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経管栄養の手順(実践編その5)


栄養剤ラコールを
お湯を張ったボウルに入れて
温めているところ


前回の白湯投与に続いて、栄養です。
上記写真の経腸栄養剤(経管・経口両用)ラコールNF400ml(400kcal)、これはそのまま点滴棒に吊り下げることができるので便利です。

入院中は別の栄養剤で(名称は忘れました)、200ml入りの四角い紙パック×2個、ハサミで開封し、白湯が終わったら、白湯を入れていたボトルに栄養剤を流し入れ投与しました。退院が決まった時点で、ラコール200ml入りのパック×2個に変更されました。栄養もお薬と同じように処方箋を出してもらいます。入院中使用していた栄養剤は処方箋を出すことができないらしく、「自宅ではラコールを使ってもらうので、練習のためにも、今日からラコールに変えます」と看護師さんは言ってました。ちなみに200mlのパックは点滴棒に吊り下げるようにはなっていないので、ハサミで開封してボトルにラコールを注ぎ入れます。

退院時、投与に必要なシリンジやチューブやボトルたちを幾つかと、ラコールも一週間分くらい、持たせてくださいました。その後、薬局さんから「400mlのパックでもいいですか?」と聞かれて、サイズがいろいろあると知りました。まあ、別にどっちも同じならどっちでもいいかなと思って、使ってみると、ボトルに開けかえなくて済むので一手間楽になりました、と感じるようになったのは、しばらく使ってからのことです(笑)
まず、パックを開封してボトルに入れるのが当たり前だったので、ちょっと違和感を感じたことと、もう一点は、ボトルにつないであったチューブを外してラコールのパックにつなぎ替えるときに、ちょっと不安(笑)
なぜなら、ラコールのノズルを開栓するときに、パックの持ち方によっては、液がピョっと出たり、チューブのつなぎ方が甘くて少し垂れてた、とか、完全栄養食みたいなものなので、垂れるとベタついたり、気づかないでいると固まってたり。そして、必ずノズルを上向きで開栓するよう注意書きがあって、もし、チューブをつなぐ前に、パックを点滴棒に下げてしまい、うっかりノズルを回してしまったら?!液体こぼれ出るよね、という恐ろしい妄想が時々脳内に浮かんで、ヘンに緊張して、ノズルは上に向いてるね、開けて大丈夫だよね、と自分に念押ししながらやってました(笑)
という経験をかさねて、400mlのパックはラクだよね、と思います。

ボトルからチューブを外して
ラコールのパックに無事つなぎました

栄養の滴下の速さは、1秒に2滴くらいです。入院中も看護師さんの指導の下、自分の感覚でアバウトでOKと教えられましたが、このアバウトさのおかげで、今日は早く終わった、今日はやけに時間がかかる、と、そのときによって、終了時間が変わります。途中でどのくらい投与が進んでいるか、余裕があれば(忘れなければ)、30分後、1時間後、など、適宜チェックするとよいと思います。なぜなら、栄養剤は粘度が高いため、温度により、終了までの時間にかなり差が出ます。アバウトながらの1秒間に2滴で、400mlの投与に1時間〜1時間半くらい、たまに2時間かかるときもあります。投与時間の振り幅が大きいのは、滴下速度が速まったり遅まったり、もう終わったかなと思って見ると、途中で止まってる、なんてこともあり、ごくたまにですが、え、もう終わってる?とあんまり速く終わってびっくりなときもあります。このようなことは、夏場はあまり起きなかったような気がします。問題は寒くなってきてからです。

秋が深まってきた頃、うちの場合、北側のお部屋にラコール箱ごと置いてたら冷たくて、母のお腹には冷たかろうと思って、ネットで調べると、ラコールも体温くらいに温めてもよいとのこと、冒頭の写真のように体温くらいに温めてから投与していました。すると、最初、滴下速度を調整したときには粘度低めで滑らかなサラサラな感じなのですが、どうやら投与中、温めたラコールがだんだんと室温に馴染んで、温度が下がると粘度が増し、ドロっとして、滴下がゆっくりになるようです。止まっていることもありました。そのことを訪問診療のお医者様に聞いてみると、「温めなくて大丈夫、むしろ、温めすぎて内容物に変化を与えたりすることになるといけないので、常温で」とご指示をいただき、温めるのはやめました。

そして、冬になり、今度はラコールの投与が、予想よりかなり早く終わっていることが時々起こりました。これは、私の推測ですが、気候が寒いため室温も低く、そのためラコールも冷えて粘度が増して少しドロっとしている、その状態で滴下速度を調節して投与を始めると、母の暖かめなお部屋の、しかも点滴棒という高みに吊り下がっているため、たぶん、高いところは室温も高めで、ラコールは温まって粘度が低くなりサラサラ度が増して、どんどこ滴下が進んでしまったのではないかと。

やはり、ラコールさんには寒かろう、母のお腹にも寒かろうということで、ラコールはリビングに保管するようにしました。それでも、手に取ったとき、パックは冷たく感じます。お腹は白湯でほんのりと温まっているので、常温のラコールもゆっくり時間をかけて投与すれば、お腹が冷えることもないと思います。終わっているかと思いきや止まってたり、いつの間にかサーッと終わってたよ、ということのないよう、滴下の様子は、時々チラッと見た方が良さそうです。

ついでに言い添えますと、チューブの滴下速度を調節するダイアルの繊細さもメーカーさんによって違っていて、微妙な調整ができるコとできないコがいます(笑)できないコは、1秒間に2滴の感じになかなか設定できなくて、調節のダイアルをちょっと上げてちょっと下げてと行ったり来たり、なかなか難儀です。できるコの方が好きです(笑)

流し始めるときは白湯と同じで、点滴筒を指でキュッと押すと、少しラコールが筒の中に入ります。滴下速度を調節する前に、一旦ダイアルを上に回して流れを全開にします。チューブ内を流れていくラコールがお鼻の穴のところまで到達したら、上にあるダイアルを下へと回して、1秒に2滴くらいの滴下速度に調節します。簡単に言えばそういう話なのですが、またもや、長々しくなりました。

どこかの誰かのお役に立てば幸いです。

お読みくださりありがとうございます。

手順実践編、年内に終わらず、また明年、続きます。

皆様、どうぞよい新年をお迎えください。



追記

経腸栄養剤ラコールの片面にある薄いシートを剥がすと、このような姿になります。


シートを剥がすと中身が見えるため、進み具合が一目瞭然、親切設計、便利です。と、思うかもしれませんが、実際は袋の形状で、半分くらい来たなとか、もう少しで終わるなとか、大体わかるし、剥がすというワンクッションが増えるだけで、私にはメリットが感じられませんでした。400mlパックを使い始めたときに、指示通りに剥がしてみたものの、数回やってみて、剥がす必要無しと判断しました。

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