問い続ける姿勢」が無ければ、変化に追いつけなくなっていきます。

まとめ

以上がMJが思うEMのミッションである「利益最大化のため、エンジニアリングにおけるQCD最適化を臨機応変に正しくやること」ということの説明でした。なるべくシンプルに考えているつもりではあります。
EMも人間なので迷走することもあるでしょう。僕も迷走します。
そんな時、僕は立ち止まって、ここに書いたようなことを思い出して判断をするようにしてます。こういう軸を持っているかどうかでEMとしての仕事の質は大きく変わると思ってます。
EMは手段が目的化しやすい職種でもあります。EMの全ての活動は、利益最大化のためのQCD最適化を目的につながっているべきということを忘れないでほしいです。
この記事で、少しでもあなたに役立つヒントをお届けできたなら嬉しいです。
ではでは。MJでした〜。


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