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シドニアの騎士 あいつむぐほし 感想

弐瓶勉版R-TYPEことシドニアの騎士の劇場版、あいつむぐほし見てきた。

全体的には面白かった。使い古されたコテコテの演出が多く、あこれはゲッター、これはベイマックス、攻殻・・・といろんなオマージュがちりばめられている。そもそもR-TYPEだしw
それが嫌らしくなくきれいにまとめてあって、正しく「男の子ってこういうのが好きなんでしょ?」の連続し、むしろ感心させられた。

槍での近接戦でしか決着がつけれれなかった対ガウナ戦だったが、「ガウナ本体貫通弾」というゲームチェンジャーの登場で人類側の優勢となった。ともすると戦闘の緊張感が薄れていたところに登場した知性型ガウナは我々を震え上がらせることとなる。

「ホンタイ ロシツ・・・」

感情があるとも無いともつかないクリアな声で呼びかけてからのコクピット撃ち抜きだ。痺れる。

恋愛描写もどうかすると稚拙ともとれる。生まれてこの方パイロット訓練しかしてきていない谷風と、生まれたばかりの生体兵器・恋するB-1D2こと融合個体つむぎのピュアピュアな恋愛。初恋を思い出してこちらが赤面してしまいます。そうだね、どう書いたらいいか分からないんだよね。これは弐瓶先生彼女いねーな・・・。妙な親近感を感ぜずにはいられなかった。

人類が移住できそうな惑星を発見したものの、このあたりの星系をテリトリーとするガウナの超巨大船団大シュガフ船を撃破しないといけない。かつてない規模のガウナを相手取るために三つの新兵器が建造された。「融合個体2号機」「重力子放射線照射装置」「劫衛」だ。
その中の一つ、敵の一部(全部)をその身に持つ決戦兵器、融合個体2号「かなた」は科学者落合の乗っ取りによりさっそくシドニアの敵となる(顔みりゃ誰でも敵になると思うね)。超構造体製の外皮に包まれ通常兵器が効かないという強化具合。B-1A3かな?AMB撃たなきゃ・・・。大シュガフ船を唯一貫通できる重力子放射線照射装置(これはギガ波動砲かファイナル波動砲だろうか)という主砲を建造していたが、ガウナのエナで模倣する特性を利用して「かなた」の右目に瞬時に作り出した。

対する谷風は最新の専用機、20式衛人「劫衛」で対抗する。全身超構造体の装甲で、単機で瞬時に亜光速まで加速できる新型のスラスターを装備する。重力子放射線照射装置が付いていない事を除けば「かなた」と互角の性能を持つ。さすがはシドニアのGDP200%を溶かして作っただけのことはある。谷風の神業的操縦技術を合わせれば、通常のガウナの群れ程度なら一人で圧倒できるだろう。

宇宙の過酷な環境下で、ときおり襲い来る圧倒的な力を持つ宇宙生物と戦いながら安住の地をを求めさまようエクソダス(逃亡遠征)は、シドニアの人々を全体主義的な社会組織に変えた。
・死んだ人間も資源化され有効活用される
・優秀な船員はクローン作製と強化で生産性、戦闘効率を上げる、もしくは上級船員の次の器となる
・遺伝子操作で人工光合成器官を体内に導入し省エネ化、最上級船員の不老不死化
・兵器技術の先鋭化、娯楽文化はそれに対して未発達(明治大正レベル)

と、枚挙にいとまがない。が、それでも最後の一線は死守している。人が人として守るべき営み。たましいと言えば陳腐に聞こえるかもしれないが、有り体に言えばそうだ。人と人が愛し育くみ何代にも渡って連綿と受け継がれていく。

落合は言った。

「あれを壊すなどとんでもない。あれは記憶だ」

初めに邂逅したガウナは人型だったという。きっとあれは人間の一つの可能性。不滅の肉体を持ち自己完結で、人々の記憶を乗せ、地球を飛び立ちこの宇宙を永遠に旅できる宇宙船(ほとんどバイド)。
それを使えば一個体としての生命を超越するばかりか、死んだ人間すら蘇らせることも可能だろう。

そもそも、ホモサピエンスが星間航行に向いているはずもなく、効率を重視していくとガウナに近い存在になっていくのではないだろうか?だが、人類はそれを良しとしなかった。不完全ながらも、あくまで地球出身の生命体のままであり続けた。根底には理屈以上のものがあるように見える。もがきながらも未来の幸福を夢に見、渡されたバトンを次の世代に託し、そして死ぬ。完全生命体として宇宙を漂流するのではなく、終わりある不完全な生物としての意地を感じた。俺は死ぬし、お前も必ず死ぬ。しかし俺達は進み続ける、家に帰り続ける。明日は今日よりきっと良くなる。

アニメのOPでも唄われているが、何のために征くのか、誰のために死ぬのか。我々にそう問うているように思えた。

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