FF16雑感
ファイナルファンタジー16が出ましたね。だいぶ前に。んで体験版をやったらめたくそ面白かったので、散々迷った挙句買ってやりました。
AC6で傭兵稼業に戻る前に感想とかをしたためておこうと思います。
都合上、ネタバレを含みますので、ご注意願います。
1.あらすじ
ざっくりとストーリーを思い出しながらいきます。
物語の舞台はヴァリスゼア。巨大なマザークリスタルの庇護を受けたなんぼかの国が覇権を争う物騒な土地。しかもなんか植物も動物も魔物でさえも生息できない黒の一帯と呼ばれる土地が死ぬ現象がそこかしこで見られどんどん住む場所がなくなっていく終末みたいな世界です。
この世界はマザークリスタルから採掘した欠片を使うとマナを吸い出して魔法が使えるって具合で、クリスタルが力に直結するような状態です。
この世界には大別すると大部分の人間と、ベアラーとかいうクリスタル無しで魔法を使える人がいます。
なんか普通に考えるとそんなクリスタル無しで力を使えるベアラーとかいう人が覇権持ってそうですが、数が違いすぎるのと、いうて別にクリスタルあればいいしってな具合で、人間がベアラーを奴隷化しています。オラッさっさと水を出すんだよ!火を出すんだよ!ってな具合で人間クリスタルとして便利に使われています。
ベアラーってのは、顔に刻印が刻まれて簡単に分かるようにされています。この刻印は消そうとすると毒が回って死ぬらしいです。まだ見つかってなくても、うっかり人前で魔法を使った日には一瞬で差別され密告され刻印されて奴隷にまっしぐら。お前…ベアラーだったのかよ!人だと思ってたのに!シッ!ベアラーなんかと口を聞いちゃダメ!てな具合で、かなり終わった世界です。
さて、物語は、主人公であるクライヴが秘密作戦に従事するところから始まります。
なんでも最近鉄王国とかいうところがシヴァのドミナントを見つけたってんで、それを倒すのが目標だそうです。ドミナントとは、召喚獣の力を行使できる人のことです。
何をしに現れた?ドミナントである私がなすべきことなのだ。理解できんと見える……ならばその証を見せてやろう、決定的な違いをな。
山岳地帯を進んでいくと、もう一方の相手国、タブナジア共和国も召喚獣のカードを切って、タイタンが現れ、岩を投げまくり、クライヴの仲間がミンチになって気を失います。
その後過去、主人公に何があったかを経て、現代に戻って話は進んでいく。
クライヴはロザリスという国の王子です。彼がガキだったころ、弟のジョシュアがいました。コイツはフェニックスのドミナントなんですが、体がよわよわです。クライヴは兄なのに、フェニックスが発現しなかったとかいうことで、実の母親からめちゃくちゃに冷遇されています。本人は超がんばって剣の使い方を学んでおり、体が雑魚の弟を守るため、フェニックスの加護を賜り、ナイトとしてその責を全うしようと考えています。
ある時戦争がはじまりそうってんで儀式を行うため、フェニックスゲートとかいうところに向かいます。そこでザンブレク皇国という国の兵士から夜襲を受け、最終的にジョシュアがみんなを守るためフェニックスへと変貌すると、もう一体召喚獣が現れます。
この世界では同属性の召喚獣っていないらしくて、
火=フェニックス 氷=シヴァ 風=ガルーダ 土=タイタン 雷=ラムウ 聖=バハムート 闇=オーディン てなぐあいになっています。
現れたのはみんな大好きイフリート。火の召喚獣だというから謎が深まります。イフリートは現れたと思ったらフェニックスになったジョシュアをボッコボコのボコボコにしてギャレゴジみたいにフェニックスの嘴をこじ開けながら火線をぶち込むみたいなことをやって完全につぶしました。こわい。ここまでやらんでも。
ともあれ二体の召喚獣に焼き尽くされフェニックスゲートは壊滅。ことが終わったあとに現れたクライヴの母は敵方に与しており、奇蹟的に生きていたクライヴは、今回の首謀者ザンブレク皇国に確保され、刻印を施されベアラー兵士になりました、という顛末です。
その後、シヴァのドミナントが実は幼いころからの知り合いだったジルだったり、子供のころ連れてた犬がでかくなって現れたり、今回のシドが現れたりとなんやかんやあります。
犬はトルガルといい、でっかい犬です。かわいいです。撫でることができます。つらいことがあったらトルガルをなでるといい。
子どものころに弟をブチ殺したあのイフリートは実は自分だったということに気付いた後もいっぱい撫でたら何とかなった。(ならない)
ちなみに弟は生きています。まあね、まあまぁ あそこまでやられて死なないならもう死なないだろ。体弱いのにスゴイね。
シドは「人が人らしく死ねる場所が作りたい」という理想を掲げて、各所でひどい扱いを受けるベアラーを保護してまわっています。奴隷なので金で買ったり、主人から捨てられたのを匿ったりしてます。(ちなみにベアラーは魔法を使いすぎると石になって崩れて死ぬ。悲惨。)
先述した通り、この世界は人が住める土地がガンガン減っていてあんま余裕がありません。黒の一帯が広がるのを止めないと話にならない。
長年の研究の末、原因の一端がマザークリスタルにあるということが分かりました。大地のエーテルを吸いまくって、その結果だと。シドは言います。「マザークリスタルをぶっこわーす!」
マザークリスタルをぶっこわすと、その一帯では魔法が弱まり、クリスタルは使えなくなったりと大変なことになりますが、世紀の大悪党となっても、土地が減るのを食い止めよう。これが縦軸の話です。
その後最初にぶっ壊すマザークリスタルを、なんか意味わからん行動をして手薄になってるザンブレク皇国のやつに定め、見事破壊しますが、シドは死にます。なんかアルテマとかいうやつが出てきます。
同じ理想を掲げたクライヴが二代目を襲名し、今後も破壊活動に従事することとなります。
なんとここで5年ジャンプ。精悍な顔つきになるクライヴ。あんまり変わらないけど確実に年を取ってるジル、かわいいままのトルガル。
そんなこんなで、ガンガンマザークリスタルをぶっ壊し、そこには大体いる敵方ドミナントもぶっ倒して力を奪い(クライヴはなんか召喚獣の力をゲットできます)、たびたびさらわれたりするジルが絶対エロいことされてよな……うーんでも今30か……いや……まぁ……うーん………などと期待するなどしつつ、先に進んでいきます。
アルテマとかいうやつは、どうやら神様みたいです。創世記からの神で、今では伝承が失われて実態が分からない。各地にある遺跡になんか絵が描かれててそれの中央のやつがそうっぽい、ぐらいの話なんですが、終盤につれて自分でしゃべってくれます。
アルテマは言ってしまえば過去に失敗した神で、魔で栄華を極めたが、エーテルの枯渇による黒の一帯という現象を引き起こし、滅亡しました。
命からがら生き延びて、ヴァリスゼアにたどり着き、ここでまたやり直そうってな具合に計画を進めていきます。
まず自分たちの将来の器とするため人間を作り、魔法をあたえ、各所にマザークリスタルをぶっ差しました。
マザークリスタルはシドの見立て通り、大地からエーテルを吸い上げています。長年吸い上げたエーテルを利用して、アルテマは種族として大復活を遂げ、今度こそ黒の一帯が生じない完璧な新世界を作り上げようと気の遠くなるような遠大な計画を実行していました。
しかし誤算があり、上手い具合に器となる人間(ミュトスと呼ばれるクライヴ)ができたのはいいけれど、なんか人間、あんまりにも自我を持ちすぎた。自我に囚われてなんか人のこと見下したり、差別したり、奪ったり奪われたりなんだりするあいつらマジダメ。自我捨てなよカスどもが。最終的には人間は廃棄しよう、ということを考えた。
クライヴは人権活動家兼環境活動家なので、そんなことは許せません。全力で抵抗します。お前が消えろ古臭いクソ神が!
この時クライヴはたくさんの人から思いを託され、それが強固に紡がれることで、人の身ながら信仰を集めた神とも呼ぶべき存在とまでなっていました。(ロゴスとか呼ばれる)
そんなこんなでラストバトルを潜り抜け、神との決別を込めた渾身の右フックで99999!!(クソダサい)を記録し、アルテマをボコすと、アルテマは何か、自らも自我に囚われてたし、この先地獄しかないだろうが、まあがんばれや的な清々した感じで死にました。
この右フックがほんと、マジでダサくて、これはみんな見てもらいたいなと思います。ほんとうにダサい。熱量でごまかされそうになるけどどうした?マジで……
そんで、死んだアルテマから力を受けたクライヴ。黒の一帯が魔法を含むこの世界のシステムで決定づけられてるため、いくらマザークリスタルをぶっ壊してもダメだった。
そしてこのシステムを作ったのはアルテマで、今その力はわが手にある。
魔法を含むシステムを根幹から破壊することができるだろう。
……浮かんだ月を見上げて横たわるクライヴ。その手は石になっていて……
戻ったらまた一緒に月を見ようと約束したジルの嗚咽と、月を見上げて鳴くトルガルの遠吠えが悲しく耳に響き、物語はエンディングを迎えます。
世界から魔法は失われ、ベアラーもドミナントも人間もみんな等しくただの人に。
それからだいぶ先の未来、緑を取り戻した世界では、魔法のない世界が続いており、子供たちが見る冒険譚の著者名には、ジョシュア・ロズフィールドの名前が刻まれている。
というのが大まかなストーリーです。長い。
で、だ。
エンディングなんですが。
皆さんFF15しってます?しってますよね、このエンディングも僕は納得いってなくて、話の筋としては綺麗なんですよ、まあ突き詰めていったらこうしかないよねっていう感じで。でもさぁ、救いって…ほしいじゃん!
FF15は「やっぱつれえわ」「言えたじゃねえか」で有名な(ネタにされているけど)、エンディングの前に挟まる最終決戦直前のPT会話がありますが、これが辛い、ほんとにつらい。そりゃそうだよ、死にたくねえよなあ……
FF15の旅は言ってしまえば、あらがえない、確定された死に向かう王子に与えられた、一抹のモラトリアムです。
彼の死をもって世界は平定され、救われる話です。たしかにこれしかなかったかもしれない、と思うのだけれど、実はノクトだって死にたいわけがないんだよなあ……仲間はそんなノクトの声が聞けて、良かった、と言うわけです。死ぬまでのモラトリアムをずっと一緒に過ごした彼らの心中はいかばかりだったろう。
そして確定された死は訪れエンディングを迎える。なんだか死んだ先でルナフレーナと再会を果たしたみたいな体で締めているが、二人とも死んでるのでただの幻想にすぎないわけです。つらい。
そんなわけで、エンディング後、過去を思い出すようにオープンワールドの部分を追加で遊べるようになるんだけど、どこをどう切り取っても死までの猶予期間の思い出でしかない。あまりにも辛くなって何もできずにそのままフェードアウトした、という経緯を持ちます、私は。
で。16なんですが、確かにこれはこれで美しい終わりなんだろうな、ビターなエンドでいいのかもしれない。
でも私が見たかったのはそうじゃないんだ……。そうじゃないんだっつっても仕方ないんだけど。
アルテマを倒し、神の手から離れた世界で、人が辛くとも決して後ろ向きではなく苦難を乗り越えて世界を進めていく、そうした世界で生きるクライヴやジル、トルガルや隠れ家のみんなを見たかった。そういった終わり方もあったはずだろう、とそう思ってしまう。
根拠があって。まず、シドの隠れ家では、黒の一帯の土や水でも植物が育つように、様々な研究が行われており、一定の成果を得ています。
なかなか目が出なかったけれど、作物が取れるようにまでなってきていました。つまりこれは、たとえ世界が黒の一帯で覆われたとしても、可能性があったかもしれないということです。
人間はアルテマがなそうとした新世界を成すかもしれなかった。システムを根幹から破壊するグレートリセット的な発想でなくとも、可能性は示されていた。
それを選ぶのは本当に人間にとって大きな痛手を伴うものだろう。軌道に乗るまでどれだけの人が亡くなるかわからない。
それでも、それでも今まで細々とでも繋いできたものをつなぎ続け、いつか実を結ぶような未来もあったのではなかろうか。しかしクライヴは、苦難を選ばず、リセット的発想で解決を図った。これはあきらめに等しいものなのではないか、と感じてしまうのです。絶望に向かっていても、光ある限り先に進んでほしかったよ。
もちろんこれは個人の好みの範疇であろうと思いますが、最近見た作品でもなんか同様の雰囲気を感じるんですよね。
例えばシンエヴァ。あれも結局は大リセットをかけるみたいなものでなんかいい感じっぽく終わりましたが、個人的には、赤く染まった海にまみれ、死が蔓延したあの世界で、僅かに残った人たちが痛みを伴いながらも前を見て生きる姿が見たかった。
例えばDQ11。クリア後に、作中で犠牲になった一人のために、過去に戻るパートがありますが、犠牲になった一人のためだけに、勇者は自分が救った今ある世界のすべてを捨てさったようにしかみえなかった。皆を救い死んだベロニカのことを背負って、お前たちはみんなでその世界で、しっかりと生を全うすべきではなかったか。そう思ってしまう。そうでなければ、あの時皆を救ったベロニカの思いは、どこに行ってしまうのだろう。
今、そこに生きているベロニカは、別の人だ。
つまりは安易なハッピーエンドが欲しい、ということに包括されてしまうかもしれないが、ちょっと世界と流れた時に対しての解釈が自分にあってきてない感じを受けてることが多くなってきた気がする。
ゲームやアニメ、漫画の作中で流れた時間がちょっと軽んじられる傾向がありそうな気がしていて、FF16でもなんかそんなのを受け取ってしまった、という話でした。
俺はね、ジルの横で笑って月を見上げるクライヴがな、見たかったんだよなあ……。
終わりです。お疲れ様でした。
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