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モノローグ台本『靴屋』

はじめに

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本文

 童話『シンデレラ』を元にした物語。

 王子、シンデレラの靴を持って、靴屋を訪れる。
 靴屋、その靴を眺めてる。

靴屋「いやぁ、分からないですねぇ、靴だけじゃ。……だいたい23か。でもこのサイズの足の女性って全然いますからね。絞り込めるかなぁ。…あぁ、昨晩のパーティーで!」

 靴屋、ガラスの靴を探す。

靴屋「まぁ、ウチにもガラスの靴はいくつかありますけど。あー、昨日買われた方はいましたよ。…いや、その人はけっこう年配っていうか、おばちゃんだったんで関係ないと思うんですけど。……そのお嬢さんは初めて見かけた方なんですか?…じゃあ、あれですかね。お隣の国からですかね。……みたいですね。なんか検問とかも適当っていうか、雑になってるみたいな。ほら、お妃さまが引きこもったとかで。なにやってるんですかね、30過ぎて」

 靴屋、話が脱線していると王子に指摘される。

靴屋「あ、靴ですよね!靴だ靴だ。あ、もしかしてこれ、わざと脱いだんじゃないですか?つまり、一度履いた靴をもう一度脱いだっていう。靴、間違えたんですよ!居酒屋とかでよくあるじゃないですか!『あ、これ俺のじゃないな』っていう。あ、そういうスタイルじゃない。そうなんですかぁ。いや若い男女が出会う場所って聞いていたんで、ワタミで、座敷で、合コンスタイルっていう。」

 王子、怒って靴屋に剣を向ける。

靴屋「いや、バカにしてないです。すいませんすいません。真剣に考えますから。……えっと、じゃあこれ、自然と脱げたってことですよねぇ?あ、サイズ合ってなかったんじゃないですか?つまり自分で買ったんじゃなくて、誰かからもらったとか。あ、あのおばちゃん!……どんなだったかなぁ。黒いローブをまとって、神秘的な感じではあったんですけど。そうだ!ポイントカード作ってたんで、連絡先わかりますよ。……あ!少々お待ちください」

 男、店の奥に呼びかける。

靴屋「おーい!お茶まだー?待っててくださいね。すぐ分かりますから。……あぁ、そうなんですよ。最近雇って。いや一人でも大丈夫なんですけど、今の家から一刻も早く出たいって頼まれちゃって。そういうの弱いんですよ」

 シンデレラ、入ってくる。

靴屋「あー、ありがとう。こちらの方に。こちらのお方に!」

 シンデレラ、王子を見てお茶を落とす。

靴屋「あー!おいおい、ちょっとー!なにやってんのー?」

 シンデレラと王子が見つめあってることに気づく。

靴屋「え?」


(完)

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