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経管栄養の手順(実践編その3)


左下には分包されたお薬
お薬をペンチで細かく砕きます


前回は、聴診器でお腹の音を聞いて、カテーテルが食道を通って胃まで到達していることを確認しました。
この4ヶ月の間に一度だけ、カテーテルがビョ〜ンと20cmほど鼻から飛び出していた朝がありました。
そういうことのないように、母には手作りミトンをしてもらってますが、カテーテル出てる事件は話は聞いていたので、これか!と。寝てる間に何となく手が触れたら何となく引っ張ってしまったりするのでしょうね。
緊急の時はまず訪問看護ステーションへ連絡します。訪看さんからクリニックへ連絡してもらって、1時間半後くらいにお医者様が来てくださり、新しいのを入れ直してくれました。

そうだ、経管栄養前にはオムツ交換しておきましょう。
うちは朝にヘルパーさんに来ていただき、オムツ交換、顔を拭いて口腔ケアをしていただいています。

それから、仰向けの体制にします。体はいつの間にか下方へずれていったりしがちなので、傾斜をつけたときに腰がちょうどよい位置になるよう、ベッドの傾斜をつける前に体を上の方へ引っ張ってちょうど良い位置に動かします。そのあとに、介護ベッドの足の方を上げて傾斜をつけてから、頭の方の傾斜を30度くらいまで上げます。先に足の方を上げるのは、体がずり落ちてくるのを防ぐためです。

お薬を溶くのは
計量カップを使ってます

錠剤は溶けやすいようペンチで砕きます。シートに入ってるまま、あるいは分包されているなら袋に入ったままでペンチで砕いてから、白湯に入れて溶かします。
ペンチで砕かなくてもすぐに溶けるとお医者様は言いましたが、やはり錠剤そのままだと溶けるまで時間がかかります。入院中の看護師さんの教え、ペンチで砕くのが手早いです。
うちの場合は、錠剤の種類によって溶かす温度帯が異なります。55℃以下で溶かすものと35℃以下で溶かすもの(35℃より高いと固まることがある)があるので、先に高い温度で溶かしてから、35℃くらいまで下がるまで待つ、その間に他の用事をする。あるいは、水と湯を駆使して温度調節します。
水はその時によって使う量が違ってしまうものです。やかんの湯とペットボトルのミネラルウォーター、注ぐときに、ちょびっとのときもあれば、ドバっと出るときもあり、なので、計量カップでお薬を溶いていれば、水を何cc使ったかがわかるから便利と思います。お薬で30〜50ccくらい使うので、それより水を多く使ったときは、このあとの白湯200ccから少し差し引いてもよいかもしれません。とは言っても、ただの水分なので、多く摂取しても何ら問題ありません。たまに水入れすぎて、シリンジ1回で吸いきれないときがあり、そういうときは2回にわけて、シリンジで吸って投与して、残りをまた吸って投与して、という感じでやってます。
あまりに少ない水でお薬を溶くと、濃度が濃いためか、カテーテルが詰まってしまったことがありました。シリンジを押しても動かなくて、よく見ると、カテーテルの一部分に薬っぽい色味が固まってました。どうする?って考えて、その固まってるとこを手でもみもみしてみました。そしたら動いてくれたので、よかったです。見えている部分での出来事だからよかったけれど、鼻の中から先、体内での詰まりだったら、緊急でお医者様をお呼びすることになったのかもしれません。

それと、もう一点、シリンジをふりふりシェイクしながらお薬を投与しましょう。お医者様は振らない方がいいよって言いましたが、看護師さんは振ります(笑)
振らないと、シリンジの中にほぼ必ず薬が残ってしまって困ります。お薬投与の際は、シリンジふりふりシェイクは必須です。そのため、母の頬に留めてあるカテーテルにもふりふり振動が伝わりますから、もう片方の手でカテーテルの途中を手で持って振動が伝わらないようにするのも、ちょっとした心遣いというか、ふりふりするなら、この一手間も大事なことかもしれません。


お薬投与が済んだら
シリンジに水を入れて置いておきます

料理用温度計をこんなに
毎日使う日が来るなんて
思わなかったよ

シェイクしているにもかかわらず、シリンジの中にお薬が少々残って固まってしまうときもあるため、お薬投与を終えたら、シリンジには水を少し入れて置いておくとよいと思います。最後のフラッシュ(通水、チューブの中を洗い流すこと)の際、再度シリンジを使うため、こうして水を入れておくと、固まってしまったお薬成分もたいてい緩んで溶けています。入院中、看護師さんはシリンジはそのままにして、フラッシュのときに水を入れて、残ったお薬成分がフラッシュとともに入っても構わないと言ってました。そうは言っても、シリンジの中にお薬が少し残ってる状態で水を入れずに放置した場合、フラッシュ用の水を入れても、そしてふりふりしても固まったお薬は簡単には溶けず固まったまま、ということが多く、シリンジに水を入れて放置というのが得策と思います。

が、それでも、溶けにくいコもいます。それは、ランソプラゾールという胃腸薬に含まれているオレンジ色の成分です。私も、以前、胸やけがひどいときに使っていました。このコは溶けにくいため、どうしても残りやすい、そして、シリンジの中に残ってしまうと、すみっコに固まって取れにくいのです。洗うときも手間取りますので、やはり、シリンジさんには最後のフラッシュまでの間、水を入れて出番待ちしてもらうのがよいと思います。
(急にシリンジに、さん付けしたくなりました、笑)

どこかの誰かのお役に立てば幸いです。

お読みくださりありがとうございます。

次回に続きます。

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