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ドリブンズに思いを馳せて

麻雀界は今Mリーグ新加入のBEAST Japanextの話題で持ち切りだ。更に来シーズンは新Mリーガーが新チーム4名、フェニックスから近藤さんの代わりに1名、ドリブンズから村上さん、丸山さんの代わりに2名の計7名新たに誕生するということで今回のオフシーズンはいつになくあわただしい。
なかでもBEAST Japanextのオーディションは恐らく風林火山のオーディションに着想を得たと思うんだけどなかなか面白いと思う。

風林火山とBEAST Japanextのオーディションではいずれも全麻雀プロから応募を募ったけれどBEAST Japanextの場合は最終的にBEAST Japanextの求める人物像を公表して有象無象の麻雀プロを内部審査でふるいに落とすという手法はチームの方針がある程度明確化されるという点で個人的には好感が持てた。Mリーガーはやっぱり各団体でのタイトルホルダーやこれまでの実績を持っている選手が選ばれないといけないと思う。
私のなかではハギーやおかぴー、伊達さんといったタレントとの二刀流選手はMリーグ発足当時こそ毛嫌いしていたけど今ではアリだと思っている。

男性プロのガチ勢ばかりでは興行的につまらないという意見をよく聞くけど私としてはむしろそっちの方が好きではある。好きではあるけどそういう風にならないのは番組として受けないし女性の活躍の場を増やさないといけないという側面もあると思うけど、麻雀プロに対する信用が足りないからスポンサー側からするとタレントプロがいてくれた方が世間的に納得感や安心感があるのではないかと感じている。信用がないとは素行不良や行儀が悪い連中がいるというイメージもあるかもしれない(一部のプロに凄く感じる)けど一番は業界から強いと評価されている選手が必ずしても勝ちきれるわけではないという点が大きい。

麻雀の優劣は長期的な成績によって証明されるもの、という点は賛同するけど500戦は短期なんて言われても視聴者からするとついていけないよね。更に一般の麻雀ファンからすると麻雀は技術よりも運という定説が覆らないので極論すれば誰がやっても勝つ時は勝つし負ける時は負ける。ならばスポンサーとしては話題性や宣伝効果のあるタレントプロや華やかな女性で勝てるならそれに越したことはないと思われやすいのではないだろうか。

そして新チーム加入を水面下で知っていたかのように将棋界から鈴木大介さんが連盟に加入したとなるとBEAST Japanextから指名される公算はかなり高いと思う。ただ、1位指名はチームの顔ともいえる選手なので実績のある生え抜きの麻雀プロで恐らく鈴木さんは2位か3位指名ではないだろうか。

私の読みでは越山監督のプッシュにより村上さんの指名は結構あるんじゃないかと思っている。村上さんとたろうさんならどっちが良いか?と選択してもらったまであるんじゃないかとすら希望的観測含めて推測している。ただしこれは条件付きで石橋さんがオーディション参加により選考で8名の中に入っているので石橋さんが優勝して指名権獲得ならこれは破談。つまり自由契約の選手の復帰第一号というストーリーに2人はいらないと考えるのは自然で今は石橋さんが本当に優勝して「コイツは持っているぞ」と思わせられるならそれに乗るし、そうでないなら村上さんという天秤にかけているのではないだろうか。(かなり強引なプロットだから信頼度はかなり低いです)


というか今更なんですがドリブンズから村上さんと丸山さんが自由契約になったんですよね。私としては覚悟はしていたんですがいざこういう結果になると悲しいです。文句はないけれどただただ悲しいです。いや、心無い悪口を言っている人には文句はあります。ファンでもないのにつべこべ言うなと。

パイレーツファンも昨シーズン同じ思いをしたけどルールで選手交代というのはやっぱり残酷です。私は村上さんがどれだけ麻雀に苦悩してきたか、ファンのことを大事にしてきたか、丸山さんがどれだけ必死に麻雀の勉強をしてきたか、チームメイトを愛していたかを知っているつもりだけど牌の後先に弄ばれてしまったがために実力を出し切れずMリーグ視聴者の一定数のファンからは健闘を称えられることなく送り出されることが悲しい。

特に丸山さんは「出場試合数が一番少ないのに自由契約なんて全然育成になっていない。監督こそ解任だ!」みたいな論調で越山監督を叩くアンチがとても多くて残念だ。ファンでないならそっとしておいてほしいし丸山さんのファンであるならそういった類のコメントは丸山さんを一番傷つけることに気付かないのだろうか。誰しも考えることは自由だしファンなら言動をわきまえろとまでは言わないが自分の都合の良い理想ばかりではないわけで悲しい時でも受け入れる度量が必要なんじゃないだろうか。

園田さん・たろうさん・村上さん・丸山さんの4人でのドリブンズに思いを馳せます。

思えばMリーグ1年目、ドリブンズは優勝したけれどレギュラーシーズンは結構乱降下していた。特に村上さんは1年目の成績は芳しくなく確か1月の出場回数は極端に少なかったように思う。この采配を受けて村上さんはプロとして成績不振を理由に一時的に出場回数が少なくなることよりも同情により出場機会を得るようなことがあればチームにいられない、といった主旨のコメントを残している。ここに村上淳のプロとしての矜持を見た気がした。麻雀の負けについて愚痴らない、言い訳しない、人のせいにしない。虎視眈々と次に試合に出た時に取り返すための準備をする。そして2年目のチーム不振を受けて孤軍奮闘チームを最後まで引っ張り奇跡の逆転セミファイナル進出まであと一歩というところに詰め寄った。

このシーンはもう何回再生したかわからないくらい見たと思う。これは139万回再生の動画なんだけどそのうち1万回くらいは私が再生していると言っても過言ではない。わけはない。多分30回くらいだと思います。

ちなみに今シーズン優勝したABEMASの白鳥さんはポストシーズンで優勝に大きく貢献して私は勝手に不沈艦と名付けたくらい安定感抜群だった。そんな白鳥さんでも大不調に陥ったシーズンがあって出れば負けを繰り返しておりチームは危なげなくレギュラーシーズンを勝ち抜くんだけど精神的にかなりツラかったと思う。ポイントの面では役に立てなくてもチームのために何か貢献しようと積極的にチームメイトの違和感やダメ出しを伝えたという。

自分が勝てなくてもチームが負けなければ良い。自分が試合に出られなくてもチームメイトが勝てば良い。

チームワークにもいろいろあって寡黙に自身の役割を全うすることもひとつの答えになるであろう。いつもニコニコしているたろうさんはこういうタイプだと思う。
Mリーグ1年目、まだ各チーム3名編成の時代にドリブンズから園田さん、村上さんが自団体である最高位戦の最高峰のタイトル、最高位決定戦に進出した。Mリーグの試合と直接バッティングしたわけではないけれど恐らく最高位決定戦のための配慮として園田さん、村上さんを温存して11/15、11/19とたろうさんが4連闘した。たろうさんは11/15をトップ・トップ、11/19をトップ、2着でまとめ見事2人の穴を補って余りある活躍を見せた。Mリーグで初めてチームワークという言葉を意識させられた出来事だった。
また、たろうさんのベストバウトに欲張り四暗刻を連想するファンもたくさんいると思うけど私のベストバウトはこれ。

ハギーのトイツ落としを完全に読み切っての發単騎リーチは見る者に興奮を与えたと思う。トイツ落としは瞬時に看破したはずのたろうさんのリーチ時の小考は2着目の松本さんにマンガン直撃条件を与えてしまうからという中級者のファンには思いもよらない思考の深さを感じさせました。

思考の深さといえば園田さんは数々の名シーンを演出してきました。思いもよらない序盤の仕掛けから局面を長引かせ時間をかけて本手に仕上げて和了りきる。あるいはリーチを受けて一旦はオリに向かいながらも虎視眈々と反撃のチャンスを伺い一瞬の隙をついてフリテンを鳴き返して見事に和了りきる。

そんな園田オリジナルでもこっちのが記憶に新しいですね。


私の中の園田さんのベストバウトはこれ。

2019-2020シーズンは園田さん絶不調のシーズンで名セリフ「なんなん」が生まれたのはこのシーズンです。試合に出る度に不運に見舞われこの試合も苦しい展開が園田さんを襲います。リーチと仕掛けに挟まれ親番にも拘らず泣く泣くオリを選択した終盤ラスト1巡ついに安全牌が尽きます。
四四四②②③⑤⑤⑧33567
手牌14枚のうち8枚が当たり牌。
勝又さんはピンズの混一色でピンズは打てない。
アサピンさんはリーチなので打点が高そうなのでどれも打てない。
多井さんも赤含みの副露があり押しているので打点がありそう。
園田さんが長考の末ひねり出したのがなんと無スジの5!アサピンさんのリーチ宣言牌一と七が通っているのでスジの四かと思いきや無スジの5でした。四は宣言牌のソバテンの場合にカン四待ちは読み筋に入ることとカン四待ちになるならドラの二が複数所持している可能性が高いこと。またアサピンさんの序盤の捨牌に9白9とあり、手出しの9が不要牌を挟んでいるので9は手牌に関連している可能性が高いこと、58待ちになる場合に997から9を一枚外してリャンメンの渡りを打つのは不自然であること(9のシャンポンが悪くない)を考慮して打5になったようです。これぞプロの読みだと思いませんか。
園田さんの思考は自身のYoutubeチャンネルで余すことなく語られるのですがアマチュアには到底たどり着けない衝撃の思考の深さと配信時間の衝撃の長さがあります。私にはとても全て見れません(笑)

衝撃といえば伝説のハネマン見逃し倍満ツモの衝撃のデビュー戦を飾った丸山さん。デビュー戦のインパクトが凄すぎてそれを超えるシーンがなかなかないので本人としても悔やまれるところだと思います。丸山さんが加入してからのドリブンズは勝ちきれない試合が多くジリ貧で毎シーズンのようにレギュラーシーズン敗退争いを余儀なくされました。

そんな連敗するドリブンズの窮地を救って「これは復活の兆し」と期待を寄せるファンもたくさんいたと思います。チームが苦境に立たされた時、ポストシーズンの緒戦などの重要な一戦を任されるまでに成長した丸山さん。確かに他の選手に比べると出場機会は少ないですが丸山さんの存在価値は計り知れないモノがあったようにも思います。心無い人から育成枠失敗というレッテルを貼られてしまいましたが確実に成長していると思います。多くの人が誤解していると思いますが丸山さんはおじさんズの3人の麻雀を模倣することが目的だったわけではありません。私が思うに繊細な園田さんの麻雀、豪胆なたろうさんの麻雀、胆力の村上さんの麻雀。それぞれの良さは相反するけれど目的は麻雀が強くなること。3人は長い麻雀人生の中でたくさんの成功や失敗を繰り返して自分の信じる麻雀観を培ってきた。丸山さんはこれから歩む長い麻雀人生の歩み方を育まれたように思う。単に試合に勝つためのチートのようなメソッドではなく遠回りでも真に麻雀が強くなるための方法論を教えられたんだと思う。名実共に育成枠と揶揄されることはなくなるのでいつの日かMリーグ復帰のストーリーを見せてほしいです。


ドリブンズファーストシーズンは幕を閉じます。補充は水巻さんと女流枠は愛内よしえさんじゃないかなと思ったり。ドラフトの指名順も逆風みたいだしどうなるんでしょう。私個人としては最高位戦の選手で補充して最高位戦の選手は強いという姿を見せてほしいです。
そして私の妄想であるBEAST Japanextの村上淳が誕生した場合は楽しみでもあるし複雑な心境です。今回のオフシーズンは目が離せません。


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