見出し画像

劇団Mリーグ

先日、フォロワーさんののりべんさんに誘われてスペースなるものに参加させてもらったところ思いのほか楽しくてのりべんさん、まとやさん、私の3人を中心にドリブンズの話題に花が咲き気づけば約3時間あっという間に過ぎてしまいました。

私はこれまでMリーグファンの人達と積極的に議論をしたことがなかったためMリーグにはいろんなファンがいていろんな価値観があることを改めて感じることが出来ました。具体的には人によって好きな演者や嫌いな演者は様々だということです。

Mリーグが設立されて麻雀の世界にもエンタメという言葉をよく耳にするようになりました。当初は最高峰の麻雀プロリーグなんて聞くと私はついついタイトルホルダーを中心に実力上位のトッププロによる対局ばかりを期待しており、ドリブンズが初代王者に輝いた時は自分のことのように浮かれてました。

しかし、2年目には女流プロ最低1名追加、2年連続ファイナル進出を逃すとクビ規定が次々とルールとして追加され「おいおい、なんだよそれ・・・」とテンションが下がってしまったことを今でも覚えています。今では興行を盛り上げるための演出ということで自分を納得させていますが、この頃からエンタメという言葉が揶揄される手段として使われていったようにも思います。

私は20代後半くらいにちょっとした縁があり演劇鑑賞にハマっていた時期がありました。ちなみに私の初めての演劇鑑賞は中学3年の修学旅行の時に観たオペラ座の怪人だったのですが、周囲の友人たちの計らいで当時付き合ったばかりの好きだった女子の隣で観劇することになり完全に舞い上がってしまった私は芝居の内容なんてほぼ頭に入らず隣にいる好きな娘との良き思い出を作ることしか考えられなくなっていました。しかし何か話そうとしてもマナーを気にしてままならず、気を取り直して落ち着こうとしても頻繁に歌が始まってしまうため気が散ってしまい、文字通り好きな娘の隣に座っているだけの地蔵ラスを引かされた気分になりゲンナリして観劇は終わりました。そして修学旅行が終了してから数日後にあえなく私はその娘にフラれてしまいました。以来ミュージカルなんて大嫌いだと勝手に逆恨みしていました。劇団四季の皆さんには何の非もなく、その娘には以前好きだった男子がいてやっぱりその人が忘れられないという理由だったのですが、(じゃ1学期終盤のあの思わせぶりな言動はなんだったんだよ!)とは言えず中3の小僧にはあの絶望的な虚無感はなかなか厳しいものがありました。

だいぶ話が逸れましたが好きな娘にフラれた逆恨みにより演劇鑑賞への抵抗が結構あったのですが、ふとしたきっかけで見ることになった劇団BOOGIE★WOOGIE(調べたら既に解散してました泣)のレッドラインがめちゃくちゃ面白くて以来演劇鑑賞にハマってしまいました。

それから私は小劇場を中心に色んな舞台を観ました。色んな人とも繋がることになり舞台製作の大変さも知りました。商業演劇もいくつか観ました。
スポンサーがいても決して楽ではなく自主公演は推して知るべしってなものでチケットノルマなんてのもあったようです。

舞台には色んなプロセスがあって劇団が自主制作により公演するケースやプロデューサーが芸能プロダクションのタレントを集めて制作するケースもあったりします。
かつては劇団にそれぞれスター俳優がいて公演するケース。西田敏行さん、松田優作さん、堺雅人さん、阿部サダヲさんなんかが代表格でしょうか。
最近では俳優はほぼ芸能プロダクションに所属するそうですからプロデュース公演が主流ではないでしょうか。

舞台で一番苦労する点は集客でTVドラマなんかだと視聴率でしょう。とにかくお客さんを呼べなければどんなに良いストーリーでどんなに素晴らしい芝居をしようが演劇は成立しません。予算はとても少ないので広告費なんて恐らく無いでしょう。

例えば有名作品が舞台化したとなれば作品のファンが駆け付けるでしょうがそんなことは稀でほとんどの場合集客のカギを握るのは演者の集客力です。

そこで高いギャラを払って人気・実力を兼ね備えた俳優を呼ぶことが公演成功の近道ですがアッパーが決まっている舞台製作においてはリスクが高いとも言えます。
そこで制作サイドは高い演技力の俳優陣を揃えて良い作品にしたいという思いを抱きつつも集客力のあるまだ駆け出しのアイドル的なタレントをゲスト出演させるわけです。駆け出しとなればギャラも交渉の余地は十分にありローリスクでハイリターンが望めます。更にゲストの芝居の良し悪しはほとんどの場合お客さんにはわからないことが多いのではないでしょうか。

色んな舞台を観たり話を聞いたりするなかで舞台制作の難点はこうです。

・制作サイドはなんとか舞台を成功させたいが作品のクオリティと集客力は必ずしも比例しない
・駆け出しの俳優は話題作に出演することで自身のキャリアに箔をつけたい

ここまで書いてみて何かに気付きませんか。そう、Mリーグに当てはめてもそのまま成立するんです。

ハギーが捨て身になってもインスタグラムやTVなどのメディアでMリーグの宣伝をしてくれるのは若くて駆け出しだった時代の苦労を知っているからではないでしょうか。そして自身の役割を知っているからこそ一歩引いた立場でMリーグを盛り上げようとしているようにも思えます。

Mリーグ初年度のドラフトで実績のあるトッププロが選ばれる中でどちらかというと人気先行の高宮さんや二階堂亜樹さんや茅森さんが選ばれるのを見て私は正直言って納得できませんでした。
2年目には女流プロ追加と聞いて最高峰の麻雀プロリーグなのになんで?って思いました。そしてサクラナイツに岡田さんが当然のように選ばれて何それ?って思ったこともあります。

でも自分の物差しで測った選手だけではMリーグという興行を成功させるのは無理と気付いてからは考えを改めることが出来ました。そしてAbemaプレミアムでオフショットを眺めているうちに選手全員が仲が良い姿を見て演劇鑑賞にハマっていた頃を思い出したのです。共演した俳優陣はとても仲が良く長い稽古期間を通じて友情が芽生えることもあるのでしょう。そういう絆が垣間見えるのも舞台鑑賞の醍醐味でもありました。同じようにMリーガーは試合では敵であってもMリーグを盛り上げるという点で繋がっていて他のスポーツ競技とは違ったモノを感じます。ミュージカル版テニスの王子様に似た雰囲気を感じたりします。(ちょっとした繋がりで横浜アリーナにテニミュを見に行ったこともあります)

そしてオフショットやSNSを通じて岡田さんや高宮さんがどんな想いで麻雀に取り組んでいるかを知っていくうちに二人のことは今ではかなり好きです。

好きの反対は嫌い。エンタメにとって最も避けなければならないのが無関心とよく言われますが無関心だと未来永劫何の感情も湧きません。例え嫌いでも突出した感情があれば私のように嫌いが裏返って好きになることもあり得ると思います。

さて、先日行われたMトーナメントの決勝戦、私は村上さんのドリブンズ契約満了の虚無感が抜けきらずしばらくAbemaを見ることがなく、Abemaプレミアム限定企画だと勘違いしていたため最終戦の南場しか見れませんでした。

その対局のなかで二階堂瑠美さんの変顔が話題になったそうで、それを揶揄されるツイートじゃなくてX’s(エックセズ)が注目されているようです。
言いたいことはわかる。私も恐らく自分が尊敬している打ち手が優勝争いから脱落する時に対戦相手が変顔していたら意図を問わず腹立たしい気持ちになるかもしれない。いや、きっとなると思う。でも鬱憤を晴らすかのようなX’sはしないかな。

変顔も個性と思えれば良いし下手も個性。下手(と思い込んでいるだけかもしれない打ち手)だとしても勝つことは結構あるのが麻雀。

エンタメに関わる人の共通点は制作側も演者側も常に真剣勝負であること。非常識な人はいるかもしれないけど少なくともふざけている人は見たことありません。努力してない人はいるかもしれないけど・・・。

9チームになった23-24シーズン。恐らく近い将来10チームになるだろうMリーグ。実力派のプロを差し置いて新たなタレント選手が生まれたとしても興行の成功のためには今はベターな方法なんだと思います。

劇団Mリーグ。それは筋書きのないドラマ。誰が主役になるかなんてチェアマンにもわからない。そしてしつこいようだけど自由契約からの復帰選手の第一号は村上淳であってほしい。そんなストーリーに期待しています。

変顔する美女もいれば変顔な中年おじさんもいる、いろんな個性があっても面白いと思えばMリーグの見え方も変わるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?