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人は逆境に向かう時、背中を押される言葉を持っています。

私の背中を押す言葉は・・・
1円を大切にしなさいという教えです。

この言葉から、人と共に生きる喜びを知り
生きることの意味を教わった気がします。

服作りを学んだのは、特攻隊帰りの恩師ですから、
大正から昭和初期の教えかもしれません。

私は、縫製という製造業からビジネスに関わり
作れば売れる時代からスタートしたのは、幸運に感じます。

私は創る人であり、売る企業は歩引きという習慣もあり、
忖度や裏金を要求される時代でもありました。
電化製品など、取引の条件として強いられたことは忘れません。

断れば仕事は減り、ビジネスの常識だと言われ・・・
逆らうこともできない自分がいました。

恩師は粗利を稼ぐ知恵よりも、1円を稼ぐ知恵が大切だと言われましたが
若い私には、腑に落ちまえんでした。

23歳、恩師に連れられ東京に出張した際に
駅弁を2つ買い、空の弁当箱を洗ってこいと言われました。

縫製工場でネジを入れる箱にしろと言われ
空の弁当箱を持っていることが、恥ずかしかった・・・

しかし工場に帰りスタッフが、必死に働いているに
空の箱を持ち帰り、良かったと思えました・・・
その想いを大切にしていたのか、10年ほど使用した記憶があります。

長年業界にいますと、すべての仕組みはみえてきます。
若い頃は、製造業は損だと思い、小売業も営みました。
しかし 私が選択したのは、やはり製造業です。
企画から生産まで対応する、製造業を目指し海外に渡りました。

いま振り返れば、人件費の安い国を渡り歩いた選択は汚点ですが
ASEANの人々と共に生きたことが、今の選択に繋がっています。

時代は変わっても、人間として忘れてはならないこと
やってはならないことがあります・・・
私は、それを製造業から学びました。

世の中にはビジネスの上手い人、下手な人がいるかもしれません。
人それぞれ目的は異なり、価値観も違います。

私の考えは・・・
どんな仕事でも、経験をすることが必要であり
社会で働き、経験を積む意識が大切に思えます・・・
人生最後まで、キャリアとして積み上げ続けることです。

私はビジネスに於いても、心に決めていることがあります。
自分が働く以外の投資は、一切しません。
アメリカの友人からは、堅物と言われますが
社会から得た利益は、自分の責任で社会に戻します。

私は1円たりとも、お金を貸しませんし借りません。
若い頃は、親友の経営者から相談もありましたが
経営者は、自分が責任を取れる範囲で事業を行う。
それが 私の約束なんです。

お金は大切です。
しかし、目先の利益に捉われず・・・
自分の考えを育んでいくことは、もっと大切です。

私は、残りの人生を考えた時
誰と生きるべきか・・・
不思議ですが、そこにお金を稼ぐ思考はありませんでした。

誰と生きることが、社会に役立つのか・・・
それは、とっても単純です。
今は、それが 自分の人生を育む源になっています。

若い頃、歩引きを強要された産業構想への意思表示かもしれませんが、
私は、目先の利益を求めるモノ創りに戻ることはありません。

人と汗を流し働きたい、心の底から思えるからです。
自社の利益のみ確保する産業構造は、成立させる訳にはいきません。

社会と価値観の変化は、ASEANでも同じです。
若者はモバイルが必需品であり・・・
1ルピア、1リンギット、1バーツ、1チャット・・・
日本と同じように、多くの若者は1円を拾いません。

しかし 私たちは、1円を稼ぐ価値を知っていく必要があります。
それは日本人が、大切に育んできた文化に思えます。

私自身は、1円を大切にする行動は・・・
人を大切にすることに、繋がっていると思えます。

粗利を稼ぐビジネス思考よりも・・・
汗を流す生き方が、幸せに思えてしますから仕方ありません。

ASEANの若者とみんなで知恵を絞り、創意工夫し働く・・・
私は、そんなモノ創りを次代に伝えていきます。

追伸、
ウクライナのご婦人が無防備で、ロシア兵士に立ち向かい
『ポケットにひまわりのタネでも入れとけ 』と・・・
この勇気を忘れてはなりません・・・
私も、デカイひまわりの種をアトリエの庭に蒔きました。

人間は、想いをつなげていくことが大切です。
2022年 3月  夢見月 水谷勝範

Webからファッションを創る、それが私たちのプロジェクトです。服作りとはいえ、私たちが大切にしていることは、お互い共存し成長できる社会になることです。皆さまとの出会いを愉しみにしております。水谷勝範